おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
このところとみに若者の孤立が話題に上っています。
先週の2月24日讀賣新聞第1面には「『若者の孤立』対策強化」が朝刊の第1面にでかでかと載っていました。
讀賣新聞オンライン 2021/02/24 17:30では次のようでした。
不安高まる若者の「望まない孤独」…過去最多の自殺、コロナ禍で政府が対策強化
政府が3月末の決定を目指す「子供・若者育成支援推進大綱」の改定案が明らかになった。新型コロナウイルス感染拡大の長期化を踏まえ、孤独や孤立問題への対応を強化する方針を明記した。増加する自殺についても「最重要課題」と位置づけた。
政府は、改定する大綱に基づき、関係省庁間での連携を密にし、対策を急ぐ考えだ。
改定案では、新型コロナを受けて、「多くの子ども・若者は不安を高め、『望まない孤独』の問題が顕在化している」と指摘した。
子どもや若者の自殺に関しては、「コロナ禍の影響も懸念され、極めて重大な問題」とし、対応が急務だとした。
大綱改定案のポイントは、次のようです。
ところで、新聞では「孤立」と「孤独」の両方が使われていますが、私はそれぞれ違う意味があるように思えてなりません。
英語で表記してみると、そのニュアンスの違いがわかるかもしれません。
孤立=loneliness
孤独=solitude
です。
「孤立」について 10年前の2011年6月8日付けブログ 「自立」 をどう捉える?(2)で「自立と孤立の違い」として書いたことがあります。
「自分は自立したい」と言いながら孤立している人がいます。
私の認識では、自立と孤立は大きく違います。
他者に関心があり、他者と交わることができ、それでいながら他者に一方的に依存しないで生きられる人が自立的な人です。
それに対して、他者に関心がなく、他者と交わることができず、それでいながら特定の他者に一方的に依存している人が孤立している人です。
以上に基づけば、他者に関心がなく、他者と交わることができず、それでいながら特定の他者に一方的に依存している人が孤立している人です。
一方、他者に関心があり、他者と交わることができ、それでいながら他者に一方的に依存しないで生きられ、時に「孤独を愛する」人が自立的な人だと言えます。
:今回追加
それでは、孤立しひきこもりをしている人に対して家族は何ができるか? また、カウンセラーなどはどんなサポートができるか?
その時のブログの続きに次のようなことを書いています。
ひきこもりの人たちの多くは、他者や世界・社会に関心が向かず、自分にしか関心がなく、他者との交わりを断ち、それでいながら家族の誰かに大きく依存しています。
もし依存している家族の誰かが同じように孤立した人だと最悪です。
社会からますます孤立します。
私はひきこもりの人が依存している人(多くは母親)がカウンセリングに来たら、その人をどしどし社会と接するように仕向けます。
イベントに行くのも、映画も演劇もショッピングも旅行もいいでしょう。
できたら夫婦で出かけることをお勧めします。
だって、留守番役がしっかりと家にいてくれるのですから安心です。
依存の対象になっている人の関心が家の中でなく社会に向かうと、ひきこもりの人もつられて関心が次第に社会に向かって開かれます。
ひきこもりをしている人をいきなり社会に出そうとするのは危険です。
少しずつ少しずつ、一歩一歩です。
孤立から自立に向けるトレーニングは、慎重を期さねばなりません。
◆3月1日(月)配信のYouTube ヒューマン・ギルド「アドラー心理学専門チャンネル」のテーマを「ひきこもりに小さなおせっかいを」のテーマで話しています。
まだご覧になっていない方は、是非ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=kZe4dZVEetM
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