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アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

「NHKこころの時代」のテキストでもあるこの本を強くお勧めします。

その理由は次の3点です。

1.アルフレッドアドラーという人のある側面、さらにはアドラー心理学の黎明期の出来事を知るために
2.ヴィクトール・フランクルの人物像を知るために
3.著者の勝田茅生(かやお)さんの魅力に触れるために

この本はもともと「NHKこころの時代、宗教・人生の」4月から9月まで全6回コースのテキストです。
Eテレの講座のテキストですが、この本だけでも読む価値が十分あります。
さらに今後より関心が強まったならば、4月の放送終わってますが、5月から9月まで第3日曜日の午前5時から6時の間、再放送では同じ週の土曜日の1時から2時の間放送されますので、ご覧になることをお勧めします。

1.アルフレッドアドラーという人のある側面、さらにはアドラー心理学の黎明期の出来事を知るために

アドラー心理学の黎明期について知るためにこんなことをご紹介いたします。
高校時代にフロイトの本にも触れ、文通をしていたフランクルは、やがてフロイトの思想には批判的になり、1925年に大学生になって本格的に精神医学の道を歩み始める前に、アドラーの個人心理学会支部に入会します。

この本にはこんな記述があります。
この本の記述のままに紹介しますと、フランクルは、同門の仲間たちと「アカデミー医学的心理学会」を創設して副会長に就任しました。
アドラーが権威を振りかざすワンマンな性格だったこともあり、フランクはもっぱら学会の優秀な精神科医2人から個人心理学について学んでいました。
翌年、この学会の研究会でフランクルは講演を行った際に初めてロゴセラピー(「生きる意味」を見つけるための心理療法)という言葉を使用したそうです。
フランクルは21歳の学生で人生の意味について話をしたことになります。
フランクルは精神医学を学びながら、論文を書いたり、講演したりして、独自の心理学を構築していきました。

その間にアドラーの個人心理学に対して、だんだんと懐疑的になっていきました。
アドラーの思想に非科学的な部分を感じ取り、自身の探求する心理学とは相容れないと思い始めたようです。
そんなフランクルに対して、教え子に裏切られたように感じたアドラーは憤って、個人心理学会の総会でフランクの師である2人の精神科に反駁するように命じました。
しかしフランクルは、この2人を尊敬しており、また自分自身も個人心理学に疑念があったので、2人の批判にも根拠があると、自分の考えを正直に説明しました。
これをきっかけにフランクルはアドラーの怒りを買い、弁明の機会を与えられることもなく、個人心理学会を脱退させられます。
フランクルが22歳の1927年のことです。

アドラー派の人たちからは、語られないこんなエピソードもこの本には書かれています

2.ヴィクトール・フランクルの人物像を知るために

フランクルは、独自の境地を開拓し、従来の心理学の心理と身体の2つの人間の要素のほかに精神という第3の次元を加えて、ロゴセラピーの基軸に据えました。
身体的な病気であれ、心理的な病気であれ、病気を治す自己中力を発揮するのは精神だというのがフランクルの基本的な考え方になりました。

話は飛んでユダヤ人である彼は、ヒトラーの台頭とともに、ユダヤ人追放・虐殺、そういう機運に巻き込まれ、強制収容所で自分自身や周囲をしっかりと観察し続け、やがて自分の体験を講演で話そうとの決意を固め、ますます意味への意志に傾斜していきます。
その結果は、ベストセラーになった『夜と霧』、『それでも人生にイエスと言う』の2冊の本で知ることができます。

3.著者の勝田茅生(かやお)さんの魅力に触れるために

2.の内容の詳細を割愛して、最後に著者の勝田勝田茅生さんについて触れていきます。
勝田さんは1945年生まれで、今78歳か79歳かの人です。
上智大学文学部哲学科修士課程修了後、ドイツのミュンヘン大学博士課程を修了、2000年に南ドイツのロゴセラピー研究所で公認ロゴセラピスト資格を得ました。
50歳の時なります。
以来ドイツと日本を往復し、フランクルの人物像と思想を伝えるお仕事をされています。
セラピストとしては遅咲きの方ではありますが、この本を読むとドイツ語の文献をもとにした内容で、フランクルの人間像をどんな本よりも鮮明に浮き彫りにしていらっしゃいます。
この本では、フランクルのややこしい理論を棚上げして、徹底的に人間フランクルに迫る本となっています。

フランクルという人間像を知るためにも、そして意味への意志を大事にしたフランクルを理解するためにオススメの本です。

アドラーの一番最後の本(1933年発刊)が『生きる意味』(邦訳では『生きる意味を求めて』)というのも、かつての門下生からアドラーが逆輸入したようで、不思議な因縁を感じました。

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