アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
一度読んでいた本ですが、著者をお招きしてヒューマン・ギルドで講座を行うためにもう一度読んだ本の紹介です。
【不登校】【夫婦関係】【義父母との関係】など家族関係に問題を抱えている人、そのサポートをする人には必読の本です。
『セラピスト入門』(東豊著、日本評論社)
30年ほど前の1993年4月に出された本ですが、今でも十分通用する内容です。
「あとがき」には、日本にアドラー心理学を普及された野田俊作先生への感謝の言葉も添えられています。
私なりにこの本から【システムズアプローチ】のエッセンスを、アドラー心理学と関連付けながらまとめてご紹介しますね。
まずは、治療の対象としてのシステムについて。
「ある一定の法則にしたがっているかのような活動を繰り返している複数の部分からなる集合体、もしくは法則そのもの」
これは、アドラー心理学の【全体論】と関連します。
「全体は、部分の集合体ではなく、お互いに影響し合って独特の動きをする」わけです。
このことを「場の理論」や「社会統合論」として二者間の「対人関係論」と別の切り口で説明することがあります。
このような「システムを念頭に置いた心理・社会的援助の総称が【システムズアプローチ】」です。
ここで著者は、【システムズアプローチ】と【家族療法】とは違いを語っています。
ただ、家族にも適用できるだけでなく、もっと広くケースワーク、教育や産業などの現場に広く、主として心理治療を目的としてシステムを応用できるものが【システムズアプローチ】だとしています。
ここで話を飛ばします。
【システムズアプローチ】の構成要素についてです。
著者によれば、次のとおりです。
【システムズアプローチ】=(1)システムへのジョイニング+(2)システムの分析+(3)システムを変える
(1)の「システムへのジョイニング」というのは、心の深いところで起きているといったイメージを彷彿させる「信頼関係そのもの」を意味する【ラポール】と比較すると、「信頼関係に至るプロセスとそのための手段」で、平たく言えば「お仲間にさせていただく」と言った意味のようです。
そのためには、なるべく特定の思い込みを持ったり、特定の人物、あるいはシステムの一部分に巻き込まれないようにするのが肝要なようです。
(2)の「システムの分析」には(1)問題にかかわるシステムの範囲を知る、(2)「今、ここで法」ーいわゆるエナクトメント、(3)「それからどうした法」ーいわゆる円環的質問、が語られています。
(3)の「システムを変える」は、(1)行動と認知、(2)家族:治療本番、によります。
なお、以上のテクニックについては、ここでは割愛します。
以上がⅠの理論編に書かれた概要です。
Ⅱの実践編は、私は笑いながら読みました。
関西人らしい著者のユーモアがふんだんに込められ、【システムズアプローチ】の活用例、失敗例が紹介されています。
本のことはこのくらいにして、【システムズアプローチ】のキモの部分をお伝えします。
この部分は、番澤 清美さん作成のスライドをお借りしました。
【システムズアプローチ】は、アドラー心理学と同様に「何が原因でこのような結果が生じたのか?」という【因果関係】をダイレクトに扱わない代わりに【円環的因果律】として捉えます。
「人間関係や出来事は、相互に関連し影響し合う」とみなして対応するのです。
このところは、1月6日配信のYouTubeアドラー心理学専門チャンネルで「システムズアプローチ」としてご覧になれるので、ご期待ください。
ここで、私の想いを白状します。
【システムズアプローチ】をこの世界の頂点に君臨する東豊(ひがしゆたか)先生から学んでいただきたいのです。
何とぞよろしくお願いします。
◎システムズアプローチ基礎講座(オンライン開催)
日時:2025年2月8日(土)10:00-16:00
講師:東豊(ひがしゆたか)さん (龍谷大学心理学部・同大学院 教授)
オンラインサポート:番澤 清美さん(有限会社ヒューマン・ギルド 総合ファシリテーター)
受講料:27,500円(税込)
詳細確認及びお申し込み:https://www.hgld.co.jp/plecture/view/1209
【講座内容(予定)】
午前:オリエンテーション、システムズアプローチの基礎の講義
午後:事例検討および質疑応答
【システムズアプローチとは】
システムズアプローチとは、クライエントが人生の中で起こる問題を解決できず、(一人で、あるいは家族等で)延々と問題を持続させてしまうパターン(問題持続システムと呼びます) にアプローチをして、問題解決システムを構築していく考え方や手法を指します。
人と人との繋がりやコミュニケーションの相互作用などを主なセラピーの対象としており、家族や集団の問題を扱うセラピーや支援場面はもちろん、1対1のセラピーにおいても有効な手法とされています。
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