見もの・読みもの日記

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山西貧乏旅行【5日目】太原~平遥

2005-08-24 18:30:48 | ■中国・台湾旅行

■喬家大院、平遥

 太原から、再び南下を開始。鞏俐(コン・リー)主演の映画『紅夢』(原題『大紅灯籠高高掛』)のロケ地として有名な、喬家大院を見学。平日というのに、何組もの団体客がひしめき合い、ものすごい混雑である。


紅い提灯が艶かしい、喬家大院。

 そして、平遥古城に到着。ここは、街を取り囲む城壁が、奇跡的に残っており、明清時代の城址の姿を伝えている。一見、映画のセットのような街だ。古城の 前で、周遊チケットを買ったあと、近隣の古刹、鎮国寺、双林寺を見てまわる。中国の寺にしてはめずらしく、建築にも仏像にも、あまり修復の手が加わってい ないのが嬉しい。つっかえ棒の丸太で支えられた堂于、雨ざらしの壁画など、このまま朽ちていくのは心配だが、それでもいいような気がする。

 再び城内に戻り、輪タクに分乗して、日昇昌記(中国票号博物館)、孔子廟、城隍廟などをまわる。以前より、英語の看板や、観光客相手の商売が増えたような気もするが、あまり大きな変化はないようだ。


平遥古城名物の輪タク。

 山西省には、中国に現存する唐宋以前の建築物の7割が集まっている。なぜ、こんなふうに古建築が残ったかというと、于さんによれば、「山西省が貧乏だっ たからだよ」とのこと。確かに、江南のように豊かな地方では、金持ちが、寺院や住宅・庭園の築造・修復を繰り返したから、古いものは残っていないのだ。

 夕食も城内の観光レストランで食べることにしたので、輪タク観光を終えたあとは、しばらく徒歩で城内を散策する。レストランで休憩の于さんに代わり、輪 タクの親方が付き添ってきて、ときどき、カタコトの日本語で、漆工芸など、高級品の土産店に我々を誘導しようとするが、功を奏しない。ふと、菅野さんが、 じっと道端を見つめていたかと思うと、おもむろに磚(せん)、つまり焼きレンガを拾い上げ、嬉しそうに手提げ袋にしまい込んだ。東京に持って帰って、作品 の素材にするためである。親方は目を丸くして見ていた。こんな日本人、初めてだろうね~。

 夕食後は、再び輪タクに乗り、城外のホテルまで送ってもらった。旧城内の裏通りは、街灯らしい街灯もなく、日が落ちると真っ暗になってしまう。昔と変わらぬ暮らしぶりを見て、安心していいものか、ちょっと複雑な思いだった。

 なお、この日のホテルは、一見、瀟洒な高級家具を揃えたように見えて、実はハリボテ並み。テレビ・冷蔵庫があるのに、電気が通ってなかったり。石川さ ん・池浦さんの部屋では、お風呂のお湯が出ないので、フロントを呼んだところ、その場で大改修工事が始まってしまったとか。

(2020/5月 旧geocitiesから移設)

コメント
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