○佐藤嗣麻子監督・脚本『K-20(TWENTY)怪人二十面相・伝』
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD13323/index.html
昨年末、たまたま本屋でポプラ文庫の江戸川乱歩シリーズを見つけ、この映画のことを知った。公式サイト(※音が出ます)の予告編がなかなかよかったので、公開を楽しみに待っていた。
第2次世界大戦を回避した日本を想定し、1949年の架空都市「帝都」を舞台に物語は始まる。孤児たちが集まる「のがみ(野上)」って上野のことなんだろうな。サーカスの人気曲芸師、遠藤平吉(金城武)は、謎の紳士の罠にはめられ、怪人二十面相と間違えられてしまう。脱獄はしたものの、帰る場所を失った平吉は、天才からくり師・源治(國村隼)の助力を得て、泥棒修行に励むうち、二十面相が狙っているのが、強力な兵器にもなり得る無線送電システム「テスラ装置」であることを知る。鍵を握るのは羽柴財閥令嬢の葉子(松たか子)。彼女は、明智小五郎(仲村トオル)の婚約者でもあった…。
面白かった。はじめは、どこかで激しく期待を裏切られるのではないかとドキドキしていた。たとえば、妙に社会派ぶって説教臭くなるとか、壮大な設定のわりにビジュアルがチャチで入り込めないとか、いろいろ心配はあったのだが、全て杞憂に終わった。日本映画も、こんな洒落たエンターテイメントが作れるようになったのか。感心した。
主演・金城武の、二枚目なのにちょっと間抜けなヒーローぶりは、実にチャーミングだった。アクションは、もちろんワイヤーや吹き替えを使っているんだろうけど、観客にアピールするツボを心得ていて、心からわくわくしてしまう。やっぱりあれは中華映画のキャリアかしら? これまでに見た彼の出演作では、いちばん好きだ。ぶっとんだお嬢様の松たか子もいいし、國村隼をはじめとする渋い脇役陣もいい。平吉と対峙する二十面相は、もうちょっとこわもてであってほしかったなあ。マスク姿はキマっているのだが、正体がバレたあとは、ちょっと線が細すぎる。むしろ変装中の姿を演じた鹿賀丈史にやってほしかった。
この映画、80~90年代に作ろうとしたら、アニメでしか実現できなかっただろうと思う(鉄冑の陸軍兵士たちが平吉に殺到するところは「カリオストロの城」みたいだった)。でも、今は、超人的なアクションも、SF的な破壊装置も、新旧文化の入り混じる架空都市も、「実写」でビジュアル化できてしまう。その映像技術を、しみじみすごいと思った。実在の建物を使ったロケも行われているものと思われ、最後のクレジットをじっと見ていたら、上海、それから門司地区、九州大学などの名前があがっていた。
二代目(?)怪人二十面相として生きることを決意して、さわやかな笑顔を残し、帝都の闇に消えていった平吉の活躍をまた見てみたい。ただし、北村想の原作『怪人二十面相・伝』に匹敵する続編が構想できれば、の話である。なお、テスラ装置は全くの荒唐無稽ではないそうで、科学者ニコラ・テスラについてはこちら(→Wikipedia)。
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD13323/index.html
昨年末、たまたま本屋でポプラ文庫の江戸川乱歩シリーズを見つけ、この映画のことを知った。公式サイト(※音が出ます)の予告編がなかなかよかったので、公開を楽しみに待っていた。
第2次世界大戦を回避した日本を想定し、1949年の架空都市「帝都」を舞台に物語は始まる。孤児たちが集まる「のがみ(野上)」って上野のことなんだろうな。サーカスの人気曲芸師、遠藤平吉(金城武)は、謎の紳士の罠にはめられ、怪人二十面相と間違えられてしまう。脱獄はしたものの、帰る場所を失った平吉は、天才からくり師・源治(國村隼)の助力を得て、泥棒修行に励むうち、二十面相が狙っているのが、強力な兵器にもなり得る無線送電システム「テスラ装置」であることを知る。鍵を握るのは羽柴財閥令嬢の葉子(松たか子)。彼女は、明智小五郎(仲村トオル)の婚約者でもあった…。
面白かった。はじめは、どこかで激しく期待を裏切られるのではないかとドキドキしていた。たとえば、妙に社会派ぶって説教臭くなるとか、壮大な設定のわりにビジュアルがチャチで入り込めないとか、いろいろ心配はあったのだが、全て杞憂に終わった。日本映画も、こんな洒落たエンターテイメントが作れるようになったのか。感心した。
主演・金城武の、二枚目なのにちょっと間抜けなヒーローぶりは、実にチャーミングだった。アクションは、もちろんワイヤーや吹き替えを使っているんだろうけど、観客にアピールするツボを心得ていて、心からわくわくしてしまう。やっぱりあれは中華映画のキャリアかしら? これまでに見た彼の出演作では、いちばん好きだ。ぶっとんだお嬢様の松たか子もいいし、國村隼をはじめとする渋い脇役陣もいい。平吉と対峙する二十面相は、もうちょっとこわもてであってほしかったなあ。マスク姿はキマっているのだが、正体がバレたあとは、ちょっと線が細すぎる。むしろ変装中の姿を演じた鹿賀丈史にやってほしかった。
この映画、80~90年代に作ろうとしたら、アニメでしか実現できなかっただろうと思う(鉄冑の陸軍兵士たちが平吉に殺到するところは「カリオストロの城」みたいだった)。でも、今は、超人的なアクションも、SF的な破壊装置も、新旧文化の入り混じる架空都市も、「実写」でビジュアル化できてしまう。その映像技術を、しみじみすごいと思った。実在の建物を使ったロケも行われているものと思われ、最後のクレジットをじっと見ていたら、上海、それから門司地区、九州大学などの名前があがっていた。
二代目(?)怪人二十面相として生きることを決意して、さわやかな笑顔を残し、帝都の闇に消えていった平吉の活躍をまた見てみたい。ただし、北村想の原作『怪人二十面相・伝』に匹敵する続編が構想できれば、の話である。なお、テスラ装置は全くの荒唐無稽ではないそうで、科学者ニコラ・テスラについてはこちら(→Wikipedia)。