見もの・読みもの日記

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初雪旅行(4):京都見仏拾遺

2009-01-16 23:41:35 | 行ったもの(美術館・見仏)
 春・秋と違って、冬の京都はのんびりできていい。旅の2日目、3日目は「京の冬の旅」特別公開の寺社(◎印)を目当てに、洛南をまわった。

1/11 京都国立博物館~◎勝林寺(東福寺塔頭)~伏見稲荷・東丸神社~えびす神社
1/12 東寺(◎五重塔内陣)~◎安楽寿院~石峰寺

 東福寺塔頭の勝林寺では毘沙門天像(平安時代)を公開。東福寺は九条道家(1193-1252)が発願健立したものだが、同地には、元来、藤原氏の氏寺・法性寺があった。東福寺の天井裏から見つかった(!)というこの毘沙門天像は、東福寺建立以前の作と考えられるそうだ。堂内が暗くて、お顔立ちがはっきり見えないのが残念。住職さんたちの着ていたムカデ紋(毘沙門天の眷属)の法被がカッコよかった。なお、PRパンフ等に『七難七福図』公開とあるのは、応挙筆でなくて弟子による模本である。

 安楽寿院では、胸に「卍」マークをつけた阿弥陀如来坐像(卍の阿弥陀)を公開。円派らしい、穏やかで優美な阿弥陀像である。この一帯は、もと鳥羽離宮が営まれていたところ。同寺は、鳥羽天皇、美福門院得子、近衛天皇の三者を弔うために建立されたという。院政期の天皇家をめぐるドロドロの人物相関図を思い出し、感慨深く思った。

 東寺はいつ行ってもいいが、冬の朝がいちばん好きだ。五重塔の屋根にうっすらと白い雪が残り、観光ポスターさながら。納経所でご高齢の団体さんと行き合ってしまったが、ガイドさんが「そろそろ行列が始まりますよ」と呼び集めている。面白そうなので後をついていくと、境内西側の本坊から、20人ほどのお坊さんが列をつくって退出していく。1月8日から14日まで、真言宗各派の高僧たちが国家安泰を祈願する「後七日御修法(ごしちにちみしほ)」が行われているのだ。僧侶の列は南西隅の灌頂院に消えていき、マスクで表情を隠した若い侍僧が、ぴたりと門扉を鎖してしまった。ありがたや、ありがたや。五重塔内陣も、たまに入ると面白い。

 初詣は伏見稲荷へ。さらに市中に出て「十日えびす」で賑わう京のえびす神社にも参詣する。蒸しタケノコ、生姜、串カツなど、東京では見たことのない露店が珍しくて面白かった。

■写真はこちらで:中外日報(2009/01/10)真言宗最高の大法 東寺で 御修法開白
http://www.chugainippoh.co.jp/NEWWEB/n-news/08/news0801/news080110/news080110_01.html
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