見もの・読みもの日記

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ドラマ『蒼穹の昴』日本語吹き替え版、始まる

2010-10-07 21:46:30 | 見たもの(Webサイト・TV)
NHKドラマ『蒼穹の昴』(2010年9月26日~、全25回)

 『蒼穹の昴』日本語吹き替え版の放送が、NHK総合テレビで始まった。2009年の春、日中共同制作を伝えるニュースにアクセスして以来、待ちに待っていた放送である。既に中国では、今年3月14日~27日に北京電視台で放映され(※中国の連続ドラマは集中的に毎日放送することが多い)、日本では1~7月にNHK-BShiで字幕版が放映された。原作が根強い人気を誇るわりには、残念ながら、さほど注目を集めなかったように思う。しかも日本語吹き替え版の放送が、よりによって尖閣諸島問題で、日中国民感情のこじれたこの時期。あ~あ。商業的な失敗は目に見えている。

 まあ、いいわ。年来の中国ドラマファンとしては、日本のテレビで本格的な中国古装劇(時代劇)が見られるという、かつてない(今後もしばらく無いであろう)機会を、半年間、存分に楽しむことにしたいと思う。デジタル画面で見ても、衣装やセットの美しさは半端でない。

 NHKの公式サイトは、このドラマについて「台湾出身の人気女性脚本家・楊海薇(Yang Hai wei)がシナリオを執筆しています。浅田次郎の名作をもとに、近年の歴史研究を踏まえ、これまでの清朝末期の宮廷イメージを打ち破る人間ドラマとして描いています」という説明を載せている。原作・浅田次郎よりも、脚本家・楊海薇の名前が先に来ているのは、原作とは異なる一個の「作品」として見てほしい、というメッセージだと思う。大陸中国ではなくて、台湾の脚本家を起用しているというのも面白いと思った。

 ネットで評判を読んでいたら、吹き替え版は、BS字幕版(中国語版)より省略が多いという声があった。気になったので探してみたら、捜狐.comで全話視聴ができるのを発見。もちろん中国語版(中国語字幕)。快適と言えるほどの環境ではないが、なんとか見られる。そして、数分ではあるが、中国語版の本編のほうが長いことが分かった。カットされているのは、いかにも「中国古装劇」らしい、素朴な笑いを誘う楽しい場面で、結果的に、吹き替え版のほうが、真面目で陰鬱なドラマの印象になってしまっているのは惜しい。あと、第2話にして、既に日本語版と中国語版では、物語の進行に少しズレが生じている。中国語版は全28回なんだな。ということは、全25回の吹き替え版とは、後半、物語の進行速度がかなり変わっていくのではないか…。

 私は、吹き替え版で田中裕子の西太后が「皇帝」と呼びかけるのに違和感を感じていたが、中国語版でも同じように呼んでいて、ちょっと驚いた。あれで正しいのか。臣下→皇帝は「皇上」を使うんだけどね。あと、小さいことだが、吹き替え版では西太后が「乾隆帝」と呼んでいるが、中国語版では「乾隆爺(おじいさま)」と呼んでいるのに納得。しばらく、中国語版と対比させながら見ていこうと思う。

 ちなみに、この動画サイト、投票や感想の投稿もできるようになっていて、「阿信的慈禧,可能是史上慈禧演得最好的(おしん・田中裕子の慈禧=西太后は、これまでで最もすばらしい西太后かもしれない)」なんて感想も投じられている。うん、心配していたけど、第2話まで見た限りでは、私もかなりいいと思ってる。
コメント
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