○東京美術倶楽部 『第18回東美特別展』(2010年10月15~17日)
東京美術商協同組合が主催する特別展示・販売会。毎年、この時期には「東美アートフェア」という3日間の展示即売会が行われている。一昨年、山下裕二氏のギャラリートークにつられて、初めて行ってみたら、驚くことばかりで楽しかった。昨年は行かれなかったので、今年こそは!と楽しみにしていたが、ちょっと趣旨が違っていて「3年に1度の特別展示・販売会」だという。ふぅーん。例年よりパワーアップするってことかな。一般人でもチケットを買えば入場できることは「アートフェア」と変わらないらしいので、行ってみることにした。
何しろ50万や100万の値札は当たり前、という美術即売会である。前回は、汚いジーンズ姿で行って浮いてしまったので、めったに着ないワンピース+落ち着いたメイク(笑)で、100万円くらいなら即金で買いますわよ、というハイソな奥様の雰囲気を心がけつつ、出かける。今回の出展ブースは、地下1階から4階まで全65店舗。ただし、「アートフェア・秋」が古美術のみ(※「春」は現代美術のみ)だったのに対し、この「東美特別展」は両者が混在している。また、「アートフェア」に比べると、自慢の逸品の顔見せに重点があるのか、値札がついていないものが多かった。
いちばん衝撃的だったのは、万葉洞のブースで見た『扇面京名所図』6枚(狩野宗秀筆、天正年間)。金地の扇面に京洛の四季を描いたもの。神戸市立博物館の『都の南蛮寺図』の一具である。もとは全61枚あったそうだが、現在は、神戸市博のほか、藝大に1枚、東博に1枚、出光に2枚(※『屏風の世界』に出ていた『洛中名所図扇面貼付屏風』のこと)などが伝わるのみ。それが6枚も揃うのは奇跡みたいなものだ。
図柄は、北野天満宮(梅が咲いてる?)、五条橋(中の島を挟んで二股に流れる紺青の川、水浴する人々)、紅葉の高雄(だったかな?それとも嵐山?橋を渡って石段を登ると山寺らしき門)、雪景色の社殿(上賀茂?社頭に一対の狛犬)、それと商家の並んだ街中の図が2件。展示場には、きちんと地名が表示されていたのだが、メモを取ってくるのを忘れてしまい、いま、カタログの写真を見ながら書いている。さらにこの特別展の素晴らしいところは、展示ケースのガラスなしで、本物に対面できることだ。
桃山ものでは、石黒ギャラリーの『大原御幸図』屏風もよかった。水戸幸商会の『三十六歌仙図屏風』(慶長年間の金屏風、狩野孝信筆か)は大きさに圧倒された。もちろん、これらも展示ケースなんて無粋なものはなし。茶道具では、谷庄の道入黒茶碗(銘・金毛)は、勇気を出して手に取って拝見させていただいた。遠目に見ていた店員さんの手前、玄人らしく平静を装ったんだけど、ドキドキしていたのがバレたかなあ…。宝満堂の明治の七宝焼コレクションは眼福だった。小品だが優品揃い。「輸出用につくられたものが多いので、国内にはあまり残っていないんです」と店員さん。並河靖之の『龍文瓢形花瓶』はめずらしい図柄だと思う。うわ~欲しい…。
このほか、銅鏡、青磁、根来、絵唐津、蒔絵、朝鮮陶磁器など、工芸品に目を引くものが多かった。あと、刀剣もケースなしでむき出しに展示されているのにはびっくりした。離れたところに、警備員さんがいるにはいたけど。また、店員さんの話を立ち聞きするのも楽しみのひとつ。さすが作品(商品)に関する知識豊富で、下手な学芸員のギャラリートークより面白い。「これは模本だからそんなにしないよ、300万円くらい」とか「これは1千万はいくねえ」なんて声がぼそっと聞こえることもある。
東京美術商協同組合が主催する特別展示・販売会。毎年、この時期には「東美アートフェア」という3日間の展示即売会が行われている。一昨年、山下裕二氏のギャラリートークにつられて、初めて行ってみたら、驚くことばかりで楽しかった。昨年は行かれなかったので、今年こそは!と楽しみにしていたが、ちょっと趣旨が違っていて「3年に1度の特別展示・販売会」だという。ふぅーん。例年よりパワーアップするってことかな。一般人でもチケットを買えば入場できることは「アートフェア」と変わらないらしいので、行ってみることにした。
何しろ50万や100万の値札は当たり前、という美術即売会である。前回は、汚いジーンズ姿で行って浮いてしまったので、めったに着ないワンピース+落ち着いたメイク(笑)で、100万円くらいなら即金で買いますわよ、というハイソな奥様の雰囲気を心がけつつ、出かける。今回の出展ブースは、地下1階から4階まで全65店舗。ただし、「アートフェア・秋」が古美術のみ(※「春」は現代美術のみ)だったのに対し、この「東美特別展」は両者が混在している。また、「アートフェア」に比べると、自慢の逸品の顔見せに重点があるのか、値札がついていないものが多かった。
いちばん衝撃的だったのは、万葉洞のブースで見た『扇面京名所図』6枚(狩野宗秀筆、天正年間)。金地の扇面に京洛の四季を描いたもの。神戸市立博物館の『都の南蛮寺図』の一具である。もとは全61枚あったそうだが、現在は、神戸市博のほか、藝大に1枚、東博に1枚、出光に2枚(※『屏風の世界』に出ていた『洛中名所図扇面貼付屏風』のこと)などが伝わるのみ。それが6枚も揃うのは奇跡みたいなものだ。
図柄は、北野天満宮(梅が咲いてる?)、五条橋(中の島を挟んで二股に流れる紺青の川、水浴する人々)、紅葉の高雄(だったかな?それとも嵐山?橋を渡って石段を登ると山寺らしき門)、雪景色の社殿(上賀茂?社頭に一対の狛犬)、それと商家の並んだ街中の図が2件。展示場には、きちんと地名が表示されていたのだが、メモを取ってくるのを忘れてしまい、いま、カタログの写真を見ながら書いている。さらにこの特別展の素晴らしいところは、展示ケースのガラスなしで、本物に対面できることだ。
桃山ものでは、石黒ギャラリーの『大原御幸図』屏風もよかった。水戸幸商会の『三十六歌仙図屏風』(慶長年間の金屏風、狩野孝信筆か)は大きさに圧倒された。もちろん、これらも展示ケースなんて無粋なものはなし。茶道具では、谷庄の道入黒茶碗(銘・金毛)は、勇気を出して手に取って拝見させていただいた。遠目に見ていた店員さんの手前、玄人らしく平静を装ったんだけど、ドキドキしていたのがバレたかなあ…。宝満堂の明治の七宝焼コレクションは眼福だった。小品だが優品揃い。「輸出用につくられたものが多いので、国内にはあまり残っていないんです」と店員さん。並河靖之の『龍文瓢形花瓶』はめずらしい図柄だと思う。うわ~欲しい…。
このほか、銅鏡、青磁、根来、絵唐津、蒔絵、朝鮮陶磁器など、工芸品に目を引くものが多かった。あと、刀剣もケースなしでむき出しに展示されているのにはびっくりした。離れたところに、警備員さんがいるにはいたけど。また、店員さんの話を立ち聞きするのも楽しみのひとつ。さすが作品(商品)に関する知識豊富で、下手な学芸員のギャラリートークより面白い。「これは模本だからそんなにしないよ、300万円くらい」とか「これは1千万はいくねえ」なんて声がぼそっと聞こえることもある。