○畠山記念館 春季展『国宝 離洛帖と蝶螺鈿蒔絵手箱-伝えられた日本の美-』(2011年4月9日~6月19日)
題名のとおり、本展の見どころは、藤原佐理筆『離洛帖』(4/9~24,5/24~6/19展示)と『蝶螺鈿蒔絵手箱』(5/14~6/5)の2件の国宝である。ただし、2件をまとめて見られる期間は、5月末~6月初めの2週間弱。ちょっとぉズルくない?と苦笑したが、個人的には『離洛帖』さえ見られれば問題なし。
座敷壁面の展示ケースには、左から伝・公任筆の「大田切(和漢朗詠集)」。近衛家伝来だそうだ。水色と黄色を切り継いだ唐紙に濃い墨色が美しい。漢字が多い(字画が多い)ので、余計に墨色が黒く感じられる。隣りは宗達筆『蓮池水禽図』で、ふわりと宙に浮かんだ風船みたいな蓮の花と葉が、のびのびした薄墨で描かれている。小さな水鳥が懸命に足掻く姿に元気があってかわいい。光琳筆『躑躅図』をはさんで、佐理の『離洛帖』の墨色は変幻自在。
今回、この一列は、水墨画と古筆切で統一されている。伝・岳翁蔵丘筆『春景山水図』にわずかに淡彩が使われているが、ほとんど目立たないので、墨の美学の競演という印象である。でも、書籍(特に仏典や漢籍)の印刷に使われた墨が、油分の多い、てらてらと輝くような黒であるのに対して、水墨画と古筆切の墨は、限りなく水になじみやすい、あわあわとした黒に感じられる。実際に、どの程度成分が違ったのか、違わなかったのかは、よく分からないが…。
また、本展には、大正~昭和の職人の工芸作品が数多く出ている。畠山即翁は、東都の職人を重用し、戦時下においても援助を惜しまなかったそうだ。その一例として、漆芸家・仰木政斎に命じて、中尊寺金堂の須弥壇を模してつくらせた畠山家の仏壇の写真と、供物机(実物)が展示されていた。こういう金持ちの道楽って、意味がないようであるんだなあ。
題名のとおり、本展の見どころは、藤原佐理筆『離洛帖』(4/9~24,5/24~6/19展示)と『蝶螺鈿蒔絵手箱』(5/14~6/5)の2件の国宝である。ただし、2件をまとめて見られる期間は、5月末~6月初めの2週間弱。ちょっとぉズルくない?と苦笑したが、個人的には『離洛帖』さえ見られれば問題なし。
座敷壁面の展示ケースには、左から伝・公任筆の「大田切(和漢朗詠集)」。近衛家伝来だそうだ。水色と黄色を切り継いだ唐紙に濃い墨色が美しい。漢字が多い(字画が多い)ので、余計に墨色が黒く感じられる。隣りは宗達筆『蓮池水禽図』で、ふわりと宙に浮かんだ風船みたいな蓮の花と葉が、のびのびした薄墨で描かれている。小さな水鳥が懸命に足掻く姿に元気があってかわいい。光琳筆『躑躅図』をはさんで、佐理の『離洛帖』の墨色は変幻自在。
今回、この一列は、水墨画と古筆切で統一されている。伝・岳翁蔵丘筆『春景山水図』にわずかに淡彩が使われているが、ほとんど目立たないので、墨の美学の競演という印象である。でも、書籍(特に仏典や漢籍)の印刷に使われた墨が、油分の多い、てらてらと輝くような黒であるのに対して、水墨画と古筆切の墨は、限りなく水になじみやすい、あわあわとした黒に感じられる。実際に、どの程度成分が違ったのか、違わなかったのかは、よく分からないが…。
また、本展には、大正~昭和の職人の工芸作品が数多く出ている。畠山即翁は、東都の職人を重用し、戦時下においても援助を惜しまなかったそうだ。その一例として、漆芸家・仰木政斎に命じて、中尊寺金堂の須弥壇を模してつくらせた畠山家の仏壇の写真と、供物机(実物)が展示されていた。こういう金持ちの道楽って、意味がないようであるんだなあ。