○サントリー美術館 『大阪市立東洋陶磁美術館コレクション 悠久の光彩 東洋陶磁の美』(2012年1月28日~4月1日)
東京人の私が、はじめて大阪市立東洋陶磁美術館のコレクションに触れたのは、2007年、三井記念美術館で開催された『美の求道者 安宅英一の眼-安宅コレクション』展だったと思う。その衝撃はすごかった。爆風で吹き飛ばされたみたいに圧倒的だった。いったい、このコレクションは、どうやって形成され、なぜ大阪市のものになったのかが知りたくて、伊藤郁太郎著『美の猟犬』(日本経済新聞社、2007)を読み、さらに衝撃を受けた。
その後、東洋陶磁美術館へは、2008年、2010年、2011年と、面白そうな特別展をやっているときをねらって訪ねているが、いつも時間が足りなくなって、常設展示を回り切れたためしがない。なので、私の好きな耀州窯の『青磁刻花牡丹唐草文瓶』とか定窯の『白磁銹花牡丹唐草文瓶』を、ゆっくり眺めるのは、三井記念美術館以来だと思って、苦笑した。
本展の構成は、第1章(4階展示室)「中国陶磁の美」から始まる。安宅コレクションの個性が強く出ているのは、朝鮮陶磁のほうなのに…。しかも(時系列に配慮したのだろうけど)緑釉楼閣(後漢時代)や三彩獅子(唐時代)からだったので、ちょっと違和感。やはり冒頭には、コレクションを代表する名品を飾ってほしかった。まあでも、唐代の加彩婦女俑を見て、あ、これ、東洋陶磁美術館ではいつも回転してるやつだ、と思い出したりする。
展示品は、おおよそ時系列に従いながら「青いうつわ」「白いうつわ」みたいに、色でカテゴライズされている。数は少ないが印象的な「黒いうつわ」は、健窯の『油滴天目茶碗』(南宋時代・国宝)。いやーあまり好きではなかったのだが、この展覧会で、初めていいと思った。高い位置からの間接照明のせいか、この茶碗を真横から見ると、びっしり詰まった銀色の「油滴」が、カットガラスのように輝き、その中に、何か黒い塊が蹲っているように見えるのだ。
3階に下りると、階段直下のホールにも展示ケースを増設して、第2章「韓国陶磁の美」が始まる。うんうん、やっぱり安宅コレクションの白眉は韓国陶磁だなあ、と思う。特に朝鮮時代の絵付の壺は、ケースをぐるりと一周できる状態で展示されているものが多くて、嬉しい。正面だけでなく、裏側も覗いてみると、作品の魅力が倍増すると思う。『青花虎鵲文壺』のカワウソみたいに胴の伸びた虎とか、『粉青線刻鳳凰文扁壷』は鳳凰に見えなくて、笑える。『粉青線刻柳文長壺』のバナナあるいは椰子のような柳の木も大好き。
なお、東洋陶磁美術館のサイトにいくと、『収蔵品紹介』のページで、ここに挙げた作品のほとんどの画像を閲覧し、解説を読むことができることを知った。大したものだと思って、感心してしまった。
東洋陶磁美術館は、現在「空調・照明等の設備工事のため休館」しているらしい。今年は開館30周年だそうだが、施設は老朽化していないのかな。大丈夫かな。老婆心だが、このところ、私は橋下大阪市長の文化行政に、かなり気を揉んでいるのである。あの美術館は、今くらいの来館者数だから落ちつけるので、集客アップしなければ事業廃止とか言わないでね、頼むから。
東京人の私が、はじめて大阪市立東洋陶磁美術館のコレクションに触れたのは、2007年、三井記念美術館で開催された『美の求道者 安宅英一の眼-安宅コレクション』展だったと思う。その衝撃はすごかった。爆風で吹き飛ばされたみたいに圧倒的だった。いったい、このコレクションは、どうやって形成され、なぜ大阪市のものになったのかが知りたくて、伊藤郁太郎著『美の猟犬』(日本経済新聞社、2007)を読み、さらに衝撃を受けた。
その後、東洋陶磁美術館へは、2008年、2010年、2011年と、面白そうな特別展をやっているときをねらって訪ねているが、いつも時間が足りなくなって、常設展示を回り切れたためしがない。なので、私の好きな耀州窯の『青磁刻花牡丹唐草文瓶』とか定窯の『白磁銹花牡丹唐草文瓶』を、ゆっくり眺めるのは、三井記念美術館以来だと思って、苦笑した。
本展の構成は、第1章(4階展示室)「中国陶磁の美」から始まる。安宅コレクションの個性が強く出ているのは、朝鮮陶磁のほうなのに…。しかも(時系列に配慮したのだろうけど)緑釉楼閣(後漢時代)や三彩獅子(唐時代)からだったので、ちょっと違和感。やはり冒頭には、コレクションを代表する名品を飾ってほしかった。まあでも、唐代の加彩婦女俑を見て、あ、これ、東洋陶磁美術館ではいつも回転してるやつだ、と思い出したりする。
展示品は、おおよそ時系列に従いながら「青いうつわ」「白いうつわ」みたいに、色でカテゴライズされている。数は少ないが印象的な「黒いうつわ」は、健窯の『油滴天目茶碗』(南宋時代・国宝)。いやーあまり好きではなかったのだが、この展覧会で、初めていいと思った。高い位置からの間接照明のせいか、この茶碗を真横から見ると、びっしり詰まった銀色の「油滴」が、カットガラスのように輝き、その中に、何か黒い塊が蹲っているように見えるのだ。
3階に下りると、階段直下のホールにも展示ケースを増設して、第2章「韓国陶磁の美」が始まる。うんうん、やっぱり安宅コレクションの白眉は韓国陶磁だなあ、と思う。特に朝鮮時代の絵付の壺は、ケースをぐるりと一周できる状態で展示されているものが多くて、嬉しい。正面だけでなく、裏側も覗いてみると、作品の魅力が倍増すると思う。『青花虎鵲文壺』のカワウソみたいに胴の伸びた虎とか、『粉青線刻鳳凰文扁壷』は鳳凰に見えなくて、笑える。『粉青線刻柳文長壺』のバナナあるいは椰子のような柳の木も大好き。
なお、東洋陶磁美術館のサイトにいくと、『収蔵品紹介』のページで、ここに挙げた作品のほとんどの画像を閲覧し、解説を読むことができることを知った。大したものだと思って、感心してしまった。
東洋陶磁美術館は、現在「空調・照明等の設備工事のため休館」しているらしい。今年は開館30周年だそうだが、施設は老朽化していないのかな。大丈夫かな。老婆心だが、このところ、私は橋下大阪市長の文化行政に、かなり気を揉んでいるのである。あの美術館は、今くらいの来館者数だから落ちつけるので、集客アップしなければ事業廃止とか言わないでね、頼むから。