4月14日は、いよいよ例祭(申の神事)である。午前中は逢坂越えをして京都へ。昼過ぎに坂本に戻ってくる。ちょうど参道の坂を武者行列が、ゆっくり上がってくるところだったが、脇道を通って追い越し、先に西本宮の拝殿に急ぐ。出発を待つ七基の神輿。楼門の内外には、桜のつぼみを挿頭花(かざし)にした駕輿丁(かよちょう)たちがたむろしている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/24/1ac1b34054b96986715e9df9b938d339.jpg)
やがて、侍衆が到着すると、配置につく駕輿丁たち。鎧・烏帽子姿の侍衆だけでなく、衣冠束帯の神主さんも、そぞろ歩いていて、平安末期にまぎれ込んだ気分。神輿は、一基ずつ楼門の外に運び出される。
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いったん下ろして、鳳凰や華蔓、鈴の房など、華やかな装飾が、手早く取り付けられる(上下の写真を比べられたし)。四基は担がれて、鳥居を出て下る。
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三基はトラックの荷台に乗せられて、出発。
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七基とも出発したところで、後を追う。参道に出てみると、先に出た三基は、既に人波のずっと先にあり、ぐんぐん進んで、見えなくなってしまった(このときは、まだ人が担いでいたと思うが、よく分からない)。
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途中で、脇道から大型バスが現れて、参道を下って行った。よく見たら、乗っているのは駕輿丁の男衆たち。一足先に、神輿渡御がおこなわれる乗船場に急ぐらしい。二の宮でも、七基の神輿の出発を見送った束帯姿の神主さんたちは、マイクロバスに乗り込んで下って行った。妙に合理的でドライなところが可笑しい。
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さて、私はこのあとのスケジュールと地理感覚が、よく把握できていなかったので、とにかく徒歩で神輿を追って坂を下って行ったが、もはや神輿の影も形もなく、人影もまばらになるばかり。JR坂本駅前に着いたところで、タクシー乗り場を見つけた。確かネットで見たパンフレットに「七本柳で船に乗る」と書いてあったことを思い出し、「七本柳まで。お神輿が海に出るところです」とお願いしてみる。運転手さんは「ああ、石川町ね」と(たぶん)違う地名をつぶやいて、連れていってくれた。700円くらいだった。
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湖岸に山王鳥居の立つ乗船場では、すでに白装束の駕輿丁たちがスタンバイ。
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私がタクシーで乗り付けるとまもなく、トラックに乗った神輿が到着した。軽トラの荷台や助手席にサムライが乗っていても、あまり違和感を感じなくなってしまった。七基の神輿は、全てトラックに乗って、続々と登場。はじめは担ぎ出された四基も、巡行の途中でトラックに積み直されるのである。
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湖岸の草原にひとまず下ろされる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/cf/c6b575d86281acf802d7b5db79ecc5d0.jpg)
一基ずつ奉安。湖岸と鳥居の間の桟橋で、飛び跳ねて景気をつける。私は、鳥居をくぐった先の平たい台も桟橋の続きかと思ったが、よく見たら、これは湖に浮いている「台船」だった。
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前方から3-2-2のフォーメーションで、七基の搭載が終了。役目を終えた駕輿丁のほとんどは台船を下り、代わって、侍衆が乗り込んで、湖岸に向けて、笑顔で扇を掲げる。
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リズミカルな太鼓の音が響き始め、左側につけていた小型船が、するすると動き始める。
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台船も引っ張られて、ゆっくり湖上に進み出る。
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朝のうちの小雨はすっかり上がり、傾き始めた日差しにキラキラと映える金の神輿、金の扇。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/2b/60ed62333690ccc0438d663f66e7b2d1.jpg)
沖合に遠ざかっていく台船を、呆然と見送る。太鼓の音だけが、いつまでも風に乗って聞こえてくる。右前方には台船を引っ張る船。左後方には「警固」の旗を立てた、ひとまわり小型の船。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/72/c519825df8f7ad4bd7cfed6525339f18.jpg)
のんびりした釣り人。日常と非日常の交錯。
……
いや、面白かった! 社殿の奥や闇の中で粛々と行われる神事と違って、こんなふうに青天白日の下で行われる「祭り」なら、最初から最後まで見物できて当たり前と思っていたので、いきなり見物人を全て置き去りにして、神輿が湖上に去っていくという結末に(分かっていたけど)あっけに取られてしまったのだ。
帰りは、湖岸に沿った道にバス停「石川町」があって、16時過ぎに大津方面に行くバスがあったので、これに乗った。途中、「唐崎」のバス停を通ると、駐車場でスタンバイしている駕輿丁たちの姿を見た。神輿を積んだ台船は、唐崎神社の沖合で神事を行い(上陸はしないらしい)、17時頃、下坂本の比叡辻若宮港の着船場に戻ってくるのだそうだ。そうかー。次回は渡御を見たあと、逆方向のバスで下坂本方面に出て、還御を待つというのもいいかも。
今回は、下調べ不足で右往左往してしまったが、それなりに面白かった。もう一回くらい、来てみたい。
※余談。Googleマップで探すと、宵宮の「神輿振り」が行われた大政所も、この「神輿渡御」の乗船場も、ストリートビューで見ることができ、ちょっと感動した。
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やがて、侍衆が到着すると、配置につく駕輿丁たち。鎧・烏帽子姿の侍衆だけでなく、衣冠束帯の神主さんも、そぞろ歩いていて、平安末期にまぎれ込んだ気分。神輿は、一基ずつ楼門の外に運び出される。
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いったん下ろして、鳳凰や華蔓、鈴の房など、華やかな装飾が、手早く取り付けられる(上下の写真を比べられたし)。四基は担がれて、鳥居を出て下る。
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三基はトラックの荷台に乗せられて、出発。
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七基とも出発したところで、後を追う。参道に出てみると、先に出た三基は、既に人波のずっと先にあり、ぐんぐん進んで、見えなくなってしまった(このときは、まだ人が担いでいたと思うが、よく分からない)。
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途中で、脇道から大型バスが現れて、参道を下って行った。よく見たら、乗っているのは駕輿丁の男衆たち。一足先に、神輿渡御がおこなわれる乗船場に急ぐらしい。二の宮でも、七基の神輿の出発を見送った束帯姿の神主さんたちは、マイクロバスに乗り込んで下って行った。妙に合理的でドライなところが可笑しい。
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さて、私はこのあとのスケジュールと地理感覚が、よく把握できていなかったので、とにかく徒歩で神輿を追って坂を下って行ったが、もはや神輿の影も形もなく、人影もまばらになるばかり。JR坂本駅前に着いたところで、タクシー乗り場を見つけた。確かネットで見たパンフレットに「七本柳で船に乗る」と書いてあったことを思い出し、「七本柳まで。お神輿が海に出るところです」とお願いしてみる。運転手さんは「ああ、石川町ね」と(たぶん)違う地名をつぶやいて、連れていってくれた。700円くらいだった。
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湖岸に山王鳥居の立つ乗船場では、すでに白装束の駕輿丁たちがスタンバイ。
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私がタクシーで乗り付けるとまもなく、トラックに乗った神輿が到着した。軽トラの荷台や助手席にサムライが乗っていても、あまり違和感を感じなくなってしまった。七基の神輿は、全てトラックに乗って、続々と登場。はじめは担ぎ出された四基も、巡行の途中でトラックに積み直されるのである。
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湖岸の草原にひとまず下ろされる。
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一基ずつ奉安。湖岸と鳥居の間の桟橋で、飛び跳ねて景気をつける。私は、鳥居をくぐった先の平たい台も桟橋の続きかと思ったが、よく見たら、これは湖に浮いている「台船」だった。
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前方から3-2-2のフォーメーションで、七基の搭載が終了。役目を終えた駕輿丁のほとんどは台船を下り、代わって、侍衆が乗り込んで、湖岸に向けて、笑顔で扇を掲げる。
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リズミカルな太鼓の音が響き始め、左側につけていた小型船が、するすると動き始める。
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台船も引っ張られて、ゆっくり湖上に進み出る。
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朝のうちの小雨はすっかり上がり、傾き始めた日差しにキラキラと映える金の神輿、金の扇。
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沖合に遠ざかっていく台船を、呆然と見送る。太鼓の音だけが、いつまでも風に乗って聞こえてくる。右前方には台船を引っ張る船。左後方には「警固」の旗を立てた、ひとまわり小型の船。
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のんびりした釣り人。日常と非日常の交錯。
……
いや、面白かった! 社殿の奥や闇の中で粛々と行われる神事と違って、こんなふうに青天白日の下で行われる「祭り」なら、最初から最後まで見物できて当たり前と思っていたので、いきなり見物人を全て置き去りにして、神輿が湖上に去っていくという結末に(分かっていたけど)あっけに取られてしまったのだ。
帰りは、湖岸に沿った道にバス停「石川町」があって、16時過ぎに大津方面に行くバスがあったので、これに乗った。途中、「唐崎」のバス停を通ると、駐車場でスタンバイしている駕輿丁たちの姿を見た。神輿を積んだ台船は、唐崎神社の沖合で神事を行い(上陸はしないらしい)、17時頃、下坂本の比叡辻若宮港の着船場に戻ってくるのだそうだ。そうかー。次回は渡御を見たあと、逆方向のバスで下坂本方面に出て、還御を待つというのもいいかも。
今回は、下調べ不足で右往左往してしまったが、それなりに面白かった。もう一回くらい、来てみたい。
※余談。Googleマップで探すと、宵宮の「神輿振り」が行われた大政所も、この「神輿渡御」の乗船場も、ストリートビューで見ることができ、ちょっと感動した。