見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2017年2月@関西:京博、白描の美(大和文華館)など

2017-02-18 11:02:44 | 行ったもの(美術館・見仏)
京都国立博物館 名品ギャラリー+特別公開 修理完成記念『鳥取・三佛寺の蔵王権現立像』(2017年1月17日~2月19日)

 絵巻は「ふたつの遊行上人縁起絵」(2017年1月17日~2月19日)で真光寺本と金蓮寺本を2巻ずつ展示(佐久の念仏踊の場面と兵庫の一遍上人の御影堂に参る弟子たちの場面)。同じ場面を開けて、比較を容易にしている。真光寺本のほうが、犬とか子供たちとか、本筋に関係ないものを楽しんで描き込んでいる感じ。あと弟子集団の中に、顔が白く唇の赤い、華奢な人々が描かれているのだが、あれは尼僧なのかな。

 仏画は「涅槃図」(2017年1月17日~2月19日)で面白かった~。金輪寺(きんりんじ、亀岡?)の巨大な仏涅槃図は元代絵画を模倣したもの(14世紀)といわれる。宝台(釈迦の寝台)の前で胡人が踊っているというのはよく分からなかったが、阿修羅(?)が左右にいたり、白象が鼻で牡丹(?)の花を掲げていたり、よく分からない動物がいたり、面白かった。長福寺の仏涅槃図も宋元画の影響があるという。象が白象でなく、リアルな灰色をしていた。

 中世絵画の「瀟湘八景図」(2017年1月17日~2月19日)は知らない作品をたくさん見ることができ、さすが京都だなと思う。細見美術館の秀盛筆『瀟湘八景図』(15世紀)は八幅揃いで出ていた。ちょっと泥臭くて素人風の魅力がある。単庵智伝筆『煙寺晩鐘図』も細見美術館所蔵。琳派だけではないのだな。相阿弥筆『瀟湘八景図』(小幅)(大仙院所蔵)はふわふわと柔らかでかわいい。童話の世界みたい。大仙院には、この大判、襖絵の瀟湘八景図もあるのだな。見に行きたい。

 近世絵画の「富士山の絵画」(2017年1月17日~2月19日)もバラエティ豊かで楽しい特集だった。中国絵画は「須磨コレクションの嶺南派絵画」(2017年1月17日~2月19日)。

 1階・彫刻の展示室に1体だけ、修理完成記念の鳥取・三佛寺の蔵王権現立像がいらしていた。木目のよく分かる木造仏である。大きな目を丸く見開いて、きかん気の子供のような顔をしていた。蔵王権現であるけれど、あまり高く右足をあげず、左足より少し高いくらいの位置に踏み出し、体を傾けて動きを出している。

 ここまで初日。京都国立博物館が土曜日20時まで開館してくれているのは、旅行者にとって本当にありがたい。

大和文華館 特別展『白描の美-図像・歌仙・物語-』(2017年1月6日~2月19日)

 京都で見たかった展覧会を土曜日に効率よく制覇できたので、日曜の朝は、奈良に足をのばすことにした。白描は大好きなのである。以前、大和文華館で同じような展覧会を見た記憶があって、調べたら2012年に『清雅なる仏画-白描図像が生み出す美の世界-』という特別展を行っている。今回は、図像・歌仙絵・物語絵を合わせて取り上げ、中世の白描図像から幕末のやまと絵作品にまで視野を広げる展覧会だという。

 まず、おすすめの名品として『尹大納言絵巻断簡』(五島美術館)。すごくかわいいのだけれど、あまり記憶がないのは、2012年に見て以来だろうか。『源氏物語浮舟帖』(大和文華館)は画面の大部分を山水の風景が占めるのが、物語絵として面白い。『時代不同歌合絵(白描上畳本)・延喜帝』(個人蔵)は気品があるなあと思って見とれた。いずれも鎌倉時代。

 次に「図像(仏画)」「歌仙」「物語」というカテゴリーごとに見ていく。歌仙絵は、室町時代の『時代不同歌合絵・伊勢と藤原清輔』(徳川美術館)が、鎌倉時代の図像(個人蔵)を真似ようとしており、画力がなくて模倣し切れていないところに、かえって味わいが出ているのが面白かった。物語絵は、知らない作品をたくさん見ることができた。石山寺所蔵の『源氏物語絵巻・須磨』(室町時代)が稚拙すぎて、かわいすぎて、もっと見たい。室町時代の絵巻は何とも言えず好きだ。

 根津美術館の『伊勢物語・源氏物語図屏風』は金雲の間に白描で物語の場面を描いたもの。後期は「源氏物語」の展示で、「葵の巻のみ二場面描かれている」というので探したら、車争いらしい場面と碁盤の上の姫君(紫の上)の場面を見つけた。花の宴がどう描かれているかも探したのだけど、物語の流れに沿った配置になっていないようで、よく分からなかった。

 ちょうどこの日(日曜)は初午の日だったので、京都に戻る途中、伏見稲荷にお参りして旅行のシメとする。参道には各国語がとびかい、にぎわっていた。
コメント (4)
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