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権利問題に決着がつき、ここ数年というもの新作映画だの実写版だのが制作された『宇宙戦艦ヤマト』のテレビシリーズ・リメイク版ですが、その30分フィルム2話分を上映するというので、公開2日目に劇場まで足を運んできました。
考えてみれば、1974年なんて大昔の作品です。どんなに好きな話でも今の時点で冷静に評価してみれば、作画は荒いし、ストーリーには粗があるし、設定には穴があるというのは否定できません。それを、もともとの面白さを残しつつ、今の水準で再構築してリメイクしてしまおうというのが今回の企画。
J.J.エイブラムス版の『スタートレック』も好きだし、安彦版『ガンダム・オリジン』も大好物な私なので、こういうのは見のがすことはできません。
劇場に出かけてみれば、ほぼ満席。
でも、年齢層が高すぎ。男性客も女性客も下が30代、上が60代でもっとも多いのが50前後というところでしょうか。大学生以下らしい観客はほとんど見当たりません。内容的にはオリジナル版の3話までを2話に凝縮しています。
感想として内容的に不満な点をあげるなら、戦艦の動きが軽いということでしょうか。
確かに広大な宇宙空間での戦闘なので、戦艦といえども超高速になるのは当然です。科学考証として正しいのだと思いますが、やはりあえて「フネ」の形のものを宇宙に飛ばす話です。セルの時代に、動きがガタガタするのを覚悟の上でゆっくり動かして重厚な大型艦の動きを表現していた話です。CGだからこそ、じっくり機動を見せて欲しかったなあ……と、不満点はこれくらい。
(……あとでDVDを確認したらオリジナルも同じくらいの速い動きでした……思い出の脳内補正に侵されていたことを認識し、慌てて旧作をDVDで再度視聴)
西暦2199年。人類は謎の敵ガミラスの攻撃を受け、その圧倒的な軍事力の前に地球は滅亡寸前にまで追い込まれていた。
そして、今、沖田宙将が指揮する最後の国連宇宙軍の艦隊が、冥王星沖で艦隊決戦に突入していた。しかし、敵艦の圧倒的な火力と装甲の前に地球艦は次々に轟沈していく。
だが、この艦隊決戦そのものが、単なる陽動作戦に過ぎなかったのだ……。
いろいろオリジナル版の辻褄合わせをしっかりしているといいつつ、「赤錆た沈没艦」はしっかり残してましたね。最初から地下ドックで建造してれば良かった話ですが、やはり夕日を浴びてそそり立つ、赤錆びた戦艦の艦橋という絵は捨てられなかったようです。“もともとの面白さ”なんて、人それぞれでしょうが、このあたりの美学が譲れなかった一線なんでしょう。
正体不明の敵との激しい宇宙艦隊戦が続く中、ちゃくちゃくと進められる反攻のプロジェクトと新造戦艦の建造……という描き方は、ミリタリー系SFが好きな人間にはたまらないです。最近の小説で言うなら
『彷徨える艦隊』とか
『防衛戦隊、出陣!』あるいは
『銀河乞食軍団 黎明篇』、ちょっと前なら
『降伏の儀式』。アニメなら『トップをねらえ!』とか『新世紀エヴァンゲリオン』のヤシマ作戦とかのあたり。
地球艦隊は劣勢といいつつ、敵の主攻撃が冥王星からのロングレンジ攻撃に切り替わった経緯とか、撃墜王の活躍とかを挟むことで、そんなに一方的に負けているだけじゃないよという点もアピールしてます。
人間ドラマをしっかり積み上げるミリタリーSF。
ヤマトがさまざまなクリエイターたちに影響を与えていろんな作品が生まれきたわけですが、そのフィードバックが働いていることがしっかり伝わってきます。
思い出補正とノスタルジーのフィルターだけが問題ですが、DVDで旧作を1話から見直せば2話が終わらないうちに「ごめんなさい。2199に文句はありません」と土下座状態に。あの違和感があった宇宙艦の高速機動さえ、オリジナルは同じくらい高速で、かつ比べものにならないくらい動きが雑でした……。
無事にシリーズが完結し、新たな礎となることを願ってやみません。
中1の末っ子も帰り道に鼻歌でヤマトを歌っていたから、気に入ってるんじゃないかしら。劇場でDVDを購入して帰宅。もう1ヶ月も待てば一般販売だけれど、これは帰ってすぐに見返したい作品。
ガンダムUCは劇場でなくてもブルーレイで十分だなあと思ったけれど、ヤマトは次も劇場で観たいです。
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