付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「フルメタル・パニック! アナザー(5)」 大黒尚人 

2013-03-15 | ミリタリーSF・未来戦記
 社長のマオがテロで倒れた民間軍事会社D.O.M.S.で会社乗っ取りが進む中、達哉たちは内戦が続く東南アジアのバリクへと送り込まれたのだが……。

 急転直下の新展開なのだけれど、もう一つわくわくできず。

【フルメタル・パニック! アナザー5】【大黒尚人】【賀東招二】【四季童子】【富士見ファンタジア文庫】【民間軍事会社】【ファイヤーフォックス】
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「彷徨える艦隊8~無敵戦艦インビンシブル」 ジャック・キャンベル

2013-03-04 | ミリタリーSF・未来戦記
「まともに仕事をするための時間は足りないのに、どうして、やりなおしのための時間はたっぷりあるんですか?」
 単純な論理が通用しないのが世の中。

 100年続いた大戦争を終わらせた英雄も宇宙艦隊も戦争が終われば無用の長物。むしろクーデターを起こさなくても選挙に出ただけで政権を取れそうな英雄は政敵になるだけ邪魔とばかり、整備も済まない宇宙艦隊ごと深宇宙へ追いやられたギアリー元帥とその宇宙艦隊。
 ところが、いきなり交渉不可能で好戦的な異星人の攻撃を受けるが、こちらは耐用期限が切れたのか、戦う前から損害が続出……。

 ギアリー元帥の話も8冊目。いきなり、タイトルの無敵戦艦インビンシブルが沈むところから始まります。例によって逆境の連続ですが、今回の勝利の鍵は上等兵曹とダクトテープ。
 著者あとがきで「宇宙大作戦」で育ったことを告白していますが、確かにそんな雰囲気がないでもありません。エイブラムス版と相性がいいかも。

【彷徨える艦隊8】【無敵戦艦インビンシブル】【ジャック・キャンベル】【寺田克也】【ハヤカワ文庫SF】【ファーストコンタクト】【精神ブロック】【死人に口なし】
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「七都市物語」 田中芳樹

2013-01-19 | ミリタリーSF・未来戦記
 未曾有の大惨事“大転倒”(ポールシフト)によって地球の地軸は90度転倒し、地球上の人類は壊滅的な被害を受けた。
 月面都市に移民していた人類は地上に救いの手をさしのべ、地上に7つの都市を建設したが、同時に地球に月が攻撃されることのないよう地上500メートル以上を飛ぶ飛行体をすべて撃墜する「オリンポスシステム」を設置。
 ところが、今度は謎の疫病によって月面都市が滅び去ってしまい、オリンポスシステムが稼動状態のまま放置されてしまう……。

 航空技術の制限された世界での、残された人類の覇権争いを描いた連作短編集。小林智美のファンタジーっぽい表紙が魅力的ですが、中身はがちがちのミリタリー&ポリティカルSFです。

【七都市物語】【田中芳樹】【小林智美】【ハヤカワ文庫SF】【架空歴史小説】
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『宇宙戦艦ヤマト2199』 第四章「銀河辺境の攻防」BD

2013-01-17 | ミリタリーSF・未来戦記
 公開2日目の朝一番に名駅前のミッドランドスクエアシネマへ。
……やはり、ブルーレイは売り切れ。しかし、こんなこともあろうかと、初日に観に行った人に購入を依頼済み。まったく、侮りがたし。客席を見回せばどこぞの商工会の賀詞交歓会かと思うほどの年齢層の高さ。隣のスクリーンで上映していた、「映画 立川談志」と互角かそれ以上で、しかも満席。話だと、初日は既に朝7時には70人くらいは物販で並んでいて、しかもグッズに3万4万と余裕で投入していたとか。そりゃあ、みんな金はあるわなあ……。

 辺境の蛮族ガトランティスの艦隊を駆逐したドメル将軍は、特一級デスラー十字章を授与されることとなり、帝都バレラスへと召喚された。そこで総統デスラーは、上級大将となったドメルにイスカンダルの関与が疑われる宇宙戦艦の討伐を命じた。
 大艦隊を率いて中継ゲートでもあるバラン鎮守府に向かうこととなったドメルは、ひそかに先行して次元潜行艇をヤマト狩りに送り込んでいた……。

 今回は第11話から第14話まで。オリジナルシリーズだと、デスラー機雷を突破して、下品な将軍が落とされ、巨大コロナを波動砲で吹き飛ばし、ガミラスのパイロットを捕虜にして殺しかけて解放して、宇宙嵐で足止めを食って餅つきをしたところまで。いろいろあれこれオリジナル・エピソードをつぎ込んでいるようですが、基本的なプロットは順調に消化してます。まあ、女性キャラが増えて森雪がヒロインとしての出番が減らされたとも言いますが、古代進もそのエピソードが他キャラに使われて薄くなっているかも。
 内容の見所はいろいろあり、ヒロインたちの下着で就寝、ストレッチしてお風呂とか横島な萌えシーンも多かったのに、終わってみればドメル将軍とフラーケン艦長のシーンしか頭に残りませんでした。艦隊戦とか対潜戦闘とか燃えどころいっぱい。BGMは白色彗星のテーマのディスコ「不滅の宇宙戦艦ヤマト」バージョンのさらにアレンジ。これがデスラー襲撃だったら号泣してます。
 あえて、それ以外を思い出すなら、そろそろ書類ケースに爆弾とかありそうなことと、(伏線張り過ぎなので)イスカンダルに到着してからの三角関係か四角関係が怖いなーということ。次回ビーメラ星のアナライザーと森雪のエピソードが薮と新見に置き換わっていたら、涙でスクリーンが見えなくなるのでそれだけは避けて欲しいと思います。

【宇宙戦艦ヤマト2199】【第四章「銀河辺境の攻防」】【出渕裕】【結城信輝】【とらんきーらいざー?】【Dr.千葉】【処女戦士ジレル】【サブマリン707】【眼下の敵】【アクエリアス】【バルス】【トリさん】
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「宇宙軍士官学校2」 鷹見一幸

2012-11-30 | ミリタリーSF・未来戦記
「知識というのは、考えるための材料だ。知識を身につけただけじゃ意味がない」
 大事なことは、知識を組み合わせて最適の選択肢を選ぶことだ。

 特別士官候補生40名は、有坂恵一を艦長とした練習戦艦アルテミスで訓練航海に旅立ったが、与えられた試験は想像以上の試練だった……。

 『大戦前夜』や『老人と宇宙』に匹敵するハードで面白いミリタリーSF。でも、「おれたちの参考書はSFとマンガだ」と正面からいわれると「それを言っちゃあおしまいだよ」という気分に。同じようなことをニーブン&パーネルも言ってるんだけれどね。
 「前哨-スカウト」は1巻のサブタイトルかと思ったら、シリーズ共通のようです。今後の展開次第ということかな。

【宇宙軍士官学校】【前哨】【鷹見一幸】【太田垣康男】【銅大】【ハヤカワ文庫JA】【エンダーのゲーム】【幼年期の終り】【百億の昼と千億の夜】【ブービートラップ】
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『宇宙戦艦ヤマト2199』 第三章「果てしなき航海」BD

2012-11-24 | ミリタリーSF・未来戦記
……は売り切れだった。
 通常版は1ヶ月後か……。公開2日目の午後一でこれかよ。毎回厳しくなっていくなあ……。
 劇場では若い娘さんたちがタイバニに流れ、年配のおっさんと小さい子供連れがヤマトに流れる構図でした。
 そしてグッズ売り場はブルーレイのみならず、ヒルデ・グッズも既に壊滅。あれだけ美少女クルーが増えていて、まだ美少女が欲しいのかいっ!

 というわけで、今回は地球にお別れ会、ガス生命体と太陽フレアの回と、アナライザーが自我に悩む回、そして宇宙サルガッソーの全4話。
 本来ならアステロイド・ベルト回転あたりの話で、オリジナル版だともう少し先にあった、アナライザーの主役話とか次元断層話が前倒しで来ていますし、第四章の予告だと本来ならばヤマト3に登場するキャラまで登場するらしく、どこまで前倒しすんねん!と。
 
 J・J・エイブラムス版の『スタートレック』が構成要素のすべてがスタトレでありながら、できあがりがなんとなくスターウォーズっぽいように、この作品もちゃんとヤマトの要素をしっかり詰め込みながら、できあがりの雰囲気はなんとなく『スタートレック』。ヴォイジャーみたいな群像劇になってるなーという気がしました。逆にそう思うと、艦に乗り込んでいる保安要員が空間騎兵隊ではなく保安部というあたりにも納得できたりして。(2012/10/14)

 やっとこさディスクが到着。劇場で観てから40日ぶりの再見。
 ふむ。OPはやはり途中からアップテンポなバージョンに切り替わるのね。真田さんや沖田艦長の洞察力はあいかわらず神がかっているなあと、まるっきりオリジナルをなぞるわけでもなく、改変しすぎて原作の雰囲気が吹き飛ぶでもなく、絶妙な舵取りをしているなあと思いました。
 機関士の薮くんが原作より出番が増えると共に、すごく親近感のわくキャラになっていると痛感。彼には幸せになって欲しいなあ……。

【宇宙戦艦ヤマト2199】【第三章「果てしなき航海」】【出渕裕】【結城信輝】【キャットファイト】【人工知能】【船魂】【大タラン・小タラン】【融和政策】【辺境の蛮族】【市民権】【赤道祭】
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「フルメタル・パニック! アナザー(4)」 大黒尚人 

2012-09-27 | ミリタリーSF・未来戦記
 今回は民間軍事会社D.O.M.S.が西アフリカに介入した顛末で1編、家出をしたクララを迎えに彼女の父親のところまで行き、牧場の決闘に巻き込まれる話が1編。
 民間軍事会社が投入される局面って、たいていはきな臭い話にしかならなくて、クライアントを裏切るか、クライアントに裏切られるかということなんですよね。

【フルメタル・パニック!】【アナザー(4)】【大黒尚人】【賀東招二】【四季童子】【富士見ファンタジア文庫】【民間軍事会社】
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「E.G.コンバット 3rd」 秋山瑞人

2012-08-18 | ミリタリーSF・未来戦記
 帯のキャッチコピーは「地球に降りても笑ってもらいます」とか書いてあるけれど、そんな話じゃないよね? コピーを考えた担当が騙す気まんまんだったのか、読みもしないで書いたのか、それともこういう話で笑える人だったのか……。
 カデナ受難の1冊。

 反逆容疑で押し込められた懲罰独房で虐待を受ける、カデナ・メープルリーフを救ったのはルノアだった。直接指導をしたことこそなかったけれど、彼女もまたルノアの教え子だった。
 だが、ルノアは宿敵ラセレーナからの嫌がらせメールに不審な点があることに気づく。ライバルというよりは仇敵同士であり、ルノアを出世街道から追い払ったラセレーナが何をわざわざルノアに伝えようとしているのか。
 解読されたメッセージは「SOS」。
 地球で何が起きているのか? 真相を探るため命令を無視して愛機クレイプと共に単身地球へと降下しようとするルノアだが……。

 長男絶叫の3巻目。盛り上がるだけ盛り上げ、危機感をあおるだけあおったあげくの「続く」。カデナはいったいどうなる!?

【E.G.コンバット 3rd】【秋山瑞人】【☆よしみる】【ルノア無双】【論理爆弾】【脱柵行為】【軌道猟兵】【シナリオ13】
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「宇宙軍士官学校1」 鷹見一幸

2012-08-13 | ミリタリーSF・未来戦記
「他愛のない会話の中から重要な情報を聞き出すのは、女の子の得意とするところだもの」
 ライラ・ヨルゲンセンの言葉。

 21世紀初頭、地球外文明によってもたらされたテクノロジーによって人類の文明は大きく飛躍し、地球には統一政府が生まれていた。
 最初の接触から15年。それまで人類にテクノロジーを与えるだけだった異星人たちから、1つの要望が出された。銀河文明に適応する子供たちを傭兵として送り出して欲しいというのだ。
 むろん強制ではないし、拒否したとしても援助はこれまで通りにおこなわれるだろう。しかし「義務を果たしたものに敬意を」というのは、どの文明でも共通の価値観なのだ……。

 最近のライトノベル界隈では、科学技術で後れをとっている地球が銀河文明に貢献できるものはアニメやコミックといった娯楽分野だ!となることが多いのだけれど、この話はジョン・リンゴーの『大戦前夜』のように「人」を出せと言うことになります。
 銀河文明に適応できる柔軟な思考の青少年を訓練するために、まず教官を務める人材を養成するところから始める話で、『宇宙の戦士』や『終りなき戦い』より『老人と宇宙』の方が近いかも。傾向的には『クジラのソラ』ですね。タイトル通りに訓練パートだけの話ですが。

「人間ってのは、物語を欲している」
 人間には「正しいか間違っているか」ではなく「感情的に納得できるかどうか」という物差しがあるのだと、バーツラフ・ホレックの言葉。

 主人公は昔でいうと日本の出身で、学生時代の成績は中の上。今はなんとか地上で地域警備隊に勤めている、パッとしない草食系の青年。自分に自信のもてない主人公がじたばたあがくうちに頭角を現していくのだけれど、本人は最後まで自分の能力に懐疑的です。そしてモテ期到来。
 ストーリー展開としてはミリタリーSFの王道なのだけれど、キャラクターの設定と配置はいたって日本のライトノベル的なような気がします。アニメネタなども日本人の一般常識としてさらりと言及されますが、ミリタリーSFの入門編としてもお薦めです。

【宇宙軍士官学校】【前哨】【鷹見一幸】【太田垣康男】【銅大】【ハヤカワ文庫JA】【無料の朝食などは存在しない(タンスターフル)】【文明開化】【魔法少女】【ジオン公国】【ジャイアントロボ】【グローバル・スタンダード】【星取り表】
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「宇宙の戦士」 ロバート・A・ハインライン

2012-08-06 | ミリタリーSF・未来戦記
 この作品を始めて読んだのは中学生のとき。
 当時は友だちと登校するのに本を貸し借りしながらの読み歩きするのが習慣で、その光景は二宮金次郎の行進(今では通じないたとえかな)。小松左京・星新一・筒井康隆らをさんざん廻し読みした末に、回ってきたのがハインラインです。
 戦争万歳な話かと思って読んでみたら、デュボア先生の講義に打ちのめされた厨坊の日……。

 ジョニーは高校卒業と同時に地球連邦軍に志願した。
 深い考えがあったわけではないし、軍役を勤めあげることでのみ得られる市民権が欲しかったわけでもなく、単なる友だち同士のノリにすぎない。そんな彼が唯一適性があると認められ、放り込まれた兵科は過酷な訓練で知られる「機動歩兵」だった。
 かくしてジョニーはキャンプ・キューリーにて鬼軍曹ズイムの下で訓練に明け暮れる日々が続くことになるのだが……。

「故郷とは心のあるところだ」
 タガログ語の諺。

 第二次大戦後に刊行されたミリタリーSFの古典的作品で、「血を流して戦った者だけが、政治的に発言する資格がある」みたいに人間の義務と権利について正面から問いかけた問題作であり、あの時代としては珍しく白人以外がこっそり主人公になっている挑戦的な作品。日本ではスタジオぬえによるパワードスーツの魅力的なデザインが評判になっています。
 ベトナム戦争後に出たホールドマンの『終わりなき戦い』の「戦争なんて恐くて退屈で、かといって国に帰っても今さら居場所がないしなあ」という虚無的な雰囲気と比較するのも面白いですね。

 時に戦略装甲歩兵といったり倍力服といったり、いろいろな名前で呼ばれるけれど、要はそれを着用することにより、優れた移動力と装甲と火力が備わるというパワードスーツ。
 わたしらの世代のグループでは、機動歩兵とかパワードスーツと聞くとすぐにデフォルトのひな形(ぬえ版)が脳裏をよぎりますが、これまた世間一般的には知られていないらしいようです。ゲームプレイヤー同士で話をしていて、最後までイメージが一致しませんでした。まあ、海外版からしてアートを見るとなんだか映画「地球が制止する日」の宇宙人のような、はっきりいって深海用潜水服みたいな野暮ったいデザインで泣けます。日本版がこんなデザインだったら、きっと<ガンダム>も<マドックス01>も<雷電>も誕生しなかったに違いありません。確かにスペックは同じでも、そこから受けるイメージは人それぞれですね。
 ただパワードスーツといっても所詮は兵器。活かすも殺すも運用次第。同じくパワードスーツが登場するということでハリスンの『宇宙兵ブルース』を読んだら、パワードスーツが降下中に対空砲火で火だるまになっていて泣けました。(2007/08/22 改稿2012/08/06)

【宇宙の戦士】【ロバート・A・ハインライン】【加藤直之】【スタジオぬえ】【ハヤカワ文庫SF】【志願兵】【参政権】【機動歩兵】【士官学校】【ロジャー・ヤング】【ブエノスアイレス】
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『宇宙戦艦ヤマト2199』 第二章「太陽圏の死闘」BD

2012-07-13 | ミリタリーSF・未来戦記
 劇場公開時に買えなかった、劇場販売用BDが到着。ヤマトが佐川でやってきた。18時以降の配達指定のはずなのに、17時前に到着するのは業者を確認した段階である程度予想できたけれど、遅くなるよりはマシかと代引きを立て替えてくれた家族に感謝。というか、子供たちが手分けして9000円をかき集めたらしい。おまえら、金あるなあ……。

 今回からは冒頭にきちんとオープニングが付くようになって、やっとこれでフィルムとして完成したような感覚です。やはり、この曲がないとね。
 ここに問題があって発売が延期されたという特典映像ですが、上映開始直前イベントの映像が2つとオーディオ・コメンタリー。オーディオ・コメンタリーでは鈴村健一がまるでリアル世代であるかのように語ること、語ること。やはり「理詰めじゃない美しさ」 だと。
 設計図が届いて3~4日で新型エンジンが完成した上に応用した兵器まで搭載してしまうとか、今の目で見て「おかしい」という箇所はどんどん直していく。土星の衛星はタイタンよりもエンケラドゥスの方がそれらしいとか、現代の科学で分かったことがあるならそれに合わせてアップデートしていく。でも、すべて理詰めにしちゃいない。それは不徹底さではなく、美学なのです。

 確認したけれど、幹部会議には保安部員は1度も1人も呼ばれておらず、非常時にも他人事でにこにこにやにや。普通に考えれば悪役一直線です。
 負傷者で右往左往の医務室に真琴の代理で顔を出したのは、マサキ軍曹みたいな人でした。

【宇宙戦艦ヤマト2199】【第二章「太陽圏の死闘」】【出渕裕】【結城信輝】【樋口真嗣】


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『宇宙戦艦ヤマト2199』 第二章「太陽圏の死闘」

2012-06-30 | ミリタリーSF・未来戦記
 公開初日に劇場まで足を運んできました。14時20分からの回でしたが、見回せば知り合いの顔もちらほら確認でき、最前列あたりを除けばほぼ満席。

 今回はオリジナル・シリーズでいうと4話のワープテストから8話の冥王星基地攻略の5話までを4回構成なので話数はやはり1つ減ってますが、メイン以外のクルーや敵方将官の描写、艦隊戦や航空戦、陸戦もしっかり追加されて見応え十分。艦載機の発艦シークエンスも、あれだけの航空機をなにがなんでも艦内スペースに積み込んでやるぞと気合い十分のワンダバです。メカ的には、確かに波動砲も凄かったしコスモゼロやファルコンも活躍したけれど、見せ場からして三式弾無双のような……。
 あとは、理論派で強気の南部や軟派な太田に対して相原の影が薄いことが気になったことと、薮が真面目に仕事をこなしながらも少しずつ追いつめられていくのが注目点。シュルツとドメルの関係、真田副長の鉄面皮ぶりも含め、大筋を変えることなく、きちんと伏線を張って設定を補完していくスタイルは変わらず。もちろん第一章の「赤錆びた戦艦大和」と同じように、理屈としてどうよ?というシーンでも「ここが大事なんですっ!」という箇所はきちんと残してます。主にワープ中の森雪ですが。

 センス・オブ・ワンダーにあふれた星の異世界や未知のテクノロジーを体験し、血湧き肉躍る艦隊戦や航空戦を堪能し、さまざまな若者たちがぶつかり合うさまは、劇場まで足を運んだ甲斐のあった出来映えで、満足できる90分ちょいでした。
 でも、根本と杉山はテレビシリーズの時と同じく不遇であったことよ……。(2012/06/30) あ、でも1人は死ななくて済んだか……。

 帰宅してから、オリジナル版のDVDでおさらい。
 2199はテンポが早すぎ端折りすぎという声もないわけじゃないが、オリジナルのゆったりさ、尺稼ぎ、説明過多を今の目で見るとけっこう苦行に近いものがあります。うん。(オリジナルのままかどうかが判断基準になっている)オリジナル至上主義者はオリジナルのフィルムだけ見返していれば良いのだ……と新作に感謝。
 さすが四半世紀前の作品。内容の評価以前に、キャラクターが安定しない、カットによって色が変わる、色指定ミス、1機しか発艦しなかったコスモゼロが3機で帰還して、正解は2機だったらしいとか、気になりだしたらきりがありません。佐渡先生も今回は「ただの呑んだくれだ!」という感想でしたが、オリジナルでは「たちの悪い呑んだくれ」でした……。
 こうやって見直してみると、毎回トラブルで修理してますね。そこで火星不時着のプロセスをカットして、ワープテスト前の空戦をカットして、冒頭のあらすじ部分の端折って、説明的なセリフを削り、全体的にテンポ良い演出にすることで圧縮して時間を稼いでいるのですね。
 夜には、観賞済みのロートル数人で今後の展開予想。懸案事項は、なぜヤマトには陸戦隊(空間騎兵隊)ではなくて保安部員が乗り込んでいるのか、七色星団の空母部隊の護衛艦隊はどうなるのか、ルビーやサファイアの戦線でガミラス艦隊はどこと戦っているのか、そしてガミラス本星にいるらしいヒルデ・シュルツはヤマトの脅威から生き残れるのか?でした。
 特に、おもむろにあちこち顔を出しているくせに、エピソードに絡んでこない保安部員は「気になりますっ!」。陸戦隊ではなく、わざわざ情報部系の保安部員を乗り込ませているくせに最終的には叛乱・脱走となるはずなので、誰の系統なのかなと……。(2012/07/02)

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「若き少尉の初陣」 グレアム・シャープ・ポール

2012-06-30 | ミリタリーSF・未来戦記
 火星の人面石をあがめ奉った宇宙時代の新興宗教が、何を間違えたかハンマー・オブ・クラア同盟として宗教独裁国家を樹立。冷戦時代のソ連邦も真っ青の、強硬外交と恐怖政治と熾烈な内部抗争を繰り返している。
 しかし、技術的に後れを取っているハンマーは、テラフォーミング・システムの積み込まれている民間旅客船を密かにハイジャックしてしまう。内部の権力抗争の余波である。
 これを察知した艦隊は、拉致された乗客乗員の奪回作戦のため、新任士官であるマイケル・ヘルフォート少尉の乗り込む深宇宙軽偵察艦387を送り込むのだが……。

 やっていることは真っ黒だけれど周囲からはバレバレで、本当に戦争になったら酷い目に合うのが明白なのに、戦争になると国際外交的に面倒くさいので放置されている感じの独裁国家……という冷戦まっただ中というか最近でも心当たりがないでもない敵国相手に、帆船時代の海戦のような宇宙戦を挑むミリタリーSF。『紅の勇者オナー・ハリントン』あたりの系統の作品で、600ページ近い大作だけれど、どうしてこれだけの紙幅が必要だったかは不明。

【若き少尉の初陣】【若獅子ヘルフォート戦史】【グレアム・シャープ・ポール】【新間大悟】【ハヤカワ文庫SF】
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「下士官の使命」 ジャック・キャンベル

2012-06-27 | ミリタリーSF・未来戦記
「答えを知りたくない質問はするな」
 イーサン・スターク軍曹の言葉。

 21世紀、巨大な軍産複合体と化して地球の資源をあらかた支配したアメリカが、今度は月の資源もいただきだと月面へ進出。既に足場を築いていた他国に治安維持活動だと言い張って戦争を吹っかけるのだけれど、思い上がりも甚だしい動機の戦争なので、最前線も愚劣指揮官ばかりで……。

 今作も主人公は逆境だ!……という、スターク軍曹の宇宙戦争。
 企業は権益を確保するために戦争を始め、民間人はその戦争をビデオ中継で観て楽しむ。民間人も企業も税金を払わないから、企業は利益のために戦争を仕掛け、その利益で戦争が継続されるけれど、上級指揮官は今どき精神論で「精神は物質の3倍の力を持つ」と言い出すバカばかり。
 勝っても負けても明るい未来は来そうにない3部作の1冊目。

【月面の聖戦1】【下士官の使命】【ジャック・キャンベル】【寺田克也】【ハヤカワ文庫SF】【平和維持活動】【視聴率】【税金】
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『宇宙戦艦ヤマト2199』 第一章「遥かなる旅立ち」

2012-04-09 | ミリタリーSF・未来戦記
 権利問題に決着がつき、ここ数年というもの新作映画だの実写版だのが制作された『宇宙戦艦ヤマト』のテレビシリーズ・リメイク版ですが、その30分フィルム2話分を上映するというので、公開2日目に劇場まで足を運んできました。
 考えてみれば、1974年なんて大昔の作品です。どんなに好きな話でも今の時点で冷静に評価してみれば、作画は荒いし、ストーリーには粗があるし、設定には穴があるというのは否定できません。それを、もともとの面白さを残しつつ、今の水準で再構築してリメイクしてしまおうというのが今回の企画。
 J.J.エイブラムス版の『スタートレック』も好きだし、安彦版『ガンダム・オリジン』も大好物な私なので、こういうのは見のがすことはできません。

 劇場に出かけてみれば、ほぼ満席。
 でも、年齢層が高すぎ。男性客も女性客も下が30代、上が60代でもっとも多いのが50前後というところでしょうか。大学生以下らしい観客はほとんど見当たりません。内容的にはオリジナル版の3話までを2話に凝縮しています。

 感想として内容的に不満な点をあげるなら、戦艦の動きが軽いということでしょうか。
 確かに広大な宇宙空間での戦闘なので、戦艦といえども超高速になるのは当然です。科学考証として正しいのだと思いますが、やはりあえて「フネ」の形のものを宇宙に飛ばす話です。セルの時代に、動きがガタガタするのを覚悟の上でゆっくり動かして重厚な大型艦の動きを表現していた話です。CGだからこそ、じっくり機動を見せて欲しかったなあ……と、不満点はこれくらい。(……あとでDVDを確認したらオリジナルも同じくらいの速い動きでした……思い出の脳内補正に侵されていたことを認識し、慌てて旧作をDVDで再度視聴)

 西暦2199年。人類は謎の敵ガミラスの攻撃を受け、その圧倒的な軍事力の前に地球は滅亡寸前にまで追い込まれていた。
 そして、今、沖田宙将が指揮する最後の国連宇宙軍の艦隊が、冥王星沖で艦隊決戦に突入していた。しかし、敵艦の圧倒的な火力と装甲の前に地球艦は次々に轟沈していく。
 だが、この艦隊決戦そのものが、単なる陽動作戦に過ぎなかったのだ……。

 いろいろオリジナル版の辻褄合わせをしっかりしているといいつつ、「赤錆た沈没艦」はしっかり残してましたね。最初から地下ドックで建造してれば良かった話ですが、やはり夕日を浴びてそそり立つ、赤錆びた戦艦の艦橋という絵は捨てられなかったようです。“もともとの面白さ”なんて、人それぞれでしょうが、このあたりの美学が譲れなかった一線なんでしょう。
 正体不明の敵との激しい宇宙艦隊戦が続く中、ちゃくちゃくと進められる反攻のプロジェクトと新造戦艦の建造……という描き方は、ミリタリー系SFが好きな人間にはたまらないです。最近の小説で言うなら『彷徨える艦隊』とか『防衛戦隊、出陣!』あるいは『銀河乞食軍団 黎明篇』、ちょっと前なら『降伏の儀式』。アニメなら『トップをねらえ!』とか『新世紀エヴァンゲリオン』のヤシマ作戦とかのあたり。
 地球艦隊は劣勢といいつつ、敵の主攻撃が冥王星からのロングレンジ攻撃に切り替わった経緯とか、撃墜王の活躍とかを挟むことで、そんなに一方的に負けているだけじゃないよという点もアピールしてます。

 人間ドラマをしっかり積み上げるミリタリーSF。
 ヤマトがさまざまなクリエイターたちに影響を与えていろんな作品が生まれきたわけですが、そのフィードバックが働いていることがしっかり伝わってきます。
 思い出補正とノスタルジーのフィルターだけが問題ですが、DVDで旧作を1話から見直せば2話が終わらないうちに「ごめんなさい。2199に文句はありません」と土下座状態に。あの違和感があった宇宙艦の高速機動さえ、オリジナルは同じくらい高速で、かつ比べものにならないくらい動きが雑でした……。
 無事にシリーズが完結し、新たな礎となることを願ってやみません。

 中1の末っ子も帰り道に鼻歌でヤマトを歌っていたから、気に入ってるんじゃないかしら。劇場でDVDを購入して帰宅。もう1ヶ月も待てば一般販売だけれど、これは帰ってすぐに見返したい作品。
 ガンダムUCは劇場でなくてもブルーレイで十分だなあと思ったけれど、ヤマトは次も劇場で観たいです。

【宇宙戦艦ヤマト2199】【第一章「遥かなる旅立ち」】【出渕裕】【結城信輝】【XEBEC】【むらかわみちお】【きお誠児】【おいら宇宙のパイロット】【ロングレンジ攻撃】【アホ毛】【空似】
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