付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「のだ」 真野真央

2025-02-10 | アイドル・声優・芸能
「ネットなんて何億何万何千というる人々の集合体なんだから、すべてを理解してもらえるはずなんてない。勘違いされたって仕方のないことなのだ」
 たまねぎPのずんだもんは、そう気にすることはないと動画の中で語った。

 小学生の頃は歌がうまいと言われていたキナコは、ひょんなことから歌えなくなり、人づきあいも苦手になり、友達ができないまま中学3年になった。そんな自分を変えたいとは思っていたけれど、何をやろうとしても上手くいかない。そんなとき、ずんだもんの動画をきっかけに初めてのカラオケに足を踏み入れたキナコは、好きな曲を歌って100点連発。あらゆる曲に声を合わせられる天性の歌声を持っていたのだ。
 自分の歌唱力を自覚したキナコはそれから歌いに歌いまくり、投稿した『歌ってみた』は瞬く間にバズってしまうのだが、気がつけば彼女の声は本人不在のまま歌い手【Kinako】としてネットミーム化し、音声ソフトとしてネットで拡散していった……。

 ずんだもんにありがとうという話。
 寿限無みたいな長文タイトル作品が蔓延る中、シンプルなタイトルに惹かれて購入。ネットで大人気の楽曲『のだ』をモチーフにしたストーリーで、ボーカロイドや「歌ってみた」が普通に社会に受け入れられている現代社会での音楽青春小説。原曲知らないまま買ったけれど、面白くて一気読み。「自分らしさ」を見失った少女に、「ありのままがなんなのか、わからなくても、いいってね」というずんだもん。他人がプログラムするままに話して歌って騒ぎまくるネット上のキャラクターに人格と言えるものはあるのか。
 他人に話しかけられたらどうしよう? 他人に話しかけるならどう受け答えすれば良いのかと脳内で問答を繰り返す内気な少女に思わず共感してしまいました。そうそう。先の先まで考えてしまって、そして実際はそんな問答が役に立つことなんてほとんどないのだ。
 芸能・アイドルものというと従来は、普通は劇団なり研修所などでレッスンを受けたり下積みを重ねていくところにぽっと出の主人公がエラい人に才能を見いだされて突然の抜擢……というのが王道だったけれど、今はその「エラい人に見いだされる」というプロセスすらすっ飛ばしていきなり大衆の前に放り出されて彼ら彼女らと向き合うことになるのだ。まさに産地直送。

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