付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「シン・ウルトラマン」 総監督:樋口真嗣

2022-06-13 | 怪獣小説・怪獣映画
「……浅見くんはこういうキャラだったのか」

 オープニングから旧作オマージュ。
 ウルトラマンのデザインに見られるように原典をしっかりリスペクトした上で、「こいつはデザイン画のままならこういう動きができるはずだ」とか「こういう設定ならこうなるはずだ」みたいに再解釈した上で設定からビルド&スクラップ。原典の印象的なキャラクターやエピソードをきちんと抑えて、昭和の作品をそのまま現代の作品として再話しています。段取りとしては、序盤は初期ウルトラシリーズままの怪獣デザインとBGMで、話が進むに従って怪獣デザインのアレンジが強くなり、BGMにオリジナルが混じり、最後の最後で「庵野秀明」らしい刻印を刻むのはいつもの通り。斎藤工がそのまま巨大化しなくて良かったよ。
 それから、禍特対は科特隊というよりSRIと電波研究所を足したような位置づけでした。むふう……。

 メフィラス星人(この作品では外星人第0号)は、予告編でさんざん見せられたように山本耕史の胡散臭さが炸裂。『ギャラクシー街道』を思い出しちゃったよ。「もうちょっと居るつもりだったんだけど、ルパンが来たでしょ。めちゃくちゃになっちゃうから帰るの」という峰不二子みたいな台詞を吐くのにも爆笑。

 作品の好き嫌い、合う合わないは当然あるのだけれど、評価として自分の思い入れをさぞ作品の完成度と同一視して無い挙げ足を取るのがネットの論評。『シン・ゴジラ』でもありましたよね。怪獣プロレスが好きなのでつまらなかったという感想はありだけれど、だからダメみたいな感想。今回も「ウルトラマンが怪獣や宇宙人と戦う話」なのに「禍特対がスーパー兵器でバリバリッとやらない」とか「自衛隊の活躍シーンが少ない」みたいな(意訳)論評ありますよね。そういうのが見たければ、テレビで土曜朝とかにやってるのを視ればいいんですよ。出来が良くて面白いから。
 とりあえず、今回はウルトラQからの初期ウルトラシリーズの流れで、「なぜ怪獣は日本ばかり襲うのか」とか現代の視点でよりリアルっぽくウルトラマンが出現した世界を描いている作品で、当初は「あまり気は進まないけど、一度くらいは見に行くか」くらいの嫌々気分で劇場に足を運んだのに、最終的には「もう1回くらいは劇場で観ないと」くらいになってました。本当に斎藤工が瞬きしてないのかとか(1回もしてませんでした)、本当に好きと断言していないのかとか、パゴスの退治シーンはどうなっていたかとか、いろいろ細かな確認したいシーンが出てきたのです。でも、やっぱりどこが最初に「ウルトラマン」のコードネームを使い始めたかは分かりませんでした。
 ストーリー的にはただ怪獣の出てくるエピソードを並べただけでなく、(巨女案件も含めて)すべて最終局面への伏線であり、あるかもしれない第2部、第3部(シン・ウルトラセブン)へのヒキになっているのですね。あと、初代マンを大人視点で見たときのツッコミ、「なんで毎回ハヤタ隊員いなくなっても誰も気にしないの?」を、今回の神永くんの普段の行動(いつも独断専行、以前からよく消えてる、行動の痕跡を残さない、調べても警視庁の公安畑らしいという以外経歴も分からない )で説得力を創ってるんですよねえ。力業で。

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