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皇室報道のいい加減さに心を痛めることの多かった日々。
昭和天皇から三代にわたって宮中料理番を務めた渡辺誠の26年間の記録。
洋食専門で18年間やってきたのに、スタッフも限られている東宮に移動となれば、中国料理でも和食でもやらなくてはいけない。口が裂けても「できない」とは料理人のプライドに懸けて言えない。そんなところに御前握りの伝統か、皇太子殿下以下宮様たちの前で鮨を握らないといけなくなり……。
海老沢泰久の『美味礼讃』を再読しようとしたけれど、手放してしまったのか見つからず、代わりに掘り出した1冊。
平成天皇の皇太子時代の厨房を中心にしたエピソードが語られますが、語るなら人柄が伝わるものを、私生活を暴くようなものにしないという姿勢が貫かれています。とにかく大膳を司る立場として予算のやりくりから食材の手配まで、料理以前に気を使うことの多い日々です。
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