ポール・ボウルズ/四方田犬彦訳 1989年 新潮社
ことし1月だったかな、(たしか川崎の)古本屋で買った。
これ出たころ、たしか見た気がするんだよね、訳者の本は好きだけど、迷って当時は買わなかったと思う。
そうやって、基本的にはパスしたものだから、今回おもしろかったらいいなくらいの感じで買ったはいいけど、ずっと放っておいて、読んだのは最近。
短編集なんだけど、必ずしもオリジナルの小説っていうんぢゃなくて、モロッコで蒐集した現地の挿話みたいな作品もある。それがけっこうおもしろい。
「遠い挿話」A Distant Episode(1945年)
南モロッコを再訪した言語学者のフランス人教授は、あやしげな案内に惑わされ、レギバット族に囚われてしまう。
「優雅な獲物」The Delicate Prey(1948年)
三人のフィララ人が旅するうちに、ひとりのムンガル人の男と会う。
同行を申し出たその男は、ガゼルを撃って捕らえてくるからと姿を消す。
「昨夜思いついた話――アハメッド・ヤクービ/聞書ポール・ボウルズ」The Night Before Thinking(1956年)
三人の男、ハキムとファキールとメスキンは、ラカッサという女にあう。
助けを求めたラカッサについて家まで行ったハキムは、彼女と魔法で応酬をくりひろげることになる。
なぜか全編関西弁での語り口調。
「ハイエナ」The Hyena(1960年)
一匹のコウノトリが砂漠をわたっているときに、峡谷の底の池で水を飲んで休んでいた。
そこへ一匹のハイエナが近づいてきて「遠くから来たのかい」と話しかけてきた。
あまり近づくとハイエナに魔法にかけられてしまうので、コウノトリは警戒していた。
「庭」The Garden(1963年)
南の国に住んでいるある男は、一日の畑仕事のおわりに、自分の庭がとても美しく映えることに夢中になっていた。
うちに帰ってきてもボンヤリと庭のことを考えている男を見て、妻は宝物をどこかに隠しているのだと思いこみ、薬草を使って場所を聞き出そうとした。
「過ぎ去ったもの、まだここにあるもの」Things Gone and Things Still Here(1975年)
これは、なんだろう? 時間の裂け目に落ちてしまった伝説みたいなものが並べられてる。
あとジン(魔神)はいまでも存在すると信じられてるし、女が男に呪いをかけるときは小刀を埋めるとか。
「学ぶべきこの地」Here to Learn
モロッコの美しい娘マリカは、出会った男に連れ出されて、生まれ育った町を離れてタンジールに行く。
さらにスペインへ、パリへ、ミラノへ、スイスへ、そしてロサンジェルスへ。
行く先々で、スペイン語や英語やスキーのすべりかたも学ぶ。
>ひとたび学ぶことを止めてしまえば、わたしという人間はいなくなってしまうのだ、ということを彼女は知っていた。(p.120)
「時に穿つ」Points in Time
これは、たぶんモロッコの、挿話集のようなもの。
固有名詞もいっぱいあって、よくわかんない。
ことし1月だったかな、(たしか川崎の)古本屋で買った。
これ出たころ、たしか見た気がするんだよね、訳者の本は好きだけど、迷って当時は買わなかったと思う。
そうやって、基本的にはパスしたものだから、今回おもしろかったらいいなくらいの感じで買ったはいいけど、ずっと放っておいて、読んだのは最近。
短編集なんだけど、必ずしもオリジナルの小説っていうんぢゃなくて、モロッコで蒐集した現地の挿話みたいな作品もある。それがけっこうおもしろい。
「遠い挿話」A Distant Episode(1945年)
南モロッコを再訪した言語学者のフランス人教授は、あやしげな案内に惑わされ、レギバット族に囚われてしまう。
「優雅な獲物」The Delicate Prey(1948年)
三人のフィララ人が旅するうちに、ひとりのムンガル人の男と会う。
同行を申し出たその男は、ガゼルを撃って捕らえてくるからと姿を消す。
「昨夜思いついた話――アハメッド・ヤクービ/聞書ポール・ボウルズ」The Night Before Thinking(1956年)
三人の男、ハキムとファキールとメスキンは、ラカッサという女にあう。
助けを求めたラカッサについて家まで行ったハキムは、彼女と魔法で応酬をくりひろげることになる。
なぜか全編関西弁での語り口調。
「ハイエナ」The Hyena(1960年)
一匹のコウノトリが砂漠をわたっているときに、峡谷の底の池で水を飲んで休んでいた。
そこへ一匹のハイエナが近づいてきて「遠くから来たのかい」と話しかけてきた。
あまり近づくとハイエナに魔法にかけられてしまうので、コウノトリは警戒していた。
「庭」The Garden(1963年)
南の国に住んでいるある男は、一日の畑仕事のおわりに、自分の庭がとても美しく映えることに夢中になっていた。
うちに帰ってきてもボンヤリと庭のことを考えている男を見て、妻は宝物をどこかに隠しているのだと思いこみ、薬草を使って場所を聞き出そうとした。
「過ぎ去ったもの、まだここにあるもの」Things Gone and Things Still Here(1975年)
これは、なんだろう? 時間の裂け目に落ちてしまった伝説みたいなものが並べられてる。
あとジン(魔神)はいまでも存在すると信じられてるし、女が男に呪いをかけるときは小刀を埋めるとか。
「学ぶべきこの地」Here to Learn
モロッコの美しい娘マリカは、出会った男に連れ出されて、生まれ育った町を離れてタンジールに行く。
さらにスペインへ、パリへ、ミラノへ、スイスへ、そしてロサンジェルスへ。
行く先々で、スペイン語や英語やスキーのすべりかたも学ぶ。
>ひとたび学ぶことを止めてしまえば、わたしという人間はいなくなってしまうのだ、ということを彼女は知っていた。(p.120)
「時に穿つ」Points in Time
これは、たぶんモロッコの、挿話集のようなもの。
固有名詞もいっぱいあって、よくわかんない。