星野之宣 二〇〇一年 講談社漫画文庫版 上・下巻
昨年来なんか星野之宣を読んでみたくなってるんで、これ『2001夜物語』といっしょに2月に古本屋で手に入れた。(わりとリーズナブル価格であった、ホクホク。)
かの『ブルーホール』の続編ということになるんだろう、恐竜世界に現代の人間が入ってっちゃう話。
ブルーホールって、異次元世界っつーか白亜紀なんかにつながる穴があるんだけど、前作ではマダガスカル島のあたりだったんだが、実は地球上に何か所もあるということになってる。
そのうち一つはネス湖にあったりする、いいね、そうこなくっちゃ。
恐竜絶滅の原因となったのは、おっきな隕石が地球にぶつかって環境が激変したって説もある一方、スーパー・プルームっていう巨大噴火によるという説も出てくる。
地球の核付近で生れた巨大なマグマ球体がマントル層を貫通して上昇し、爆発して大量の地底物質を噴出させる、地上は当然環境が激変。
そんで、その巨大なクレーターをつくるような天体衝突と、スーパー・プルームは関係あるって仮説が立てられる、クレーターのあるメキシコと噴火のあったインド洋は地球のほぼ反対側に位置してるから、天体の衝突の衝撃が地球の核を激しく揺るがして反対側に伝わった、って、いいなあ、壮大なウソこそSFマンガの醍醐味。
本作の主人公のひとりは、その学説を唱えて調査に加わる、イギリスのスピリッツ・オブ・ライオネス大学のキャメロット教授。
もうひとりは、イギリス海軍のジーン・ハート中尉、こちらは若い女性。
「ブルーホール」でもそうだったけど、女性が活躍するってのが星野マンガのいいところで、恐竜世界でのサバイバルっていかにも男の舞台のようだが、タフな登場人物は女性なんである。
もうひとりキャメロット教授の孫娘のパットって女の子も出てきて、これが恐竜にはやたら詳しいし、大活躍する。(スピルバーグ映画だと女の子は直立不動で悲鳴絶叫する係なんだけどね。)
かくして軍学共同プロジェクトとして調査が始められるんだけど、アメリカ軍も入ってきてて、どうしてもいろいろ覇権争いのようなことがトラブルの元になってくる。
それにしても、日本人の作家だったら、主人公とか主要登場人物に日本人を登用しそうなもんだけど、そういうことしないんだよね、まあ軍隊もないし、原子力潜水艦も持ってないから、何の役にも立たないってことか。
で、白亜紀に行ったはいいが、地球の磁場がおかしくなったとかなんだとかで、現代世界とつながるブルーホールが消えちゃう。
よって一行は、地球上のべつのブルーホールを求めて、まだアメリカ大陸とアフリカ大陸がくっついてるゴンドワナ大陸を横断するようなサバイバルを敢行せざるをえなくなる。
んー、おもしろいけど、やっぱ続編ものって、最初のやつ読んだときのような衝撃みたいのが感じにくいな。
もっとも、恐竜の画って、文庫版のような小さいもので読むから迫力ないんで、やっぱ雑誌サイズくらいはあったほうがいいのかもしれない。
第1話 穴 The Hole
第2話 基地 The Base
第3話 上陸 The Invasion
第4話 爆発 The Explosion
第5話 暴走 Bedlam
第6話 肉食 Predators
第7話 宣告 The Pronouncement
第8話 覚悟 The Resolution
第9話 軋轢 The Friction
第10話 滝 The Cataract
第11話 湿原 The Swamp
第12話 高地 The Highland
第13話 楽園 The Eden
第14話 断崖 The Cliff
第15話 激流 The Torrent
第16話 決断 The Decision
第17話 墓碑銘 The Epitaph
第18話 噴火地点 The Hot spot
第19話 絶滅 The Extermination
第20話 スーパー・プルーム The Super plume
第21話 逆磁束 The Inverse magnetic flux
第22話 時空ネットワーク The Space-time network
第23話 狂気 The Insanity
第24話 暴走 The Reckless running
第25話 翼 The Wing
第26話 メッセージ The Message
第27話 グロック The Lieutenant Grock
第28話 激流の果て The End of torrent
第29話 再会 The Meeting again
最終話 大団円 The End