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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

達摩の縄跳び

2021-04-18 18:26:54 | 読んだ本

文藝春秋編 1997年 文春文庫版
サブタイトルは、「おしまいのページで 2」ということで、『オール讀物』の巻末コラムを集めた『おしまいのページで』の続編。
『おしまいのページで』を見つけたときに、近くにあったんで、ついでに買った、まちがいなくおもしろいだろうから続きがあるなら読みたくなるにきまってるって確信のなせるわざ。
収録されてるのは、昭和61年1月号から平成8年12月号まで、131篇を順番どおりに。
ん? いま気づいたけど、きっちり11年間で、一年あたり12本だから、計算があってない、1つ足りなくないか?
気になったんで、さーっと見てみたら、平成3年10月号と平成8年7月号のぶんがない。
どうしてなんだろう、もともと発行してないのか、書いてあることがよくなくて削除されたのか、無いと気になってしまう。
でも、2つ欠けてたら130篇になるはずなのに、どうして、と思って探してみると、昭和64年は1月号と新春特大号があって、平成元年2月号へと続いてるので、この年だけ13本ある、どういうわけだかはわからないが。
執筆者は16人、登場順にならべると、山口瞳、開高健、丸谷才一、吉行淳之介、結城昌治、水上勉、吉村昭、三浦哲郎、野口冨士男、古山高麗雄、阿川弘之、城山三郎、遠藤周作、近藤啓太郎、伊藤桂一、山田風太郎。
前のやつから引き続きのひとももちろんいるんだけど、そうするとどうなるかというと、作家の高齢化が進んぢゃうので、なんか随所に、病気をわずらったとか、トシのせいか目が悪くなったとか記憶力がとか、そんな話題が目立つようになった気がする。
これだけのメンバーがいて、そんなグチみたいなこと読ませないでくれみたいに思わなくもない。
タイトルの「ダルマのなわとび」ってのは何のことかっていうと、昭和61年6月号の水上勉の書いた回のタイトルである。
著者は幼少時から禅寺に起臥したので達摩の絵をよく見たし、仏教系の中学では絵画の時間に水墨で達摩も書かされた。
で、少年期のあるとき、掛軸の達摩が縄跳びをしているという夢をみたりした、月夜のチューリップいっぱいの野原で達摩がいるというヘンな夢で、記憶に残った。
ことし67歳になって、夜にふらりと外出し、鴨川河原を歩いていると、先に来たヤツがいて縄跳びをしている、破れ衣をまとった六十七、八の男で髭むじゃら。
きっとダルマに違いないと思ったが近寄らずに、しばらく眺めてから帰った。
…っていう話なんだが。なんのこっちゃわからんが、おもしろい。
作家の身辺まわりの雑記にしても、こういう創作かもしれないっていう不思議なやつを、どうせなら読みたい。
以下はコンテンツのうち、私のフェイバリットの丸谷才一の書いたもの。(ただの備忘録)
雨ぎらひ
鹿について
目黒
語法の研究
馬賊とブラジャー
近代そして前近代

コメント
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