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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

肉体の鎮魂歌(レクイエム)

2016-12-22 20:41:12 | 読んだ本
増田俊也編 平成27年 新潮文庫
新潮文庫のアンソロジーが意外とおもしろいことに気づいたんで、もうひとつ読んでみた。
スポーツノンフィクションといっても、編者があの『七帝柔道記』の増田俊也なんで、そりゃあ格闘技を期待する。
実際『彼らの奇蹟』の解説で編者の玉木正之が「スポーツのうち、格闘技はそれだけで別のアンソロジーを企画しているので除外してほしい」と編集部から注文つけられたと書いてるし。
ところが、これが全然格闘技特集ぢゃないし。ちょっと、そこんとこだけはがっかり。
ま、読んでみれば、どれもおもしろいからいいんだけど。
沢木耕太郎「三人の三塁手」
長島茂雄と同い年で、三塁手としてプロに入った、難波昭二郎と土屋正孝の話。
書かれたのは長島が引退して監督になったころみたいだから、昭和50年くらいか。
高川武将「オリンピックに嫌われた男。」
瀬古利彦が、選手としてぢゃなくて、マラソンの監督として苦悩してる話。
アテネオリンピックで結果が残せなかったあとの話みたいだから、2004年くらいか。
瀬古の5年後輩にあたる当時中国電力監督の坂口泰が「箱根で活躍してスター扱いされた選手は、3年は使い物にならない」なんて言ってるのが印象的。
山際淳司「江夏の21球」
ご存知1979年の広島対近鉄の日本シリーズ第7戦、一死満塁のピンチを抑えた江夏の話。
有名なタイトルだけど、じつは私は今回はじめて読んだ。
茂田浩司「中井祐樹、戦いの記録/特別な一日。」
1995年4月20日のバーリ・トゥード・ジャパンオープン95で、一回戦でジェラルド・ゴルドーと戦い、結果視力を失うことになった中井祐樹の話。
サミングでやられてしまうんだが、非常に残念ですね、彼が一線にいたら、また日本の総合格闘技の歴史は違ったものになったかもしれないし。
いまはFOXのUFCの中継番組で、的確な解説してくれてます。
高山文彦「遙かなる祝祭。―吉村禎章の軌跡。―」
1988年7月6日の札幌円山球場の試合で大けがをして、その後奇蹟的な復活をはたした吉村禎章が1998年に引退するときの話。
10年前に吉村と激突した栄村の取材にも行ってるとこが、なんともいえない味だしてる。
海老沢泰久「嫌われた男 西本聖」
一所懸命練習するけど、ジャイアンツではそれが浮いているようにみえた西本。
1989年のシーズンからドラゴンズへ移ったら、そんなに違和感なくなったらしい。
佐瀬稔「アリを越えた男 イベンダー・ホリフィールド」
書かれたのは1996年11月にホリフィールドがタイソンにTKO勝ちしたあとくらいらしい。
全盛期をすぎたと思われても、まだまだすごいファイトをし続ける、スクエア(まとも)な男。
増田俊也「超二流と呼ばれた柔道家」
究極の背負い投げの完成にすべてを注ぎ込んだ堀越英範の話。
地味な存在だったが、一途にその技だけを磨き続けて、1996年の全日本選抜体重別で古賀稔彦からついに一本をとる。
吉崎エイジーニョ「266ゴールの男」
鹿児島県姶良町役場につとめ、九州リーグで日本サッカー公式戦最多記録の266ゴールをあげた西眞一の話。
1995年から2007年までの13シーズンで得点王9回だけど、鹿児島教員団を前身とするヴォルカは上のステージにあがることはなかった。
織田淳太郎「スーパースターの涙」
王貞治監督が昭和63年オフに、辞任ってことになってるけど、実質的にはジャイアンツから解任された話。
球団とおなじ系列新聞社である報知の番記者の視線で描かれてる。

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