フレドリック・ブラウン/小西宏訳 1965年 創元推理文庫
これは今年5月の古本まつりで買った文庫、どうでもいいけど1971年15版のカバーについてる定価は170円、そうだよな、いま文庫本の値段ってやたら高くない?って思うの、私だけだろうか。
短編集読んだらおもしろくて他にも読んでみたくなったブラウンの、これはSF短編集、原題「Angels and Spaceship」は1954年の刊行だそうで、70年前ですか、ふーむ。
本書の「序」で、著者は、ファンタジーとSFのちがいを説明している、広義ではSFはファンタジーのなかに含まれるが、
>ファンタジーは存在せぬもの、存在しえぬもののことを扱う。
>一方、SFは、存在しうるもの、いつの日か存在するようになるかもしれぬものを扱う。SFはみずからを、論理の領域の中の可能性に限定するのである。(略)
>(略)ファンタジーを読んでいる時、われわれは半信半疑の状態のままに、魔神(デモン)を受け入れる。しかし、もし魔神がSFの中に登場すれば、彼の性格と実体に関する説明があたえられなければならないのである。つまり、もっともらしい説明を必要とするのだ。(p.8-9)
ということでファンタジーでは作者が出してきた超自然的なものはそのまま受け入れるだけだけど、SFでは科学的な説明がついた作りぢゃなきゃダメよと。
そう言っといて、本書の物語はファンタジーとSFが半々くらいみたいなこと言ってる、どっちでもいいや、おもしろければ、という気がするが。
なお、短編と短編のあいだには、ショート・ショート(著者によれば「ヴィニエット」)が配置された構成になってんだけど、これが、どれも2ページに収まる短いやつなんだけど、とてもおもしろい。短編集をこの形にするために書きおろしたのだというが、なんかお得した感じ。
収録作は以下のとおり。
「悪魔と坊や Armageddon」
悪魔の放つ炎を、自分でも理屈のわからぬまま九歳の坊やが消し止めて、世界を救うことになる。
「死刑宣告 Sentence」
これはショートショート、地球の宇宙飛行士がアンタレス第二惑星で殺人罪で死刑宣告される。
「気違い星プラセット Placet is a Crazy Place」
大小不同の二つの太陽の周囲を8の字型の軌道で回る惑星での話、そこでは視覚が通常ではなくなることがあり、三年間の勤務でうんざりした男は地球へ帰ることにする。
「非常識 Preposterous」
これはショートショート、家のなかに息子が持ち込んだくだらん雑誌があったので不機嫌になる父親。
「諸行無常の物語 Etaoin Shrdlu」
ライノタイプという新聞編集・印刷に使う機械の話、ある小男に半日機械を貸して使わせてやったあと、機械は勝手に働きだすようになった。
「フランス菊 Daisies」
これはショートショート、草花だって通信する、人間と草花の間でも通信は可能。
「ミミズ天使 The Angelic Angleworm」
ある朝、チャーリーは釣りの餌にするミミズを探していると、そいつは天使のような羽で舞い上がった、その後も彼のまわりには奇怪な出来事が続く。
チャーリーは自力で事態を解決するんだけど、思いもかけない仕掛けが背後にあったんで、一読したなかではいちばん驚かされたといえるかも。
「大同小異 Pattern」
これはショートショート、あるとき地球にやってきた宇宙人は一マイルの高さもある怪物たちだった。
「ユーディの原理 The Yehudi Principle」
友人のチャーリーがヘッドバンド型の装置を発明した、ユーディの原理という目に見えないこびとの力で、ちょっとしたことなら望みどおりにやってくれるのだという。
「探索 Search」
これはショートショート、わずか四歳のピーターが神を捜しにいく。
「不死鳥への手紙 Letter to a Phoenix」
十八万年生きた人間からのメッセージ、世界大戦や銀河系のかなたからの侵略戦争からも生き延びてきた経験から、あることを教えたいという。
「回答 Answer」
これはショートショート、宇宙のなかの人間の住む960億個の惑星の巨大計算機をすべて接続する。
「帽子の手品 The Hat Trick」
男女四人の集まった場で、ボブが披露したトランプの手品のタネを見破ったウォルターだが、怒ったボブにおまえも何かやれと言われると、帽子があればやってみせると答える。
「唯我論者 Solipsist」
これはショートショート、唯我論者とは、自分だけが実在する唯一のものであり、他人や世界は自分の想像のなかに存在するにすぎないと信じてる者。
「ウァヴェリ地球を征服す The Waveries」
ある日ラジオやテレビが使えなくなる、どこからかの電波妨害らしきもので混信が続いているのだが、やがてそれは宇宙からの侵略ではないかという説がでてくる。
「挨拶 Politeness」
これはショートショート、金星探検隊によると、金星人は地球語を理解できるのだが、いっこうに地球人と親交を結ぼうとしない。
これは今年5月の古本まつりで買った文庫、どうでもいいけど1971年15版のカバーについてる定価は170円、そうだよな、いま文庫本の値段ってやたら高くない?って思うの、私だけだろうか。
短編集読んだらおもしろくて他にも読んでみたくなったブラウンの、これはSF短編集、原題「Angels and Spaceship」は1954年の刊行だそうで、70年前ですか、ふーむ。
本書の「序」で、著者は、ファンタジーとSFのちがいを説明している、広義ではSFはファンタジーのなかに含まれるが、
>ファンタジーは存在せぬもの、存在しえぬもののことを扱う。
>一方、SFは、存在しうるもの、いつの日か存在するようになるかもしれぬものを扱う。SFはみずからを、論理の領域の中の可能性に限定するのである。(略)
>(略)ファンタジーを読んでいる時、われわれは半信半疑の状態のままに、魔神(デモン)を受け入れる。しかし、もし魔神がSFの中に登場すれば、彼の性格と実体に関する説明があたえられなければならないのである。つまり、もっともらしい説明を必要とするのだ。(p.8-9)
ということでファンタジーでは作者が出してきた超自然的なものはそのまま受け入れるだけだけど、SFでは科学的な説明がついた作りぢゃなきゃダメよと。
そう言っといて、本書の物語はファンタジーとSFが半々くらいみたいなこと言ってる、どっちでもいいや、おもしろければ、という気がするが。
なお、短編と短編のあいだには、ショート・ショート(著者によれば「ヴィニエット」)が配置された構成になってんだけど、これが、どれも2ページに収まる短いやつなんだけど、とてもおもしろい。短編集をこの形にするために書きおろしたのだというが、なんかお得した感じ。
収録作は以下のとおり。
「悪魔と坊や Armageddon」
悪魔の放つ炎を、自分でも理屈のわからぬまま九歳の坊やが消し止めて、世界を救うことになる。
「死刑宣告 Sentence」
これはショートショート、地球の宇宙飛行士がアンタレス第二惑星で殺人罪で死刑宣告される。
「気違い星プラセット Placet is a Crazy Place」
大小不同の二つの太陽の周囲を8の字型の軌道で回る惑星での話、そこでは視覚が通常ではなくなることがあり、三年間の勤務でうんざりした男は地球へ帰ることにする。
「非常識 Preposterous」
これはショートショート、家のなかに息子が持ち込んだくだらん雑誌があったので不機嫌になる父親。
「諸行無常の物語 Etaoin Shrdlu」
ライノタイプという新聞編集・印刷に使う機械の話、ある小男に半日機械を貸して使わせてやったあと、機械は勝手に働きだすようになった。
「フランス菊 Daisies」
これはショートショート、草花だって通信する、人間と草花の間でも通信は可能。
「ミミズ天使 The Angelic Angleworm」
ある朝、チャーリーは釣りの餌にするミミズを探していると、そいつは天使のような羽で舞い上がった、その後も彼のまわりには奇怪な出来事が続く。
チャーリーは自力で事態を解決するんだけど、思いもかけない仕掛けが背後にあったんで、一読したなかではいちばん驚かされたといえるかも。
「大同小異 Pattern」
これはショートショート、あるとき地球にやってきた宇宙人は一マイルの高さもある怪物たちだった。
「ユーディの原理 The Yehudi Principle」
友人のチャーリーがヘッドバンド型の装置を発明した、ユーディの原理という目に見えないこびとの力で、ちょっとしたことなら望みどおりにやってくれるのだという。
「探索 Search」
これはショートショート、わずか四歳のピーターが神を捜しにいく。
「不死鳥への手紙 Letter to a Phoenix」
十八万年生きた人間からのメッセージ、世界大戦や銀河系のかなたからの侵略戦争からも生き延びてきた経験から、あることを教えたいという。
「回答 Answer」
これはショートショート、宇宙のなかの人間の住む960億個の惑星の巨大計算機をすべて接続する。
「帽子の手品 The Hat Trick」
男女四人の集まった場で、ボブが披露したトランプの手品のタネを見破ったウォルターだが、怒ったボブにおまえも何かやれと言われると、帽子があればやってみせると答える。
「唯我論者 Solipsist」
これはショートショート、唯我論者とは、自分だけが実在する唯一のものであり、他人や世界は自分の想像のなかに存在するにすぎないと信じてる者。
「ウァヴェリ地球を征服す The Waveries」
ある日ラジオやテレビが使えなくなる、どこからかの電波妨害らしきもので混信が続いているのだが、やがてそれは宇宙からの侵略ではないかという説がでてくる。
「挨拶 Politeness」
これはショートショート、金星探検隊によると、金星人は地球語を理解できるのだが、いっこうに地球人と親交を結ぼうとしない。