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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

スメルジャコフ対織田信長家臣団

2011-04-03 20:47:05 | 村上春樹
村上春樹 絵◎安西水丸 2001年 朝日新聞社
というわけで「カラマーゾフの兄弟」つながりってことで、村上春樹のこの本。
「CD-ROM版 村上朝日堂」ってなってて、付録にCD-ROMがついてます。
「村上朝日堂」ってのは、たしかそういう本もあったはずだけど、ここでは20世紀末ごろに村上春樹がやってたホームページのことです。
私は、パソコンをいろいろ使いだしたのが1994年ころからなんだけど、通信することにはほとんど興味がなくて、インターネットにつなぐようになった1997年だか98年ころからも、それほど熱心に何かを見たり読んだりってタイプぢゃありません。
ここにいろいろ書いてるように、作家やミュージシャンのファンだったりするんだけど、むかしも今も、そういうフェイバリットのアーティストのホームページを常にチェックするとかって習慣がありません。
なので、村上春樹のホームページも、実は見たことがない。
この本が出たころには、終わってたらしいけど。
こうやって本が出て、いろんな疑問に答えてくれたり、メールに返事をくれたりって存在だったって知って、あー知らなくて惜しいことをしたとは思ってますが。
なんせ、あの村上春樹さんと直接メールのやりとりができるなんて、ちょっと想像できません。
初めて本書を読んだときは、正直、そんなことするんだ!?人間嫌いぢゃなかったんだ!?だなんて感想をもってしまいましたしね。(それは私の偏見か。)
そのへんのとこ、>こういうやりとりはたしかに、インターネットという形式でしかやれないことだったと思います。手紙ほど形式張ってないし、実際に面談していたら時間がかかってしょうがないし、ほとんど同時的に、それもしゃべりではなくいちおう文章で意思がやりとりできるという、まったく村上個人のためにつくられたような便利なメディアで、3年間すごく楽しんでやっていました。 なんて言ってます。

で、さてさて。
そんな村上春樹さんのホームページでは、いくつかの村上作品のなかで触れられている「カラマーゾフの兄弟」について、読みました!って人がつどってたらしいです。
そのへんのとこ、この本には、
「『カラマーゾフの兄弟』読了クラブ」は「バー・スメルジャコフ」と改名しました。読了なさった方には「バー・スメルジャコフ」の会員権が支給されます。年に一度「カラ兄トリビア・クイズ大会」があり、豪華な賞品が送られます。 だなんて書かれています。
『カラ兄』についての、村上春樹さんの個人的な意見としては、
僕もこれまでに実にいろんな本を読んできたけれど、いちばんすごい本というと、この『カラマーゾフの兄弟』をあげないわけにはいかないと思います。ほんとうに深い深い井戸の底からまぶしい光を見上げているような、絶望と救いの絶え間のない交換があります。(173ページ)という一節があります。うーん、このひとにそう言われると、やっぱ読みたくなりますよね。
ちなみに、本書のタイトルのもうひとつのほう、「織田信長家臣団」ってのは何のことかっていうと、読者からのメールで「ちなみに、夫は今、織田信長の家臣団について興味を持っており、その関係の本を読みあさっています。」というのがあって、そこに村上春樹が反応して、>正直に言いまして、僕は「織田信長の家臣団」にとても興味があります。(略)やる気になれば、「織田信長の家臣団の歌」をつくるとか、いろんなことができると思います。と答えたりしてるとこから来てるみたいです。
そのほかにも、ところどころに村上春樹の語るキラリとしたものがいっぱいあって、ファンとしては読んでて楽しいものです。
たとえば、『スプートニクの恋人』の発売にあたって、
僕が小説を書くときにいつも念頭に置いているのは、「読者が(一度読むだけではなく)何度か読み返すことができて、読み返すたびにすこしずつ受ける印象の違うようなものを書きたい」ということです。(74ページ)
とか書いてます。すばらしい決意表明だと思いますけど、初期のころは何度も読んだけど、最近は一度読んでそれっきりというのが多い私としては、耳が痛いです。
(でも、面白くないから読み返さないのではなく、読むといろいろ真剣に思わされてしまうのが怖くて、軽い気持ちで手に取れないっていうのがホンネです。最近またボチボチと読み返してるんで、そのへん痛感してます。)
あと、>一度書いたメールは、すぐにそのまま送信せず、一晩寝かすことをお勧めします。僕も、どんなに急いでいても、その日書いたメールをその日のうちに送るということは、極力避けるようにしています。(119ページ)
なんてのも、いいですね。私も、以前、ブログは、前の晩に書いたものを、翌朝チェックして、問題なければ前夜の投稿日時でそのままアップする、ということをしていた時期がありました。(それでも問題発言があったらしいのには困ったもんだ。)いまは、このブログは、自分の心情はあまり書かないんで、時間をおいて校正することなく、適当に垂れ流してますけど。
そうそう、それから、「『上を向いて歩こう』を国歌(準国歌)にしよう」って一節もあるんですけど(125ページ)、これには賛同しますねー、私は。

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