村上春樹=文/稲越功一=写真 1998年 中公文庫版
これは10月になんとなく古本を探しにいったときに、たまたま見つけた文庫。
村上春樹のものはだいたい読んだと思っていたんだが、これは存在を知らなかったんで、なんだろうと思った。
最近のものぢゃなくて、単行本は1994年だという、知らなかった、うーん、そのころ本読むのにはうかつだったかも。
エッセイということになるんだろうが、文章が半分、写真が半分って構成で、文章はびっしりぢゃなく一ページに数行って感じ。
旅行が好きなわけぢゃないという自覚がありながら、あちこち移り歩いているのは、定着できる場所を探してるのかも、ってなことで旅について語ってる『使いみちのない風景』。
ある場所で目にした、ちょっと印象に残るような風景、そっから物語が始まるかも、と思わせといて何も始まらない、どこにも行かない、そういうのが「使いみちのない風景」として自分のなかにあるんだそうだ。
『ギリシャの島の達人カフェ』は、ギリシャに住んだときに、港のカフェで何もすることのない老人たちがいるって話で、「村上朝日堂」のどれかにそんな話があったんぢゃないかと思う、『ノルウェイの森』を書いている時期のこと。
『猫との旅』の書き出しはすてきだ、
>僕が昔から抱いている夢のひとつに、旅行好きの猫を飼うというのがある。(p.134)
だなんて言って、猫をつれて世界中を旅して、バーにも一緒に行って、自分はビール、猫にはミルクを頼むとか、いい趣味の妄想だ。
でも、それは夢であって、実際には旅行が好きな猫なんていないと嘆く、なんでだろう、猫は人になつくよりも場所にいつくみたいなことはよく言うけどね。
キンツェム(1876年からの4年間で54連勝した偉大なサラブレッド)が連れてた猫は旅行好きだったのかなあ。
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