村上春樹=文 安西水丸=画 昭和六十一年 新潮文庫版
やらかしてしまった。
去年の秋に、主に丸谷才一なんかを探しに地元の古本屋へブラブラしに行ったときに、これの文庫がたまたま目についた。
「あー、これねー、持ってないんだよな。今更感いっぱいだが、せっかくだから買っとくか」ってつもりになって、一緒に帳場へ持ってたんだけど。
最近になって、ようやく広げてみたんだが、あれれと思った、既読感がハンパではない。
いちばん「絶対これ読んだよー」と確信したのが、本編ではなく、巻末対談だったっていうのもヘンな話だが。
「水丸の丸」ってのと、「猫を放つ」ってフレーズが特にね、全然忘れてないものだった。
おっかしいなー、学生のときに単行本を図書館で読んだりでもしたかな、とも思ったんだが。
念のために、本棚の、村上春樹もの固まってるあたりを見てみたら、あったよ、『中国行きのスロウ・ボート』なんかの周辺に。
なんで昔っから持ってるもの、買っちゃうかな、単行本ならともかく、同じ文庫。
これはボケが始まったのではないかと、マジ心配というか、自己嫌悪になった。
このブログに以前とりあげて書いていないか、そこは検索して調べたら無かった、なんで飛ばしたのかは自分でも不明。
ということで、実にひさしぶりに読み返したということになるが、中身は改めてどうこういうことはなく、二人のコラボ。
ちなみに本書のなかの「鏡の中の夕焼け」が、二人が一緒にやったのの最初のものだという、言葉がしゃべれる犬の出てくる面白い話。
村上さんの短い文章と、水丸画伯の絵だが、巻末対談によると、「絵と文がまったく別でしたね(村上)」「この中で、村上さんの文章を読んで描いたものはひとつもないです(水丸)」ということなので、別々につくったものをドンと合わせたってつくりらしい。
ふーむ、それで一冊できちゃうというのもすごいというか、なんというか。
私が好きなのは(昔も今も)、夢みたいにぴったりとくる万年筆を作ってもらう「万年筆」と、スニーカーの発明者をめぐる逸話をかたる「マイ・スニーカー・ストーリー」といったとこ。
コンテンツは以下のとおり。
カティーサーク自身のための広告
クリスマス
ある種のコーヒーの飲み方について
ジョン・アプダイクを読むための最良の場所
FUN、FUN、FUN
万年筆
スパゲティー工場の秘密
マイ・ネーム・イズ・アーチャー
A DAY in THE LIFE
双子町の双子まつり
マイ・スニーカー・ストーリー
鏡の中の夕焼け
サヴォイでストンプ
巻末対談 安西水丸・村上春樹 画家と作家のハッピーエンド
(この写真は私が昔から持ってた(本棚で眠ってた)ほうのもの。)
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