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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

「弱くても勝てます」

2014-08-19 17:21:48 | 読んだ本
橋秀実 平成26年 新潮文庫版
サブタイトルは、「開成高校野球部のセオリー」。
夏の甲子園やってるからというわけでは特になくて、こないだ読んだ著者の『ゴングまであと30秒』が妙におもしろかったんで、もうひとつくらい読んでみようかと思い、最近読んだ本。
テレビドラマ化されてるらしいけど、見たことない。
けして強くない、っていうか、どっちかっていうと弱い、高校の野球部を取材したノンフィクション。
もともと野球やりに高校に入ってきたようなわけぢゃない部員ばっかりで、グラウンドでの練習は週1日なんだから、まあ、ふつうはそれほど勝てないチームにしかなんないだろうが。
それでも勝つにはどうしたらいいかってセオリーを監督が持ってて、生徒もそれなりに努力してる。
しかし、この生徒たちが、理屈を言う言う。
私も野球に関しては大概理屈を言うが、ここまでは言わないってくらい。
私は「野球だって運動なんだから物理に沿ってなきゃならない」と言うが、最後には「反応を反射に近づけるためには練習あるのみ」って練習を重要視するんだが、この学校の生徒はそこまで練習には興味がなさそう。
いろいろ言ってるよ。
>野球の場合は『間』があるじゃないですか。プレイとプレイの間にひと息ついて思考する時間がある。
とか
>僕は打てそうな時と打てなさそうな時が歴然としているんです(略)ですから、いつも打てそうな気分になるようにしているんです
とか
>僕はバッターボックスが好きなんです(略)バッターボックスはひとりだけで立つことができます。(略)そして自分の時間を与えられる
とか
>僕は日常生活でも引きずるタイプなんです(略)だから野球が好きなんです。野球は攻撃と守備がはっきり分かれているじゃないですか。
とか
>自分の所に打球が来ると予測しなきゃいけないのに、予測が足りないというか。いや、予測はしているんですけど、1歩目が出るのが遅いというか。
とか
>外野は涼しいんです(略)内野は緊張するじゃないですか。でも、外野って全体を客観的に見れるんです。
とか
>例えば、ゴロに柔軟に合わせる、バウンドに合わせるというとかのが苦手なんです。こういうことは経験に基づいて判断することだと思うんですが、何しろ経験が少ないんで経験に基づいた判断ができないんです
とか
>調子が悪ければ練習を増やしますが、ずっと調子がよいのでその必要はないと思います
とか
>球が来ると焦っちゃうんです。『捕れない』と思っちゃうんです(略)焦らないようにしても『捕れない』と思うと本当に捕れなくなっちゃうんで(略)いや、何も考えずにやれば捕れるんです。でも、何も考えずにやれば捕れる、と考えちゃうと捕れなくなる
とか
>素振りはやっているんですが、球は前から来るもんですから(略)球が前から来ると、素振りとは違うんですよね(略)実際の野球は素振りとは違うものだという認識が僕の中にできてしまっているんでしょうか
とか、名言の数々、枚挙にいとまがない。
私なんかは、いいから練習しろよ、って言いたくなるけど、監督は「他のチームなら自然に身につくことでも、ウチは全部理屈で教えなきゃいけませんから」と生徒たちの脚質を理解してるから偉い。
いちばん感心したのは、そういう選手たちへのテーマの与え方。
>グラウンドでやるのは『練習』ではない(略)『練習』という言葉は、同じことを繰り返して体得する、という意味です。しかしウチの場合は十分に繰り返す時間もないし、体得も待っていられません。それにそれぞれが繰り返すべき何かをつかんでいないわけですから、『練習』じゃダメなんです
とは何が問題かハッキリわかっているから言えることなんだけど、じゃあ何をどうするかというと、
>グラウンドを練習ではなく、『実験の場』として考えるんです。あらかじめ各自が仮説を立てて、それぞれが検証する(略)
ということで、「実験と研究」を行うのが野球部の活動らしい。
へえー、としか言いようがない気もするけど。

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