いしいしんじ 平成二十年 新潮文庫版
これは、こないだ読んだ『プラネタリウムのふたご』といっしょに今年5月の古本まつりで買った文庫。
あいかわらず予備知識なしで、試してみるか的に買ったんだけど、文庫の裏表紙には「驚愕と感動に胸をゆすぶられる最高傑作」ってうたい文句があるから、なんとなく期待させられるんだが、結論としては私はあまり気に入らなかったなあ。
タイトルのポーってのは何のことかというと、主人公の名前です、ちょっと変わった男の子、っていうか途中から、これ人間ぢゃないでしょこの子、と思ってしまって、どうも人ぢゃないものの話はあんまりおもしろく感じないことが多い私は、それで困惑したってとこもある。
生まれたのは幅広い泥の川で、母は「うなぎ女」、うなぎ女ってなんだといわれても、よくわからない、泥の川でうなぎを捕るのが仕事のひとたち。
そういう生まれ育ちなので、ポーは水のなかが得意、たぶん肺呼吸はしてるんだろうが、いつまでも潜っていられる、泥の川のなかで目は見えんのかわからんがいろんなもの拾えたりする。
ときどき、この川については、人が落ちると溺死体はうなぎのえさになる、みたいな挿話があって、なんかちょっと禍々しいものあるなあって感じもするし。
ポーが出会って、陸上で仕事はたらくきっかけになった男も、見た目とちがってけっこう悪いやつだったりするし。
この作者のものは数えるほどしか読んだことないんだけど、きっとカタストロフくるんだろうなって予感はするんだが、やっぱりそれは来る。
驚いたのはそれで終わりぢゃなくて、第二部ってのが始まる、橋が多くかかった川の町の第一部から離れたとこで、廃棄物処理で穴のなかで働かされることになるポーだが、そこの経営者の女はレース鳩の飼育に熱心だったりする。
黙って物語を読んできゃいいんだろうが、これはいったい何の暗喩なんだろうか、何を意味しているんだろうかみたいに考えちゃう、考えてもわかんないんだけどね。
これもなんか悲劇的な結末くるんだろうなって予感は当然するんだけど、期待にたがわずひどいことになる。
それでもそれで終わりぢゃなくて、第三部ってのが始まる、こんどは川ぢゃなくて海まで行く、かつては魚貝がいっぱい獲れたのに、いつしか、っていうかある事故をきっかけになんだけど、水揚げがまったく減ってしまった町にポーが流れ着いて、そこに居ついての話。
町の人たちは親切でいいんだけど、ポーが海のなかで関わり合いになるのは、やっぱり人ぢゃないものみたいなんで、いったいこれは何の話なんだろうと思っちゃう。
それでも最終章は、もう出てこないだろうなと思ってた登場人物たちも律儀に顔見せしてくれて、そういう閉じ方はわるくないなあと思う、んー、ちょっと救いがある感じというか。
これは、こないだ読んだ『プラネタリウムのふたご』といっしょに今年5月の古本まつりで買った文庫。
あいかわらず予備知識なしで、試してみるか的に買ったんだけど、文庫の裏表紙には「驚愕と感動に胸をゆすぶられる最高傑作」ってうたい文句があるから、なんとなく期待させられるんだが、結論としては私はあまり気に入らなかったなあ。
タイトルのポーってのは何のことかというと、主人公の名前です、ちょっと変わった男の子、っていうか途中から、これ人間ぢゃないでしょこの子、と思ってしまって、どうも人ぢゃないものの話はあんまりおもしろく感じないことが多い私は、それで困惑したってとこもある。
生まれたのは幅広い泥の川で、母は「うなぎ女」、うなぎ女ってなんだといわれても、よくわからない、泥の川でうなぎを捕るのが仕事のひとたち。
そういう生まれ育ちなので、ポーは水のなかが得意、たぶん肺呼吸はしてるんだろうが、いつまでも潜っていられる、泥の川のなかで目は見えんのかわからんがいろんなもの拾えたりする。
ときどき、この川については、人が落ちると溺死体はうなぎのえさになる、みたいな挿話があって、なんかちょっと禍々しいものあるなあって感じもするし。
ポーが出会って、陸上で仕事はたらくきっかけになった男も、見た目とちがってけっこう悪いやつだったりするし。
この作者のものは数えるほどしか読んだことないんだけど、きっとカタストロフくるんだろうなって予感はするんだが、やっぱりそれは来る。
驚いたのはそれで終わりぢゃなくて、第二部ってのが始まる、橋が多くかかった川の町の第一部から離れたとこで、廃棄物処理で穴のなかで働かされることになるポーだが、そこの経営者の女はレース鳩の飼育に熱心だったりする。
黙って物語を読んできゃいいんだろうが、これはいったい何の暗喩なんだろうか、何を意味しているんだろうかみたいに考えちゃう、考えてもわかんないんだけどね。
これもなんか悲劇的な結末くるんだろうなって予感は当然するんだけど、期待にたがわずひどいことになる。
それでもそれで終わりぢゃなくて、第三部ってのが始まる、こんどは川ぢゃなくて海まで行く、かつては魚貝がいっぱい獲れたのに、いつしか、っていうかある事故をきっかけになんだけど、水揚げがまったく減ってしまった町にポーが流れ着いて、そこに居ついての話。
町の人たちは親切でいいんだけど、ポーが海のなかで関わり合いになるのは、やっぱり人ぢゃないものみたいなんで、いったいこれは何の話なんだろうと思っちゃう。
それでも最終章は、もう出てこないだろうなと思ってた登場人物たちも律儀に顔見せしてくれて、そういう閉じ方はわるくないなあと思う、んー、ちょっと救いがある感じというか。