many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

唐沢俊一のお怪物図鑑×唐沢なをきの物々冒険記

2017-06-10 18:06:42 | 読んだ本
唐沢俊一・唐沢なをき 平成16年 ワールドフォトプレス ワールド・ムック496
こないだ寝る前に数章ずつ読むって読み返し方をしてたんだけど、あれ、これってここへ採りあげてなかったけって気づいた。
(何を書いたか書いてないか憶えてないようぢゃ、もうブログもやめたほうがいいのかな、と反省してしまう。)
「裏モノの神様」みたいに蒐集の対象となる裏モノを紹介している、というわけでは必ずしもなく。
タイトルは、初出が「モノ・マガジン」という雑誌に載ってたかららしい、1997年から2004年。
俊一氏のエッセイ3ページと、なをき氏のマンガ1ページがセットになっている、春夏秋冬の4章で計36編。
文章ができあがったのが送られてきてから、それにあわせて絵を描かなきゃいけなかったらしいんだけど、急にふられても描けないよと「あとがき」で言ってるように、マンガのほうが苦労してそう、そこがおもしろいんだけど。
出てくるモノはいろいろありすぎて、なんともコメントしようがないんだが、「アタマのよくなるクスリ」という一節の「ヌートロピル」というクスリの写真を見たときは、あったあった昔そんなの、って思い出した。
なんか、こないだネットのニュースの見出しに、そういうドラッグが今の子どもに流行ってるというのを見かけたの片隅に憶えてたのもあって。
私が知ったのが90年代の終わりごろだったと思うから、そのころ飲んでたひとが親の世代になったのかねえと思ったもんだ。
薬物に頼ってはいけない。
(でも「アキラ」に出てくるカプセルは飲んでみたいと、昔からずーっと思ってる。)
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優雅な獲物

2017-06-04 20:09:24 | 読んだ本
ポール・ボウルズ/四方田犬彦訳 1989年 新潮社
ことし1月だったかな、(たしか川崎の)古本屋で買った。
これ出たころ、たしか見た気がするんだよね、訳者の本は好きだけど、迷って当時は買わなかったと思う。
そうやって、基本的にはパスしたものだから、今回おもしろかったらいいなくらいの感じで買ったはいいけど、ずっと放っておいて、読んだのは最近。
短編集なんだけど、必ずしもオリジナルの小説っていうんぢゃなくて、モロッコで蒐集した現地の挿話みたいな作品もある。それがけっこうおもしろい。
「遠い挿話」A Distant Episode(1945年)
南モロッコを再訪した言語学者のフランス人教授は、あやしげな案内に惑わされ、レギバット族に囚われてしまう。
「優雅な獲物」The Delicate Prey(1948年)
三人のフィララ人が旅するうちに、ひとりのムンガル人の男と会う。
同行を申し出たその男は、ガゼルを撃って捕らえてくるからと姿を消す。
「昨夜思いついた話――アハメッド・ヤクービ/聞書ポール・ボウルズ」The Night Before Thinking(1956年)
三人の男、ハキムとファキールとメスキンは、ラカッサという女にあう。
助けを求めたラカッサについて家まで行ったハキムは、彼女と魔法で応酬をくりひろげることになる。
なぜか全編関西弁での語り口調。
「ハイエナ」The Hyena(1960年)
一匹のコウノトリが砂漠をわたっているときに、峡谷の底の池で水を飲んで休んでいた。
そこへ一匹のハイエナが近づいてきて「遠くから来たのかい」と話しかけてきた。
あまり近づくとハイエナに魔法にかけられてしまうので、コウノトリは警戒していた。
「庭」The Garden(1963年)
南の国に住んでいるある男は、一日の畑仕事のおわりに、自分の庭がとても美しく映えることに夢中になっていた。
うちに帰ってきてもボンヤリと庭のことを考えている男を見て、妻は宝物をどこかに隠しているのだと思いこみ、薬草を使って場所を聞き出そうとした。
「過ぎ去ったもの、まだここにあるもの」Things Gone and Things Still Here(1975年)
これは、なんだろう? 時間の裂け目に落ちてしまった伝説みたいなものが並べられてる。
あとジン(魔神)はいまでも存在すると信じられてるし、女が男に呪いをかけるときは小刀を埋めるとか。
「学ぶべきこの地」Here to Learn
モロッコの美しい娘マリカは、出会った男に連れ出されて、生まれ育った町を離れてタンジールに行く。
さらにスペインへ、パリへ、ミラノへ、スイスへ、そしてロサンジェルスへ。
行く先々で、スペイン語や英語やスキーのすべりかたも学ぶ。
>ひとたび学ぶことを止めてしまえば、わたしという人間はいなくなってしまうのだ、ということを彼女は知っていた。(p.120)
「時に穿つ」Points in Time
これは、たぶんモロッコの、挿話集のようなもの。
固有名詞もいっぱいあって、よくわかんない。
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神さまってなに?

2017-06-03 19:23:20 | 読んだ本
森達也 2017年2月 河出文庫版
オウム真理教のドキュメンタリー「A」をつくったことで有名な森達也さんの文庫。
2月末くらいだったかな、書店で見かけて、最近あまりこのひとの本に興味なくなってきてたんだけど、なんとなく買った、読んだのは最近。
神さまっていうより、宗教に関する解説が多い。
新興宗教ぢゃなくて、世界宗教の三つ、仏教とキリスト教とイスラム教の成り立ちと基本線の紹介。
(ちなみに、三つの世界宗教以外は、民族宗教と分類している。)
まあ、なんというか、キリスト教とイスラム教の対立で世界戦争が起きかねないっていう状況を、問題意識にしてるんだろう。
>宗教は人を純化する。あるいは単純化する。そして時には、この純化や単純化を利用する人が現れる。自分の欲望や利益や理想を実現するために。(p.113)
とか、
>特異性は確かにある。でも普遍性もある。双方への視点を持つことが重要なのだ。(p.159)
とか、人間ってのは根はいいひとばかりなのに、ちょっとしたことで衝突しちゃうんで、それぢゃ悲しいから他者のことも理解しましょうよみたいな言われようをするんだが、難しいよね、実際。
どうでもいいけど、2015年にマンチェスター大学で行われたシンポジウムで、宗教学者たちはカルトという言葉を使わなかった、というエピソードがいい、印象に残った。
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