こんにちは矢本です。
ここ数回データ分析の記事を書いてきました。皆さんのご意見を伺いたかったのですが、あまり評判が良くないことがわかったので(・・・つまらない、・・眠くなる・・・)、しばらく封印します。
さて、今日のテーマは本のご紹介、「利他のすすめ」(大山泰弘著)、とても良い本でした。
日本理化学工業㈱の会長さんの書かれた本です。
この会社は「日本で一番大切にしたい会社」(坂本光司著)のトップに掲載された企業で、鳩山元総理が訪問されたのでご存知の方も多いと思います。社員の7割が知的障害者でありながら、チョーク製造では業界NO1のシェアを持つ優良企業です。
この本の根本的なメッセージは、「人間は人の役に立つことこそが幸せである」ということです。即ち「利他」こそが幸せに生きる根本原理だと述べられています。そして、
「人のせいにしないから、自分が磨かれる」
「自分を去れば、強くいきられる」
「迷ったときこそ、人のために動く」・・
これら多くのメッセージが、理念だけでなく、実話によって説明されています。まるで、会社が健常者と障害者双方の学校であったかのような感じです。
私は今年の5月に、世田谷にあるこの会社を見学してきました。この本の著者である会長ご自身が、写真のように我々見学者に対して、チョーク工場の説明をされています。
工場見学で、最も印象に残ったのは、以下のような工夫の数々でした。
・障害者でも絶対間違わずに作業できるような環境を整えている。
例えば、色付チョークの原料となる色素原料の重量を図るには、その色素と同じ色で必要な重量の重りをつくり、それと同じ重さになるまでカップに色素を入れさせている。色の間違えや重量の間違えは起きないやり方になっている。
・単純で正確な作業が必要な工程には知的障害者を配置している。
障害者の長所を活かした配置をしている。健常者は逆にミスが多くなる。
・健常者は作業や人員配置の工夫が主な仕事になっている。
障害者がミスなく効率良く製造できる環境を整えることが仕事である。
などなど・・・・・。
確かに各人が、仲間やお客さんのために作っているという意識を持って仕事をしているように感じられました。
私も「利他のこころ」が一番大切だとは思ってはいます。しかし、ビジネスにおいてこの理念を実践できているのは、このように膨大な努力・工夫があるからだという印象を強く受けました。もちろん、根本にあるのはこの理念なのですが。
良い本でした。1時間くらいで読める分量ですので、よろしければぜひ。