13期生 佐野です。
本日当番であることをすっかり失念しておりました。慌てて出張帰りの飛行機の
中で書いています(^_^;;
さて、先月の最終講義プレゼンで私がお話したテーマ「公会計」ですが(欠席の
方や出席されなかった方には何のことかよくわからないと思いますが)、皆さん
覚えていらっしゃいますか?
国も地方自治体も会計方式に単式簿記・現金主義を採用していて、会計年度毎に
閉じて処理しているため、将来にわたる負債や費用を把握しないまま放置してき
たことで、気が付いたら約1000兆円もの借金を抱える結果になったしまった・・
・こんな話をしたかと思います。
国も地方自治体も会計方式を発生主義・複式簿記に変えさえすれば、リアルな財務
会計情報をしっかりマネジメントし、民間人でも理解できる財務諸表をつくるこ
とで、ガバナンスをしっかり利かせましょう、と言われ続けているにもかかわら
ず、現実はお寒い状況で、発生主義・複式簿記を採用している自治体は10%程度、
借金も毎年雪ダルマ式で増えているのが現状です。
そのような中、先月動きがありました。
4/30に総務省が「今後の地方公会計の整備促進」と題して、次のような内容の報
道発表をしたのです。
地方自治体は、
①会計方式として発生主義・複式簿記を導入します
②未整備状態の固定資産台帳を整備します
③統一的な手法による財務諸表作成を行ないます
・これらを地方自治体に実施してもらうために、総務省は平成27年1月までに統一
的な基準を作って示し、マニュアルを作って周知徹底を図ります。
・地方自治体はマニュアルを元に準備を開始し、3年後の平成30年3月末まで(止む
を得ない事情がある場合は、5年後の平成32年3月末まで)に①~③までの準備を
完了させてください。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei07_02000083.html
これまでは、自治体の自主性や判断に任せてきた感じがあったのですが、ようやく
国(総務省)がリードをとる形になりそうです。特に統一的な手法を導入することは
非常に重要なことです。他の自治体と財務諸表の比較ができるようになり、自分が
住んでいる自治体の経営状態の良し悪しがわかるようになります。たとえば、
負債を多く抱えている自治体は、確実に将来世代(皆さんのお子さんやお孫さん)
にそのツケを残します。住民税や水道料金が値上げされますし、福祉の給付額が
下がります。負債の少ない他の自治体に引っ越した方がいいという判断ができる
ようになるわけです。
実はこれまでは、公会計の会計基準には次のようなものがありました。
・総務省改定モデル
・総務省基準モデル
・東京都方式・大阪府方式
・財務省方式(国の公会計)
・国際公会計基準(IPSAS)
いずれも先進自治体を支援した公認会計士や大学の会計学の先生方の持つ
理論に基づき作られたもので、結果的に出来上がる財務諸表はバラバラですから、
比較できる代物ではありません。難解な会計学論争に巻き込まれるのがいやなのか、
ほとんど(8割程度)の自治体は単式簿記からいきなり財務諸表が作れる魔法?
の手法・総務省改定モデルを採用しています。でもこの方法は数字の正確性に欠
きますので、評価の対象にはできません。
今回会計基準が統一されることは、こういう不毛な議論に終止符が打たれること
になり、公会計制度の大きな前進につながるのではないかという期待ができます。
ちょっと長くなりましたので、今回はここまで。次回はこの総務省が打ち出した
施策により、我々中小企業診断士が地方自治体にできることは何だろうかという
視点で書いてみたいと思います。