皆さんこんにちは。14期生の 木村洋一 です。ご無沙汰しております。また、しばしおつき合いいただければ幸いです。
最近、商店街活性化のひとつとして 「まちゼミ」 がずいぶんと流行っていますね。
私も昨年、都内のある商店街が第1回目を実施することになり、サポート役としてお手伝いをさせていただきました。
最初 「まちゼミ」 は単に店主の方が店頭スペースで、ミニ講義をするだけの 「イベント」 程度にしか思っていませんでした。
ところが 「まちゼミ」 創始者で、ご自身も商店街で化粧品店を経営する 松井洋一郎先生 の勉強会に参加し、
「目からウロコ・・・・」 状態でした。
「まちゼミ」 の実施に当たっては様々な決まり事がありますが、それらをきちんと守っていくと、おのずと店主自身が
経営戦略を考え、ターゲットを絞り込み、固定客を増やそうという作業をしているのと同じになると気付いたのです。
まさに経営革新です。「まちゼミ」 恐るべし。奥が深いですね。
一例をあげると、 「必ず、店頭に立っている店主が講師になってください。そして講義の中で、自店で扱っている商品の
宣伝を絶対にしないでください。」 という条件があります。
ところが、講義などをしたことが無い店主の方は、稀に仕入先の営業担当者などに依頼してしまうケースがあるようです。
確かに、メーカーなどの営業担当者であれば商品知識があり、話しも上手です。メーカーの人間に接することが無い受講生側にとっても
いいような気がします。また、メーカーですから、当然、自社商品の宣伝はします。しかし、これは最もやってはいけないことのひとつです。
松井先生は店主の方に、厳しいようですがはっきりと言いきります。
「そもそも商店街のお店は、物販店であれ飲食店であれ、チェーン展開する大手に、 価格、 品揃え、 ブランド などで
勝てるはずがないでしょう。」 と、
続けて 「唯一勝てるとすれば、お店に一番長くいる店主ご自身の人柄とノウハウではないですか?
店主ご自身は世の中に一人しかいませんから、チェーン店がまねしようと思ってもまねできません。
そう考えると、売り込むのは物やサービスではなく、店主ご自身であり、 『ファン』 になってもらうのが一番いいでしょう。
講義の中で商品を宣伝したら、 『ファン』 をつくるどころか、受講生は 『何だ、買わされるのか』 と思ってしまい、
2度と来店してくれなくなります。」 と言っています。
つまり 「まちゼミ」 とは 「店主のファンづくり」 で、商品やサービスの宣伝ではないということです。
さらに、店主ご自身が持っている強みやノウハウを再認識し、それを講義することで、受講生に 「この店主はすごい!」 と
思ってもらえば一番良いということになります。
診断士的に整理してみると、 「小売業やサービス業の差別化戦略・マーケティング戦略を再認識し、
まちゼミという来店機会を通して、店主へのロイヤルティを構築、新規顧客を固定客にする手法」 ということができます。
先日、診断士同志で、 「まちゼミの店主に対し、講義内容をどこまで踏み込んで助言するか?」 という議論になりました。
我々診断士は、環境分析をして、ある程度の方向性を出すことはできますが、それを安易に伝えることは店主のためにならない
という結論になりました。他人に奨められた内容で講義をしても 「自分の言葉にならない」 ということです。
自分の 『ファン』 を作るのですから当然と言えば当然ですね。
私もこれまで何件か商店街のお手伝いをさせていただきましたが、商店街の活性化の根本は、
個々の店主の 「危機感」 と 「自己変革」 ではないでしょか?
活性化を進めるのは、商店街組合の幹部の方でも、行政でも、ましてや診断士でもありません。
店主の方々が 「このまま今までと同じことを続けていたのでは本当にまずいぞ!何か変えなければ!」 と
真剣に思うことが全てのスタートだと考えます。
「まちゼミ」 はこの 「危機感」 と 「自己変革」 を醸成する絶好の機会ではないでしょうか。
そして、その気づきを示唆できるのが中小企業診断士であると私は考えます。
本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。