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ゴースト・レストラン

2020-09-08 12:00:00 | 20期生のブログリレー

皆さん、こんにちは。事務局の宇野毅です。当ブログで今年1月16日に『外食業界に影響を与える2020年のトピックス』について触れました。そこでは、2020年の外食産業に影響をあたえる3つのこととして「人手不足(対策)」「改正健康増進法(禁煙)」「東京五輪・パラリンピック」を挙げました。ところが、この3つの問題は、新型コロナの発生ですべて吹き飛んでしまいました。外食業界にとって今は、Afterコロナ、Withコロナを見据え、ニューノーマル(新常態)をどのように生き残っていくかを必死に模索する厳しい時代に突入しています。

今年の外食業界の振り返りについては、今後またこのブログで取り上げたいと思います。

さて、話は変わりますが、皆さんは「ゴースト・レストラン」という言葉をご存じでしょうか?

ニューヨーク発祥のレストラン・コンセプトで、昨年末あたりから日本でも話題になってきています。基本的には客席を持たずに厨房設備のみの店舗で、電話あるいはネットからの注文に応じて調理しデリバリーする業態です。宅配ピザと似ていますが、デリバリーを外部に委託しているのが特徴です。

今年、新型コロナ発生の中で、この「ゴースト・レストラン」という業態があらためて注目されています。まず、今回の感染防止のための外出自粛の中、「Uber Eats」や「出前館」などのデリバリーを利用する顧客が増えたという大きな環境変化がありました。市場が広がる中、「ゴースト・レストラン」は客席を持っていませんので、店舗の初期投資額を低く抑えて出店することができます。また、店舗立地についても、店前を多くの人が往来する一等地に出店する必要がありません。集合ビルの空中階に出店することで賃料も低く抑えることができます。そのうえ、店内でお客様にサービスするスタッフを雇用する必要がないので人件費も抑えられます。その結果、損益分岐点の低い業態として急速に増えつつあるようです。最近は、複数の商品を1か所の厨房設備に集約させることで、さらなる効率化や販売力向上を進めており、ハードロック・カフェなどを展開するWDI(ダブリュ・ディー・アイ)や多業態を展開するダイヤモンドダイニングといった有力企業も「ゴースト・レストラン」業態に参入してきています。

では、「ゴースト・レストラン」の弱点は何でしょうか?

まず、「Uber Eats」や「出前館」などのプラットフォームにある多くの競合店の中から自店を選んでもらうため、Webマーケティングの工夫が重要と思われます。また、その場で召し上がっていただくレストランと比較すると衛生管理に細心の注意が必要です。

私は、働いているスタッフのモチベーションをどう維持していくかも重要な要素ではないかと感じています。飲食店は、「ありがとう」「おいしかったよ」というお客様の反応やコミュニケーションがスタッフの働く原動力につながっていると思うからです。

新型コロナの状況下、「ゴースト・レストラン」は増えていくでしょう。しかしながら、「ゴースト・レストラン」業態が伸長しているというニュースを聞くたびに、「賑わい、楽しさ、語らい、の空間」という、外食産業が持つ本来の価値の重要性をあらためて感じています。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (大井 秀人)
2020-09-08 21:10:03
こういう中でも新たな事業ドメインを作り出すバイタリティがさすがアメリカと思いました。ひょっとすると、食を作る事業と場所を提供する事業が分業化していくかもしれませんね。それにしても「ゴースト・レストラン」という名前が面白いというか、日本語では無い発想だな、と感じ入りました。
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Unknown (岡田 英二)
2020-09-08 23:17:59
ゴーストレストランという言葉は初めて聞きましたが、ネット検索してみて、その認知度に驚きました。
レストランということですが、きっと軽減税率が適応されるのでしょうね。
選択と集中、分業、外注化という以前から言われていることを適応するとこういうスタイルになるのかもしれません。
ネーミングでブランディングをする重要性も再認識しました。
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Unknown (青木 洋輔)
2020-09-09 09:11:13
ゴーストレストラン、面白いですね。
飲食業の新規開業において、シェアキッチンやクラウドキッチンとの合わせ技でローコストで開業できるので、新規参入障壁も下がりましたね。食事はスイッチングコストが低く利用頻度も高いので、今後、味と値段以外の勝負が難しくなるのかなと思います。
もしかしたら、食事は提供せず場所とサービスのみ提供し、様々なゴーストレストランから食事を調達するイートインスペースのような業態も増えるかもしれませんね。
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Unknown (宇野 毅)
2020-09-09 10:05:35
大井さん
コメントありがとうございます。
確かに、ゴーストという言葉持つ意味や印象が米国と日本で違うのでしょうね。幽霊食堂では、お化け屋敷ですからね(笑)

岡田さん
コメントありがとうございます。
これからも、世の中の様々な分野で選択と集中、分業化が進み、効率的になると思いますが、遊びや非効率、アナログ的な心地良さに惹かれるものもありますね。

青木さん
コメントありがとうございます。
イートインスペースだけのレストラン、面白い発想ですね。私はゴーストレストランは、新規開業者向けのようにも思います。投資額も損益分岐点も低いので。ゴーストで開業してフルサービスに、という流れができるかもしれません。
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Unknown (たけい)
2020-09-11 17:33:47
飲食店もいまは色々な形態があるのですね。
多店舗展開、グループ会社によるのゴースト・レストランなど、活用の仕方によっては可能性が広がるような印象を持ちました。
それにしてもネーミングがアメリカらしい(笑)
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Unknown (宇野 毅)
2020-09-12 22:24:52
たけいさん
コメントありがとうございます。
それぞれの時代に合わせて業態を変化させていくところが飲食の強みのひとつですね。
それにしても、アメリカでの「ゴースト」という言葉には何かしら愛敬を感じますね。(ゴーストバスターズの印象が強すぎるのかもしれません。)
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