こんにちは、23期生の永岡伸一です。前回に引き続き裁判員裁判の経験談をお伝えします。裁判員に選任されてからの内容です。ご心配おかけするかもしれませんので、守秘義務の内容を先に記載しておきます。
【守秘義務の対象】
➀評議の秘密:どのような過程を経て結論に達したか、どのような意見が交わされたか、評決の数
②評議以外の職務上知った秘密:事件関係者のプライバシー、裁判員の名前など。
【守秘義務の対象外】
➀公開の法廷で見聞きしたこと:証人尋問の内容、判決の内容
②裁判員としての職務を行った感想
今回の裁判も公開の法廷で行われ、だれでも傍聴できました。事件内容もお伝えできるのですが、評議の内容に踏み込んでしまう可能性もあるため、このブログでは事件の詳細はある程度控えさせて頂きます。
最初に教わった事は、「裁判は証拠によって決まる」ということです。検察は証拠にもとづいて訴えを証明する責務があります。合理的な疑いが残る場合は無罪です。このルールに慣れるのには時間がかかりました。ビジネスであれば、得た情報は活用して意思決定します。一方、裁判は法廷で提出された証拠のみで審理します。こういったルールが、えん罪を押さえ、裁判の客観性を担保していることを感じました。時間がかかるのも納得です。
今回の裁判は平成に起きた詐欺事件の一種でした。事件概要を聞いたとき、一番心配していた殺人事件などトラウマになりそうな状況を見ることはなさそうなので、ほっとしました。しかし被害者、加害者、関係者が複数人登場、一部の人物は別の強盗事件にも関わっている。頭の中を整理してゆくのは苦労しました。強盗事件の内容は証拠として提出されていないので、考慮にいれてはいけないのです。一連の事件についてではなく、その中の1つの事件が審理の対象となっているので、関係のない事象は外します。
裁判員裁判の大まかな流れですが3段階になります。➀法廷での審理、②評議、③判決の宣告に立ち会うこと です。
➀法廷での審理:いわゆる証拠調べや証人尋問を指します。一般的な裁判のイメージであり、傍聴席から見学できます。
②評議:審理で提出された証拠をもとに、有罪かどうか、刑罰の内容を決めます。
③判決の宣告に立ち会うこと:裁判官の宣告に立ち会います。最終日になります。
裁判員は裁判全日程の出席が求められます。今回は11日間でした。私も補充裁判員の一人として参加。裁判員は全員がそろっている必要があります。1人が途中で中座したら、以降の審議はすべて無効になります。事故や病気に備えるために補充裁判員も必要だったと思われます。一日の日程的には10時に集合し、夕方解散というスケジュールでした。証拠調べや証人尋問はだいたい1時間前後行い、間に30分ほど休憩をはさみます。昼休みも1時間から1時間30分ほどありました。東京地方裁判所の地下にも食堂があり一般人の利用も可能です。しかし私はとなりにある農林水産省の1階にある食堂を主に利用していました。農林水産省ならではの、クジラ肉のメニューもありました。クジラ三昧定食おいしかったです。
今回で終える予定だったのですが、クジラ定食など書いていたら思いのほか長文になってしまいました。ひっぱって申し訳ありません。次回、法廷での体験を開示できる範囲で書きたいと思います。
ハードな上にプレッシャーもありそうです。裁判や事件に対する考え方も変わりそうですね。