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夢見るチョコレート工房~障がい者たちに働く喜びを~

2019-10-12 12:00:00 | 19期生のブログリレー
皆さん、こんにちは。19期生の宇野毅です。今回は、10月9日(水)の「人を大切にする経営研究会」で行われた『一般社団法人AOHチョコレート工房ショコラボ』伊藤紀幸代表のお話を紹介したいと思います。
このAOHは、「第9回 日本で一番大切にしたい会社大賞」実行委員会特別賞を受賞された会社で、従業員60名中40名が障がいのある方です。

伊藤さんがショコラボを立ち上げることになった原点は、障がい者として生まれてきたお子様が小学校に入学する際に、校長先生から「残酷ですが現実を直視してください。お子さんは就職できない。できても月給3千円です。」と言われたことです。
伊藤さんは優秀な銀行員としてバリバリ仕事をされていましたが、お子様のそばにもっと居る時間が作れる仕事に就こうと35歳の時に転職します。しばらくは一緒の楽しい時間を過ごしましたが、その後、息子さんのために精一杯働いてお金を残さねばならないと考え、外資系の会社に転職されました。
その会社でも成果を上げ要職に就いていましたが、ある時、伊藤さんは日経新聞でヤマト運輸の小倉昌男さんの「私の履歴書」を読みます。その中には、私財を投げうって福祉社会の実現を進める小倉さんの姿があったそうです。それに感銘を受け、自分の家族だけでなく、広く障がい者の方々の雇用の場を創出することを目指して独立を決心されました。
自らの運命的所与を肯定的に捉え、障がい者が働き、生きやすい環境づくりのため、自分が安心して死ねるため、また、障がい者の方々・ご親族のために、障がい者の方々のQuality of Lifeに焦点をあてようと考えられたのです。

「では、どんな商売をしようか」と悩んだ伊藤さんは、「頭で考えたビジネスはことごとく失敗した。心で感じたビジネスはことごとく成功した。」というワタミの渡邊美樹さんの言葉に動かされたそうです。どんな商売でも心からやりたいと思うことを凡事徹底やり続けること、「何をやるか」よりも「思いを持って誰とやるか」が重要であると、伊藤さんは強く語っておられました。
その後、「好きなチョコレートを一生の仕事にしたら」という奥様の言葉もあり、7年前に現在のショコラボを設立されました。
ショコラボの企業理念は、「あらゆる人々を平等に尊重し、障がい者・高齢者・健常者が共生するコミュニティを作り、関与する全ての人々が物心両面の豊かさを感じられる仕組みづくりで社会に貢献すること」です。
また、AOH(エイオーエイチ)の意味は、以下の5つのAOHを目指したいという自分たちのミッションであると語っておられました。
Assist of Happiness(幸福の支援)
Assist of Humanity(人間性の支援)
Assist of Harmony(社会との調和の支援)
Assist of Heart(心の支援)
Assist of Health(健康の支援)
※これらは、HelpではなくあくまでもAssist であるとのことです。

伊藤さんは、「障がい者の工賃アップにより、ノーマライゼーション(障害のある人が障害のない人と同等に生活し、ともに生き生きと活動できる社会)を目指す。その実証的な場となる事業展開をすることで働く人々、関与する人々、消費する人々に夢と希望を与えたい」という強い思いをもって経営されています。
チョコレートは夏に売れない商材のため、障がい者の皆さんにまだまだ目標の工賃は払えていないそうですが、自分は何のために生きるのか、本当に何がしたいのか、何を残したいのか、そのような普遍的な人生観を考えさせられる、素晴らしいお話でした。
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10 コメント

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Unknown (廣瀬達也(19期生))
2019-10-12 15:52:20
貴重なお話の共有ありがとうございます。
しっかりとした志のある方のパワーは凄いですね。
「どんな商売でも心からやりたいと思うことを凡事徹底やり続けること」
合宿でも行った自分のキャリアプラン検討に刷り込みたくなる考え方です。
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Unknown (宇野 毅)
2019-10-13 17:35:46
廣瀬さん
実際の講演では、今回紹介させていただいた「思い」とともに、実際の作業の工夫やコーチングを取り入れたコミュニケーションなど、我々診断士にも参考になる事例が多くありました。
あきらめないでやり続ける「覚悟」を強く感じました。
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Unknown (森(宏))
2019-10-14 00:53:53
障害者の就職支援の担当のときにはいろいろな事業所も見ました。なかなか助成金や給付金がないとビジネスとして成り立たないというのが実情ですね。
なのではじめは疑問に思うこともありましたが、それでもそうした障害者が少しでも生産的な労働に参加できる場を作ることは、完全には無理だとしても自立に一歩でも近づく人を増やしていくことになるので、やはり意義のあることだと思うようになりました。
パンとかお菓子とか、結構やっているところは多いですが、ショコラボさんみたいに本格的に材料にこだわるとか、商品で勝負できるところはなかなかないと思います。
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Unknown (たけい)
2019-10-14 08:22:30
以前にショコラボさんの商品をいただきました。
森さんがおっしゃるように障がい者施設のお菓子となると焼き菓子が定番ですね。(出先で見かけると、できるだけ1つ2つでも買うようにしています)
ひとつひとつすごく丁寧に仕上げられていて、とても美味しかったです。
こういった社会とのつながりは当人にとっても、ご家族の方にとっても大切なことかと思います。

店舗までは行くことができないので、ひさしぶりにポチっとネットショッピングです。
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ありがとうございました (水口淳一郎)
2019-10-15 00:00:32
人を大切にする経営研究会の情報共有ありがとうございます。ショコラボの伊藤さんにはお目にかかったことがないのですが、非常に熱い思いが伝わってきました。参加が叶わず、残念でした!次回懇親会などで、また教えてください。よろしくお願い致します。
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Unknown (高橋由子)
2019-10-15 07:41:30
宇野さん、いつも人を大切にする経営研究会でのご準備などありがとうございます。
ショコラボは以前から知っていましたが、障がい者雇用の会社とは記憶はなく、なんとなく良い会社というイメージでした。今回改めて話を聞くことができて良かったです。
なかなか普段の生活で聞くことはできない貴重な話でした。
自分のことばかりではなく、社会のことを考えることはなかなかできません。心に引っかかる言葉でした。
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Unknown (宇野 毅)
2019-10-16 08:30:49
森さん
実際の就労機会の現場ではいろいろな考えの方がおられるのかもしれませんね。
伊藤さんは、障がい者の方が月10万円稼げるようになれば、年金も合わせて自立できるとおっしゃっていました。親としての切実な気持ちと思いました。
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Unknown (宇野 毅)
2019-10-16 08:42:30
たけいさん
伊藤さんもコーズ・マーケティングという言葉を使ってお話されていましたが、「見かけたらできるだけ買うようにする」のはとても重要ですね。私もポチっと応援したいと思います。
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Unknown (宇野 毅)
2019-10-16 08:55:04
水口さん
ありがとうございます。ぜひ共有させてください。
HK研での経営者の皆さんのお話にはいつも感動を覚えます。それを現実の経営指導にどう生かすかは課題ですね。そのあたりもぜひ議論させてください。
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Unknown (宇野 毅)
2019-10-16 09:04:56
高橋さん
HK研にいつもご参加いただき、ありがとうございます。講師のみなさんのお話にはたくさんのギフトがあると感じます。人それぞれ、受け取る言葉や内容が微妙に違いうと思いますが。
研究会最後の共有で他の方の感じ方を聴くのも、とても意義があることと思っています。
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