あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

夢は第2の人世である 第131回

2023-12-04 09:47:43 | Weblog

西暦2023年葉月蝶人酔生夢死夢百夜

 

 

亡くなったケータイが、どこかでぶつぶつ言うておるよおだ。8/1

 

むかし椎名誠が、「逗子のWWW店のカジュアルウエアは、なかなか面白いよ」と、ビーパル誌かなんかでで語っていたのを思い出して、行ってみたのだが、そんな店は跡形もなかったずら。8/2

 

さる高名な哲学者が、私の詩集の感想文を書いてくれたのだが、超難解で、しかも3冊の超難解な哲学書に拠っての書き下ろしなので、おそらく、書いた本人にしか理解できないと思われた。8/3

 

日中米露、そしてコスタリカからやって来た5人の若者が開発した、超半導体AIなる最新式の機械が、全世界からの反響を呼んでいるが、その中身は、杳として深い謎につつまれている。8/4

 

寝苦しい夜を輾転反側していると、いつのまにか自分は漱石もどきになって、次のような歌が転がり出てきた。「我もまた剥犬の如くうろつきぬ東京大阪巴里倫敦」。8/5

 

「この風景を前にして、どういう風に写真を撮ればいいのか」と聞かれたので、「1枚はアジア風に、もう1枚はアフリカ風に撮り給え」と助言したのよ。8/6

 

今回の総選挙に臨む、わが党の方針を聞かれたので、「前回のしかつめ路線をやめて、ワハハ本舗で行くつもりだ」と、即答したのだが、果たしてその真意を分ってくれたか否か、あまり自信はない。8/7

 

昔の言葉でいうと、女工さんたちが、大勢行き来している、洒落た小さな町だったが、私は、どうしたら彼女たちに気に入られるのか、いくら考えても、そのやり方を思いつかなかった。8/8

 

アラン大使館で発信しているおらっちのブログが大好きです、とジョージが言うので、現実世界だけではなく、冥界の住人にも読んでもらえるように、地下通信を開始したのよ。8/9

 

「私のグループは何グループ?」と聞かれたので、「スウエンソンの白鳥グループだよ」、と返事したが、相手はそれっきりうんともすんとも言わないので、ほんとにスウエンソンの白鳥グループなのか、心配になってきた。8/10

 

ツァラトゥストラのおらっちは、なお多くのことどもを語ろうとしたのだが、突然語るべき中身がなにもないことに気づいたので、それからは大いなる沈黙期に入ったのよ。8/11

 

おらっちは、たった一人の孤高の老テロリスト、および10年の若手テロリストをば、あんじょう大事にせんといかん、と思ったずら。8/12

 

元騎兵隊員の俺は、キヘイタイについて知るために電話をかけるが、誰からも返事がないので、奇兵隊に電話すると、こちらのほうは、速やかに返事があった。8/13

 

この鉄道会社では始発列車を待つ乗客のために、夜中から翌朝まで読書室を開放し、湯茶のサービスから簡易ベッドまで据え付けてあったが、なんといっても嬉しかったのは書架に余の詩集が並んでいることだった。8/14

 

会社を抜け出して、赤電話がやけに目立つ田舎町をほっつき歩いていたのだが、やがてそれにも飽きて、赤電話で「夕方までには戻るから」と、会社に電話したのよ。8/15

 

おらっちが病院の中で夕涼みをしていたら、タンアミなんとかに似たおばハンが、おらっちの預金通帳を持っていこうとしたので、「こらあ、なにしてけつかんねん!」と大声で抗議した。8/16

 

戦前戦中から、映画雑誌で映画の感想文を書いていた私だったが、敗戦直後からは進駐軍による検閲をかいくぐって、日米安保条約は良くない、という趣旨のコラムを書いている。誰も読んでいないようだ。8/17

 

「お父さん、ビデオ撮って」と、度々息子が電話するので、おらっちは、時間の海に浮かんでいる、9時30分と5時15分の2つの表示板をつかもうと、必死で平泳ぎしているのだが、波が荒くて、なかなか辿りつけない。8/18

 

  • Oオリ氏は、どうやらおらっちへの生前贈与を考えていたらしいが、結局はそれを断念して、軽井沢で静養しているらしい。8/19

 

ブルックナーが怒涛のブルックナー進行を続けている間も、超満員の地下鉄に乗り込もうとする乗客の中には、母から大層世話になった多くの人たちがいたのだった。8/20

 

私に麻酔をすると、正しい日本人、正しくない日本人、変わらない日本人、時々変わる日本人、やたらと変わる日本人、日本人じゃない日本人、のどれかに即座に転位してしまうので、その旨あらかじめ医者にいうておかんけりゃならん。8/21

 

「女性ナンバーワン!」と評判の女史の論文を読ませてもらったが、別段どうということもないので、なんでナンバーワンなのかさっぱり分らんかったずら。8/22

 

「やっぱ寄る年波には敵わん、俺の最後の勝負は大失敗に終わった!」と、ナベサンはZ世代が行き来する賑やかな竹下通りで大いに嘆いたが、所詮は後の祭りだった。8/23

 

1万1千発の花火とまつがえて、1万1千発の核ミサイルを撃ってしまったので、その男は急いで下宿に帰って、4畳半の押し入れで頭を抱え、誰かにペンペンしてもらうべく、お尻をぐっと突き出していた。8/24

 

だんだん蒙録して、何がホントか分らなくなってきたので、本当のことだけを書き綴った真実の本、全10巻をつくって、国立国会図書館に納品したが、いったい誰が読むのだろう。8/25

 

SNSの記述については「趣味」と「実益」と「その他」の3つのジャンルに分けて保存しておこうと思うのだが、じっさいには「その他」ばっかりに入れる羽目になってしまう。8/26

 

過激音楽が、香りの黄金公園で、ひとしきりシブヤシブヤと鳴り響いていた。8/27

 

「すべては形象破壊の瞬間にかかっているのであり、タダのダダではありえない」と、狂い咲きサンダーバードが、縷々教えてくれた。8/28

 

ともかくねえ、目の前に銃があると、撃ってみたくなるので、そんときもすぐに撃ってみたのよ。8/29

 

今朝、白内障の手術をするはずの眼医者へ行ったのだが、どこかへ引っ越したとみえて、影も形もなかった。8/30

 

アメリカにいる池田ノブオのオレは3枚の写真を撮った。一枚は先住民がハンマーで鉱石をぶち割っているやつ、もう1枚はアリゾナの大平原に沈む夕陽の写真なのだが、3枚目のわが人世最高の傑作が一番素晴らしい奴がどうしても思い出せないので焦り狂う。8/31

 


      一日で150万人殺してんげり明日はなんにん殺したろか 蝶人

コメント
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