あまでうす日記

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鎌倉芸術館で「小津安二郎とブンガク展」をみて

2023-12-26 09:25:53 | Weblog

鎌倉芸術館で「小津安二郎とブンガク展」をみて

 

鎌倉ちょっと不思議な物語第455回

 

生誕120年を記念して去る19日まで開催されていた小津安二郎(1903-1963)のイササカ文学方面に偏らせた小さな展覧会でした。

 

これは本来ならば鎌倉文学館主催のイベントですが、生憎文学館は長期改修工事中なので、急遽別会場での開催となったのでしょう。

 

小津は映画監督として見事な花を咲かせましたが、会場に飾られた書画や手帳、時計、家具、愛蔵品などを一覧すると、絵画や美術、デザイン関係でもかなり良い仕事ができた人ではないかな、という気がします。

 

彼の代表作に登場した赤い薬缶ひとつとってみても、彼の洗練された色彩感覚と北欧調のデザイン趣味は凡百の映画監督、作家、クリエーターの美意識の水準を遥かに凌駕しており、それはお気に入りの英国製懐中時計ベンソンや超細字のモンブランで克明に手帳に記された日記を見れば一目瞭然。

 

これらの遺品は、彼が中原中也の黒いマントや夏目漱石の美しい名刺と並ぶ高等遊民のセンスの良さの持ち主であったとことを雄弁に物語っているのでした。

 

    昭和30年鎌倉市北鎌倉だけで小津安二郎に届いた志賀直哉の手紙 蝶人

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