The Public Image Is Rotten : Songs From The Heart / Public Image Limited (2018)
P.I.L.(Public Image Limited)のキャリアを総括するようなボックス・セット。CD5枚、DVD2枚という凄いヴォリューム。買わずにはいられなかった。ハート型をあしらったデザインといい、似合わない優美なフォントといい、人を喰ったようなジョニー(John Lydon)のニヤリ顔が見えるよう。製本されたライナーもしっかり読み込めればいいのだが、いかんせん最近細かい文字が追いづらくなっていて…(苦笑)。CDはシングル集、レア曲集、リミックス集、未発表曲集、そしてライヴ盤、となっていて、DVDはPV集、1988年のエストニアでのフェス映像、テレビ出演映像、そして復活後のシドニーでのライヴ映像と盛り沢山な内容。通して聴いたり観たりするだけで相当の時間を要する。
1978年のピストルズ(Sex Pistols)解散後すぐに活動を始め、パンクとは全く違うアプローチでロックの歴史に名を残したPIL。歴史的にはキース・レヴィン(Keiht Revene)やジャー・ウォーブル(Jah Wobble)が抜ける前の初期作品がやはり評価が高いが、ポップなスタイルに変わった80年代の作品も、今思えばなかなかの出来。そしてまさかの2012年の復活以降まで網羅した回顧録となっている。本当はどれも爆音(特に低音を効かせて)で聴きたいが、家の中には老犬も居ることだしそうもいかない。若かりし頃はオーディオに凝っていたので、デカいスピーカーで今思えば信じられない爆音で音楽を聴いていたが、さすがに齢を重ねると自重。30年以上前の事とはいえ、ご近所さんには今更ながら心からお詫び申し上げたい(笑)。
細かいミックス違いや別テイクを検証するパワーは既に持ち合わせていないが、こうして聴いていると昔強く感じた初期(ポストパンク期)と中期(80年代ポップ期)の感触の違いが、今はさほど気にならなくなっている。それらを繋いでいるのはやはり唯一無二の声を持つジョンの個性。彼のキャラクターの前には音楽ジャンルなんてあまり意味をなさないような気がしてくる。やりたい事をやる、という感じ。もちろん活動の間にはアフリカ・バンバータ(Africa Bambaataa)やレフトフィールド(Leftfield)とのコラボもあったし、ピストルズ再結成もあったし、TVショーやCMへの出演など多岐に渡る”お戯れ”があった(笑)。でもそれも含めてやっぱりジョン・ライドン。辛辣に風刺したり、怒ったりしても、最後には目をひんむいてニヤリと笑うのだ。
amazonにて購入(¥8,211)
- CD (2018/7/20)
- Disc : 7
- Format: CD, Import
- Label : VIRGIN