名古屋の大門にある「善ちゃん」へ。「寿湯」でひとっ風呂浴びた後、通りを歩いていると赤提灯が灯っている。「お食事処・善ちゃん」と書いてあったが名前に覚えがあったのでその場でスマホを使って調べてみると、以前に読んだ記事(1 2)が載っていた(便利な世の中だ)。かつて有名俳優らが通ったという伝説の店。「ほう、ここだったか…」とやっと認識。というのもココ、昼間はこんな感じ(笑)。(↓写真下2枚)
とても現役の店舗とは思えない枯れっぷり。でも提灯が灯って暖簾が掛かっているんだもの、そりゃ入ってみなきゃ。扉が開け放しだったのも幸いして中の様子が見えたので暖簾をくぐった。店内にはご高齢の女将さんと近所の方と思しきお婆さんが歓談中。店内はカウンターもあるが既に機能していないようで数品の惣菜や調味料が置いてあるだけなので、客席は小さな小上がり席が2つのみ。表に近い方に座り足は土間に投げ出した。いやぁ、渋い。一朝一夕には作りだせないこの雰囲気(後で1枚だけ写真を撮らせてもらいました・写真下)。
銘の入った茶碗でお茶が出された。勝手に居酒屋だと思っていたが、壁の木札の品書きは自分の予想と違って中華、定食、丼物などが多い。なるほど”食事処”だ。女将さんに酒を注文。「ワンカップもあるけど…。」と言われたが1升瓶の方にしてもらい、目の前でコップに注いでもらう。銘柄は「大関」。その1升瓶がかなり古びていたが、中は入れ替わっていると信じて見なかったことにした(笑)。もう「黄金屋」で腹に入れてきていたので、さすがにご飯物は入らない。何か酒のつまみはないかなと木札や紙短冊を見渡すが適当なものが見つからず、カウンターの方に書いてあった「奴トーフ」と「目玉焼き」を注文した。家では時々やるけど店で目玉焼きをつまみにするのは初めてかも(笑)。
日中は暑かったが、夜になってちょっとましになった。エアコンはもちろん無いが、戸が開いているので外の風が少し入り、助かる。でもこの60年以上という歴史のある景色を見ながら酒が呑める幸せ(※酒は老ねていませんでした・笑)。「奴トーフ」は生姜のたっぷりかかった大きめの豆腐で食べ応えがある。醤油をかけていただく。「目玉焼き」には千切りキャベツが添えてあり、塩を振っていい感じに黄身の軟らかい目玉が2つ。旨い。お歳は召していらっしゃるがしっかりとして笑顔のチャーミングな女将さんとご友人が楽しそうに喋っているのを聞きながらコップ酒を呑み干した。次はもうちょっと何か食べてみたいナ。(勘定は¥650!)
※残念ながら令和2年(2020)を以って閉店されたそうです
↓ かつての中村遊郭(名楽園)はだんだんと姿を変えてきているが、主婦や家族連れが通う大手スーパーの目の前にソープランドが立ち並ぶという名古屋・大門ならではの光景。
↓ 以前にも観察した「稲垣邸(旧・春福、ツルノヤ)」(大正12年・1923・建造)◇。交番の前にこの建物(笑)。隣接した待合(カフェー?)「TSURUNOYA」がモダンでかっこいい。
↓ 大門から歩いて駅西銀座方面へ。夜もとてもいい雰囲気の旅館「浅野屋」(昭和7年・1932・建造)◇。泊まってみたいんだけれど営業はしているのかな。
お食事処 善ちゃん
愛知県名古屋市中村区賑町24
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