松竹大歌舞伎 「道行初音旅」「川連法眼館」(9月8日 扶桑文化会館)
嫁と二人で歌舞伎の巡業公演へ。扶桑文化会館は自分にとって決してアクセスは良くなく駐車場も未舗装なので難儀だが、舞台が近くて見やすいし、いつもしっかり花道も造るので気に入っている。文化的な行事にも積極的でジャンルに関わらず小さい会場と侮れない著名な演者が登場することもある会場だ(なぜかいつも歌舞伎の時は客入りがいまいちだが)。早めに駐車場に車を入れ、車中でのんびりおやつ(関市の「虎屋」の鮎菓子)をつまみながら開場を待つ。いつもの事ながら今回もチケット入手をすっかり忘れていたので席は2階席だが、こちらは舞台も見やすく問題なし。なぜかこの会場、歌舞伎の時は客入りがあまり良くなく、この日も2階席はもちろん1階席でもちらほら空席が目立つ(写真下は入場してすぐ)。
歌舞伎では最も有名な演目のひとつ「義経千本桜」のうち2つを演るっていうのは地方巡業では珍しい気がするけどどうだろう(→そうでもないようです)。愛之助が”佐藤忠信実は源九郎狐”役。実は狐なので時折うっかりその素性を表してしまう細かい演技が見もの。「道行初音旅」は舞踊が中心ではあるが、猿弥の間抜けな頭領の演技が和ませてくれる。「川連法眼館」は扇雀が忠信役の時にも見たことがあるが、一瞬で舞台に現れたり、早着替えがあったり、トリッキーな動きとケレンが見られるのもこの演目の楽しいところ。愛之助は見得を切った時の表情が決まるねェ。ちょっとイントネーションが関西弁だったように聞こえたのはそういうものなのか、愛之助ならではなのか。鼓になった両親を慕う狐の親子愛と悲しみという観点からするとちょっと伝わりにくかったかもしれないが、歌舞伎は話の筋を知って観るものだから、あまり細かい事を考えず楽しむのがいいのだろう。
この会場は2階左右両側が桟敷席のようになっており、靴を脱いで見られるボックス席でちょっと羨ましかったのだが、花道に役者が登場する度に覗きこむために客が動いたり、家族で使っていたある客は子供をじっとさせておかず放っておいたので、終始視界に入って鬱陶しかった。しかもこの母親と子らがずーっとひそひそ声でしゃべり続けるもんだからちょっと参った。なんでああいう雑音っていうのは大きくなくても一度耳に入ると耳から離れなくなるんだろう…(←修業が足りない)。
義経千本桜
一、道行初音旅(みちゆきはつねのたび)
佐藤忠信実は源九郎狐 片岡 愛之助
静御前 中村 壱太郎
逸見藤太 市川 猿弥
義経千本桜
二、川連法眼館(かわつらほうげんやかた)
佐藤忠信
佐藤忠信実は源九郎狐 片岡 愛之助
静御前 中村 壱太郎
亀井六郎 市川 猿弥
川連法眼 中村 寿治郎
法眼妻飛鳥 上村 吉弥
駿河次郎 中村 松江
源義経 市川 門之助