ヴィンテージ・トラブル (4月16日 名古屋・クラブクアトロ)
ヴィンテージ・トラブル(Vintage Trouble)が昨年に続いて来日。昨年は普通に”名古屋飛ばし”に遭ったので(笑)、名古屋には前回の2016年以来3年ぶり。名古屋パルコ8階のクラブクアトロへ。ここに足を踏み入れたのは何年振りだろう。こんなに小さいハコだったか。前回のダイヤモンドホールが1000人、こちらは500人のキャパシティー。まさかスケールダウンするとは思わなかったが、それでも満員には程遠い客入りだったので次も名古屋は飛ばされるだろう(笑)。しかしもうこんな所で演るスケールのバンドじゃないはずなんだけどなァ。
スカスカのフロアーでハイボールを呑みつつバンドの登場を待つ。客の年齢層はやはりちょっと高め。やっとフロアーが埋まり始めて定刻にバンドが登場。ヴォーカルのタイ(Ty Taylor)は少し痩せたかな。以前のように全員スーツでビシッとという衣装ではないが、相変わらずカッコイイ。意外にもいきなりスローな曲でのスタート。伸びのあるヴォーカルは変わらず素晴らしい。しかしすぐにヒートアップして小さいステージを縦横無人に走り回り、ステージからも飛び出て客席を駆け回り、まだ前半でこんな状態に(↓・イメージです)。
新しいEPの曲は予習してきたが、スローな曲が多く、少し新機軸もあり(故に「Chapter Ⅱ」という名前か)タイがトロンボーンを演奏する場面も。前回居たかどうか記憶にないが、キーボード奏者も加わって音に厚みがあった。結局EPからは4曲程演ったのかな。タイは相変わらず客に普通に英語で話しかけているが、最近の客は英語のヒアリング能力が上がっているのでコミュニケーションも問題なし。昔のライヴはMCになるとシーンとしてアーティストが「ダメだこりゃ」と苦笑する場面がよくあった。ま、彼の場合はそんなに難しい事を喋りはしないが、レスポンスさせたり、強引に一緒に歌わせてしまう力量というか熱量がある。バンドが結成されてからそろそろ10年近くになるはずだが、スタイルは変わらずといったところだろうか。にしても、タイが「”Bomb Shelter Sessions”持ってる人?」「”1 Hopeful Rd.”持ってる人?」ってって訊いていった時にあまり手が挙がらなかったのは…。オイ、みんなアルバムは買おうよ(苦笑)。
さて、今回のライヴも大満足だったかというと実はそうでもなくて…ラストに「Blues Hand Me Down」で締めた頃にはどうしても焼き直し感を感じたのも正直なところ。3年前のデジャヴ。前回のアルバムから早や4年。昨年今年とやっとEPは発売したものの、やはりその間ライヴ以外の露出が少なく、以前あった激しい勢いは落ち着いてしまった。もっとアルバムを出してガンガン攻めてくるかと思いきや寡作で、こちらのもっと聴きたい欲求もしぼみがち。すでにセカンドからそういう雰囲気だったけれど、どうせソウルフルな方向に舵を切るなら思い切ってホーン隊を入れるっていうのも手だと思うし(実際ライヴでのトロンボーンの音色は良かった)、ハードなギター・ロックとソウル・ミュージックの融合という初期の彼らの魅力は、もっともっと引っ張ってもよかったんじゃないか。フル・アルバムが無理でもライヴ・アルバムを発表していれば、クール・ダウンしてしまわずに済んだのだが…。