バイクで彦根市を訪れたある休日、日中は市内に点在する未訪の近代建築を巡って歩いたりしてすっかり夕方になってしまった。帰路途中で食事する店を探すのは嫌だったので、彦根銀座商店街のお気に入りの洋食店「グリル・フレーバー」に寄って夕食を済ましてから帰ることにする。商店街裏手にある駐車場にバイクを停めて裏口から店内へ。この日は夕食には少し早い時間だったにも関わらずなかなかの客入りで賑わっていた。客層は毎度のことながらシニアが多い。店側も厨房内に居る若いコック1人を除いて給仕女性も含めて全員シニア以上だ。少し座面がへたっている壁のソファー席に腰掛けメニューを眺める。お願いしたのは「グラタンライス」。エビかチキンかと訊かれたのでエビでお願いした。
まずはテーブルに福神漬とらっきょうが用意され、後から「グラタンライス」が運ばれた。「グラタンライス」はグラタン+ライスではなく、いわゆるドリアみたいなもの。釜めしで使うような小型の鉄鍋とそれを置く木製台で供された。上からチーズをかけて焦がしてある。いい香り。さっそくスプーンを入れていく。台で上げ底になっているかなと思いきや、深い鉄鍋の底までたっぷり。最初はホワイトソースでライスは全く見えない。ホワイトソースはもったりしたものでなく、サラッとして滑らか。白いライスが埋まっていると思ったら、中はマッシュルームとグリーンピースの入ったピラフ。ホワイトソースと相まって熱々で旨い旨い。薬味を挟みながら、軽く口中を火傷しつつ平らげるとお腹はいっぱい。これで寒風の中の帰り道も万全だ。次は「ビーフカツ」か何かにしてみようかな。(勘定は¥750)
↓ 旧中山道の宿場町、鳥居本宿(鳥居本町)にある「有川家住宅(有川製薬)」(宝暦9年・1759・建造)◇。「有川製薬(有川薬局)」は胃腸薬を製造販売する商家で、創業は万治元年(1658)というから物凄い。主屋の他にも書院、門、蔵が現存しており、それぞれ国の重要文化財に指定されている。
↓ 主屋の東に建つ「薬医門」(文化7年・1810・建造)。向かいの通り(旧中山道)はこのように時代劇のセットを見るかのような雰囲気。アスファルトでなかったら髷を結った人が出てきても驚かない。
↓ 同じ通りにある「岩根家住宅(木綿屋)」(江戸後期建造)◇。35軒もの旅籠があったという宿場町らしく、合羽の製造販売を営んでいる家が多くあったそうだ。合羽の形をした木製看板が今でもぶら下がっている。
↓ 以前にこの通りを通った時に「変わった家だな」と思った建物、調べてみるとやっぱり”ヴォーリズ建築”(※)だった。「寺村家住宅主屋」(昭和10年頃・1935・建造)◇。鳥居本宿の本陣跡に建っていて、外壁や建物の様子からすると最近改修されたばかりのよう。印象深いのはやはり煙突。窓もしっかりと洋風だ。(※ウィリアム・メレル・ヴォーリズ:1910~40年代にかけて日本において西洋建築を手掛けた建築家、実業家)
↓ 同じ敷地内に建つこの古い倉庫。何とかつての本陣の門が転用されているのだとか。面白い。
↓ こちらも合羽を扱う「合羽所・松屋」(建築詳細不明)◇。屋根付きの看板が面白い。01年頃に改修されているようだ。
グリル・フレーバー
滋賀県彦根市銀座町4-19
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