「趣味蕎麦」好きの中では知らない人のない、全国に名の知られた名店「仲佐」。なかなか下呂温泉まで行く機会がないので、道路脇の藤の花が見頃な時期に、バイクでツーリングがてら行ってみた。この店、様々な媒体で取り上げられ、頻繁に本にも紹介されているので、わざわざこの店目当てに下呂の田舎まで訪れる人が絶えないくらいの評判があると聞く。蕎麦好きなうちの両親はとっくの昔に訪問済みだとのこと。晴天のこの日、朝からバイクを走らせ、特に混む事のない国道41号線を気持ちよく北上した。この時期のバイクは気持ちいいなァ。目的のこの店に着くが、開店までまだ40分程あるとあって、さすがに周囲にはまだ人っ子一人おらず、時間を潰すために近所を散策した。古く歴史ある街ながら、周囲には思ったほど近代建築は残っておらず、時間を持て余す。
開店時間近くになると、さすがに次から次へと人が集まり始め、結局12人位並んだかな。都会ならまだしも、ここはドが付く田舎なので、すごい事です。名古屋ナンバーの車が多かったが、遠く関東のナンバーも。時間になると、お入り下さいと呼ばれるが、予約している人もあって、そういう人を先に呼ぶのかどうなのか分かりにくく、1人だった自分はすぐにカウンターに案内されたものの、自分のすぐあとに並んでいた赤ちゃん連れの3人家族が、果たして順番通り案内されたのか気にかかる。
それはさて置き、迷ったが注文は「蕎麦掻(そばがき)」と「手挽きざる」という基本的なものにしておいた。待っている間にも続々と客が集まってくる。給仕の女性が数名立ち働いていて、店内は現代風なものの、ごく普通の和食の店という感じ。厨房の様子は全く見えず分からない。自分の座ったカウンター周りも特に凛としたところは無く、無造作に雑誌が積まれていたりと自然体な感じ。名が通った店だけに、ある程度ピンとした空気があるのかなと思っていたので意外だった。
しばらくして、まず限定数という蕎麦掻が運ばれる。湯には浸かっておらず、捏ねられたまま小鉢に入れられ、山葵がちょこんと載せられて出てきた。生醤油でいただく。一応、匙も用意されていたが箸で持ち上がる位の粘度。存在感がある割に滑らかな口当たりで、旨い。これは酒が欲しくなるなァ。あっという間に食べ終わると、程なくしてざる蕎麦が用意された。高杯のようなざるに載せられていて、一見して量は少なめ。キリッとした姿と艶がとても美しい。粗い麺肌の蕎麦は短く切られていて、喉越しよりも、噛んで風味を楽しみたいタイプ。つゆはたまり醤油由来(だろう)の風味が強くて濃いもの。いわゆる辛汁とは違って独特。あまり漬け過ぎると蕎麦の風味が飛んでしまいそうなので、ほどほどにしておいた。少量の辛味大根が少し添えられている。張りの強い蕎麦は、ちょっとオーバーな表現だけれど、口の中で跳ねまわるような印象。普通に手繰っているとあっという間に無くなってしまうので、口の中である程度食感と風味を楽しむ。蕎麦湯は少し濁りがあるがサラッとしたタイプのもの。濃いつゆに辛味大根を少し足し、割っていただいた。趣味蕎麦なので、量的には満たされないし、値も張るが、評判通り旨い蕎麦だった。(勘定は蕎麦掻が¥1,700、蕎麦が¥1,100)
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↓ 駅の反対側で見つけた木造3階建ての立派な建物。今は使われていない様子。旅館だったのかな?
岐阜県下呂市森918-47
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