ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

中島屋食堂 @滋賀県長浜市

2017年07月14日 | 滋賀県(老舗)

前回の長浜訪問時に残念ながら営業時間外で入ることが叶わなかった「中島屋食堂」。居酒屋として創業したのは明治30年(1897)で昭和初期から大衆食堂になったのだそう。今年でちょうど創業120年(!)。その味のある外観を見て一目惚れ。何とかして訪問機会を、と一週間ずっと思い焦がれていた。すると翌週もたまたま急に予定が空いたので”思い立ったが吉日”とバイクを駆って、また長浜へ。実はこの店に入るにちょっとお腹に入れてしまっていたが、どうせお酒は呑めないし、そうそういくつも注文する訳にもいくまいと店に向かう。ちょっと調べてみたら以前はここ、アーケードの下になっていたのだとか。現在はこの店以外の周囲は新しいビルになっているのでポツンと取り残されたような感じ。「ひやしビール」と書いてあるのがスゴイ。遠くから主人が暖簾をかける姿が見え、すぐに店の前へ。うーん、素晴らしいっ。一朝一夕では造り出すことが出来ない雰囲気。勇んで木戸を開け、店内へ。

店内の様子はネットの写真等で少し知っていたとはいえ、圧巻! 古いものばかりでなく、現役の掲示物や物もあるし、ブロマイドなどは後からなのかもしれないが、全てが一体となって迫力満点。整然とした混沌。普段は余程のことが無い限り飲食店店内でカメラや携帯は取り出さないが、これは”余程のこと”なので(笑)、まだ店内に自分ひとりだったこともあってご高齢の女将に声をかけ、自分の席から四方を撮影してみた。その自分が適当に座った椅子は逆読みで「サクラビール」の銘が入っていて80年も前のものだそう(普通に使っていいんですか?…)。店内に飾られた看板は戦後昭和27年に建物を建て替えた時に屋根裏から出てきたものだそう。「酒・さかな・めし・すし」や、「外食券指定食堂・御手軽御支度所」、「食品衛生法に依る・すし委託加工営業許可済・滋賀県立長濱保健所」など、戦前の飲食店の歴史を物語る博物館級の看板が間近に。そして驚いたのだが、たいていこういう古い普請の店(特に寿司を扱う店)ではどうしても独特の匂いがあるものだが、ここは一切なし。古いがきっちり綺麗にしてある。

 

 

じっくりひとつひとつ壁を拝見していきたいがそうもいかない。品書きを開いてこちらの名物だという蓬(よもぎ)を練り込んで打ったうどん「よもぎざる」と、「さばすし」を注文。ざるうどんは海苔をどうするか訊いてくれるので無しにしてもらった。「さばすし」は通常5個盛だが、3個のものもあったのでそれをお願いする。品書きには麺類、丼ぶりが揃っているが、琵琶湖の魚を使った酒肴や地産の食材、そして地酒も豊富。あぁ、サケ呑みたい…。いつ叶うか分からないが、いつか絶対ここで存分に呑んでやろうと心に誓う(涙)。表側にある厨房では高齢の主人とご子息が調理しているよう。跡継ぎが居る、うん素晴らしいゾ。

しばらくして息子さんが「よもぎざる」と「さばすし」を配膳してくれた。よもぎの緑に染まったうどんはかなり太打ちで、水で締められているのでプルッとした食感。緩いのがくるかなと想像していたので意外だった。つゆは少し甘味があるものの濃くなくスッキリとした味わい。なので麺の香りもよく分かり、のど越し良く、旨い。生姜も付いていたが、よもぎの香りを消しそうだったので使わずにいただいた。「さばすし」は押し寿司ではなく握り。酢加減は強くなく、身も柔かい。これならまだまだ何個でもいけそう。あっという間に平らげた。

だんだん後客が入ってきたので長居はせず席を立つ。こんな店を抱えている長浜の人達は幸せだなァ。地の物をつまみにビールか酒をいただいて、締めに丼ぶりか麺類。「スゴモロコの南蛮」と「あゆ姿煮」を頼んで長浜の酒をやり、近江名物「赤こんにゃく」入りの「親子丼」か「木の葉丼」で締め。寒けりゃ熱い「よもぎうどん」でも…。いつか必ず…。そんな妄想を繰り返している(←どうせそのうちやるんじゃないのか?)。(勘定は¥980)

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中島屋食堂 (※音に注意)

滋賀県長浜市北船町3-3

 

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