第32期囲碁名人戦七番勝負の第2局は9月19日から長野県松本市で打たれ、挑戦者の張栩碁聖が高尾紳路名人に黒番中押し勝ちし、対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。第3局は9月26、27の両日、仙台市の茶寮宗園で。
第2局の立会人を務めた岩田達明九段は「互いの持ち味が出た好局でした。中盤までは難しい碁で、高尾名人がどこかでちょっとしくじったようです。内容的には名人の手厚さも発揮された面白い碁で、見応えがありました」
<張挑戦者の話>
左下の折衝でちょっと得したと思った。左下が一段落した段階で、これならヨセ勝負、少しだけいいかと。まあよかった。
<高尾名人の話>
左下の折衝は、ちょっと悪いという結果になってしまった。2日目は、昼休憩前後の右中央から右辺の攻防が少し甘く、押し切られてしまった。
(朝日新聞より抜粋)
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挑戦者の張栩碁聖が機敏に立ち回り、先行逃げ切りのスタイルで1勝1敗のタイに戻しました。
一方の高尾名人、「重厚戦車、動かず沈黙」という印象でしょうか。
本局の終局は2日目の午後2時22分、第1局が午後3時50分と今までの七番勝負に比べ早い進行になっています。
七番勝負などの大一番では秒読みが定番でしたが、本シリーズではまだ見られません。第3局以降はどうでしょう。
特に張栩碁聖の方が早く、本局では3時間以上残しています。これも国際棋戦の影響でしょうか。
張栩碁聖の戦型はスピード重視の速攻型、これも韓国などを意識しての戦いぶりのような気がします。
それに比べて高尾名人は、従来の日本型のじっくりとした囲碁感覚で打っているようです。
それぞれの個性のぶつかり合い、今日から始まった第3局以降の熱闘を期待しましょう。
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今回の対局地は長野県松本市のホテルブエナビスタ。
松本市といえば松本城が有名ですが、姫路城、彦根城、犬山城とともに四つの国宝城郭のひとつだそうです。
2、3度訪れていると思うのですが、あまり記憶に残っていません。
日本の文化遺産を軽視しするわけではありませんが、自分の生活信条や嗜好などとつながっていないと関心が薄れるのも仕方のないことかと思います。
この松本城、現在放送中のNHK大河ドラマ「風林火山」では深志城という名称で出てきます。
ドラマでは武田信玄が信濃の守護小笠原長時を追い、占領したシーンもありました。
「風林火山」もいよいよ佳境を迎え「川中島の決戦」となります。
信玄・謙信の龍虎の戦いと同様に囲碁名人戦も名勝負を期待しましょう。