第33期囲碁名人戦七番勝負の第4局は10月8日から静岡県熱海市で打たれ、張栩名人が挑戦者の井山裕太八段に白番中押し勝ちし、第5局は10月15、16の両日、同県伊東市で。
序盤に地を稼いで「先行逃げ切り」をめざした名人が、挑戦者の攻めをしのいで勝った。2連敗後の2連勝で挑戦者に追いついた。
解説の小林覚九段は「黒93までは好勝負で、黒を持ちたい気もしました。名人が巧みに攻めをかわした一局でした」と話した。
<張名人の話>
上辺をシボることができて、良さそうな雰囲気になりました。最後まで難しい勝負でした。
<井山挑戦者の話> 黒93は94に出るべきでした。黒105から下辺の攻めにかけましたが白106が好手でした。
(朝日新聞より抜粋)
◇ ◇ ◇ ◇
張栩名人の実利、井山挑戦者の厚みのスタイルは前3局と同様の進行。張名人の冴えた手筋が井山挑戦者の攻めを逆襲して決着のようでした。
さすがは張名人、ここ一番の切れ味はさすがという印象です。
敗れた井山挑戦者、第1局、第2局のように後半での迫力が感じられませんでした。本局では張名人の戦上手に翻弄された様子、次局以降は若手らしい伸び伸びとした戦いを期待しましょう。
これで名人の2勝2敗タイ、流れは張名人のようです。明日からの第5局が井山挑戦者の正念場となるでしょう。
◇ ◇ ◇ ◇
今回の対局地は静岡県熱海市の「あたみ石亭」。ここで囲碁名人戦が打たれるのは、今回で10回目だそうです。
幾多の名勝負が繰り広げられ、張栩名人は昨年、高尾紳路名人(当時)にここで勝ち、名人に返り咲きました。
今シリーズ第6局が行われる「鬼の栖」も同じ石亭グループのようです。
世の中、世界的な金融危機の影響で先行き不透明な昨今ですが、石亭グループのような高級旅館に影響はないのでしょうか。
衣食住など生活基盤となる費用が高騰する中、一般庶民には「心地よいサービス・快適さ」に投じる資金は限りがありますね。