鎌倉本は数あるが、この本は佳作。
ノーベル賞作家の作品はやはり難解。読み始めは何のことだかさっぱりわからなかったけど、最後は良い読後感。論文のような小説で、読破するのに2週間近くかかってしまった。頭の良い人が、究極の技術をもって書くと、こうなるということみたいだ。
石田衣良は現代の井上靖になるか。
2013年12月の読書メーター読んだ本の数:3冊読んだページ数:921ページナイス数:55ナイス4TEEN (新潮文庫)の感想同じ年頃の青春小説と言えば、井上靖の夏草冬涛。私は、中学一年の時に出会い、しろばんば、あすなろ物語と、暫くの間井上にはまってしまった。今の中学生は石田のこの作品を読んではまるだろうか。中学一年の私だったらどうだったろう、面白いと思っただろうか。そして、石田にはまっただろうか。中学生の頃に戻ることはできないので、もうわからない。たしかなことは、私はあの頃の心に戻れない、ということ。読了日:12月31日 著者:石田衣良
晩年様式集 イン・レイト・スタイルの感想大江健三郎を初めて読んだ。その文章力の高さに感嘆した。圧倒的な完成度ゆえ、自分の文章力とひき比べてしまい、読んでいてつらくなってしまった。私小説の体裁をとりながら、個人と人類を対置した内容は普遍的で、後世の国内外の読書人の批評に耐えうる。ただ、多くの引用文献が効果的に使われているのが、研究論文を読んでいるような錯覚に陥らされる。”スグレタ”小説を書くことが目的となってしまっていることが、唯一の欠点か。読了日:12月27日 著者:大江健三郎
ヴィジュアル版 武家の古都「鎌倉」を歩く(祥伝社新書)の感想”鎌倉史観”という言葉がふさわしい歴史書。縄文時代の地形から今まで、武家政治とともに歩んできた政治都市鎌倉をわかり易く描いている。血塗られた権謀術数渦巻く時代の武家対公家の関係が理解できる。あらためて、往時を偲びながら段葛を歩きたい。 ところで、『日本の歴史と文化を訪ねる会』というのはどのような会なのだろう。内容はしっかりしていて、文章も並大抵の筆力では書くことのできないレベルだ。よほど有名な歴史作家が加わっているように思うのだが、どうなのだろう。鎌倉観光本としては、上級者向け。読了日:12月4日 著者:日本の歴史と文化を訪ねる会
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