岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

【ドキュメンタリー】少年院の250日

2005-06-25 14:19:41 | 社会福祉士
6月24日午後10時から零時30分まで2時間半におよぶ
ドキュメンタリーであった。
NHK BS2での放送は、5月8日に53分間で放送された番組の
長尺版だ。

番組表を見ていないので、いつ終るのだろうかと思うほど長かった。
しかし、「こんな取材がよくできたなー」と心底思った。
素晴らしいぞ。

私自身のためにもぜひ纏めておきたい。
ほとんど未知の世界である。

まず、少年院を法的に簡単におさえておこう。
16~20才の保護処分になった少年が対象の法務省の施設である。
少年法改正で14才~16才までの少年受刑者も収容されている。
処遇には短期処遇と長期処遇がある。
このドキュメンタリーは、長期処遇をしている瀬戸少年院の
250日を取材している。

更正過程には、生活訓練過程、職業能力開発過程、教科教育課程、
特殊教育過程、医療処置過程がある。
もちろん、矯正教育を行なっている。懲罰ではない。
具体的には「個別的処遇計画」に基づいて教官が指導教育する
ことになる。

教育は4段階にわかれ、胸のバッチのリングの色でわかる。
バッチの色が変わることは、更正が進み出院が近くなることに
繋がる。
院生と教官はバッチの色を替えることを目標に日々過程を
こなしていく。
しかし、「ささいなことで感情を抑えられず」諍いを起こし目標を
クリアできなくなる少年も出てくる。
教官は、タイミングを測りながら、少年の心を聞き、話合いを
欠かさない。

「ささいなことで感情を抑えられず」事件を起こすということは
最近のメディア報道でもよく見聞きすることである。

どうしてそのように「キレる」のか。原因を明らかにすることも
大切であるが、そう簡単ではない。複合的な要因があるという。
では、教官は、原因が定かでない少年の行動にどのように対処し
教育していくのか。
もちろん、数多くの手法が開発されている。
しかし、個人と個人が向き合ったときは、いつでも手探りである。

※教育方法:面接、作文、集団討議、社会的スキル訓練、内観法、
心理劇、ロールレタリング、職業補導など。
また最近は「生命尊重教育」や、「贖罪教育」も活発に行なわれて
いる。

いくつかの印象的な言葉があった。
「協力できない」
「裏切られたから信頼できない」
「罪悪感を持てない」

「現実感がない」
「自我が感じられない」

教官の少年を探る手段は「観察」である。
態度、目つきで、少年の内面を探っていく。
また少年が書く「日記」に注意深く目を通す。
その日記を読みながら、自らの指導がどうだったか
考えを深めていく。
一人ひとりの少年と向き合う目が本当に真剣だ。

家庭にあの教官の姿勢があればと思う。
しかし、親は教育の専門家ではない。
間違った教育をしてしまうことも多い。
それを補うのが愛情なのだ。
しかし愛情の表現だってうまくない親も多い。

ドキュメンタリーの後半は、殺人を犯した少年の
心に迫る展開になった。

続く

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