野茂こそパイオニア。そしてありがとう！

NOMOMANIAという言葉が懐かしい。
MONOマニアではない。野茂の熱狂的なファンのことだ。
あれから、もう１３年前になるのか。
いや、まだ１３年しかたたないというべきか。
今やNHKの看板番組といえる大リーグ中継も野茂の大リーグ挑戦と
ともに始まった。
まだ２０代の若々しい野茂が、渡米するときのプロ野球界やファンの見方は
辛辣だった。
これは開拓者が受ける受難でもあったが、今から思えばびっくりするような
レベルの話だった。
（歴史は同時代人の目で判断しなくてならないというのは真実だが）

日本人で通用するとしたら、投手だろう。しかし、時差のある遠征に耐えて
ローテションを維持することは無理だろう。
万が一成功しても、投手に限られる。
野手ならば、連日の出場になるし、非力なバッティングや肩ではとても通用しない
だろう。

だれが言ったの？
野球の専門家といわれる人々だ。
（専門家の話は話半分に聞けというのは真理だ）
日本人投手への偏見は野茂が砕いた。
日本人野手への言われもない軽視はイチローの１年目に霧散した。
野茂の全米へのインパクトは、サッカーの中田のセリエAデビューのレベルでは
ない。
当時、全米を揺るがした大リーグ選手のストライキの後遺症の中にあってもがいていたMLBは、
大リーグには縁もゆかりもないと思われた日本人投手の登場によって救われたのだ。
まさか、無名の日本人が大リーグを救うとは。

それほど、野茂のデビューは鮮烈だった。今なら日本の野球は世界レベルというのは常識だが、
当時は３Aレベル以下だろうといわれていた。
なにしろ、来日した3Aの選手が大活躍するのだから。


野茂は大リーグで１２３勝した。
野茂の前には、大リーグで３勝した村上投手しかいない。
１年目はオールスター出場、２度のノーヒットノーラン。２度の最多奪三振。
そして７球団を黙々と渡り歩いた。

寡黙な男が切り開いた道は、今やフリーウエイになった。
松坂や福留は、野茂に通行料を払わなくてはならない。
開拓者への敬意を態度に表わすことが、最低限の礼儀だと思う。