岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

介護保険2005年改正」の総括へ(5)。

2007-12-13 19:07:49 | 地域包括支援センター
「介護予防」の課題 府下編
以下の項目が、市町村と地域包括の課題である(と府はいう)。
課題:
1.介護予防支援業務に追われている。プラン作成に時間がかかる。
  特定高齢者の基準緩和により担当件数がさらに増大している。

2.委託している介護予防ケアプランの評価を十分確認できない。

3.介護予防サービス事業所が、サービス利用を要支援1の人が
  週1回などど一律に決めている。

4.介護予防サービス事業所に運動器の機能向上などの
  選択的サービスがない。

5.地域包括がネットワーク構築など包括的支援事業まで手が
  回らない。

6.老人介護支援センターの業務が見えにくくなった。
  ブランチ機能が十分でない。

7.隣保館等、各関係機関との連絡が十分に図れていない状況にある。

8.包括的支援事業の実施について委託した法人にまかせっきりに
  なっており、適切な管理がなされていない。

9.特定高齢者の把握について、基本検診以外のルートでの把握が
  できていない。

10.特定高齢者に教室参加を勧めても「忙しい」などの理由で
   断られる。

11.地域支援事業について医師の理解が得られていない。

12.老人保健事業と高齢福祉事業が統合して再構築できていない。
   特に65歳以上を対象とした事業が実施できていない。

これでは、地域包括や市町村は、なにもできていないように読める。
府はこの課題の対応方策を書いている。申し訳ない言い方になるけど
ほとんど参考にならない。
文章を出すことが実績になるのだから中身までは無理だろう。
もちろん府にできることは限りがある。(市町村の相談相手か)

しかし、この課題だけを読んでいると、一番重要なことが見えなくなる。
それは、「では地域包括ができていることはなにか」である。
この問いから明確になることがある。

できていることは、「給付管理」である。
なにができなくても、どの地域包括も、月遅れ請求だらけになっても
「給付管理」はできている。
地域包括に「給付管理」ができないとなれば、予防介護サービスは
立ち行かなくなる。2005改正開始の時点では、給付管理のなんたるかを
知らない専門職ばかりだった。
それが1年もたてば、「給付管理」がほぼ完璧にできることになる。
しかし、それが専門職の業務なのか。

3年前の全国社会福祉士大会の基調講演をした厚生労働省の担当課長の
言葉が今でも忘れられない。
「社会福祉士の実績が見えないのは、キャンバスが与えられていない
からではないか。ならば地域包括を専門職必置にするから、実績をあげて
もらおう」。
社会福祉士会は、「喜んでお受けします」といった。

そして、実績を上げた。
しかし、それは「給付管理」という実績だった。
厚生労働省は確かな成果を受け取ったが、おまけもついた。
社会福祉士が固有の業務での実績があがらないことだ。
(あがるはずがない。ケアマネ業務の間に他の業務をこなせるはずが
 ないのだ)

しかし、これで、厚生労働省は、社会福祉士会に対して実績をあげられ
なかった団体として優位な立場を保ち続けることができるのだ。
へたに華々しい実績を上げてもらうと、弁護士会や医師会のように
思い通りには動かなくなる。

このくらいのねじれた思考が残念ながら必要なのだ。
国と対するときは。


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1 コメント

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状況が良く理解できました (bonn1979)
2007-12-14 16:39:01
このように
よく「ねじならいと」わからないのですが
未来を今に戻すような?手法を感じます。

あまり、よそ様の座敷で
一人上がりこむのも
(先客の諸兄に)失礼かと・・
この続きは
私の部屋の方で・・
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