ぼくたちがここにいる本当の理由
PRISON CIRCLE プリズン・サークル
取材許可まで6年、撮影2年ー初めて日本の刑務所にカメラを入れた 圧巻のドキュメンタリー
以上の言葉がチラシに並んでいます。
撮影されたのが2014年~2016年頃と聞きました。
その8年前に刑務所との交渉は始まっていたので2008~9年頃からの交渉ということになります(2008年開所)。
今年、観たのですから約12年かかったというわけですね。
カメラが入ることができたのは、「島根あさひ社会復帰促進センター」です。
2000人収容の官民協働の新しい刑務所です。官民の職員は500名そして家族の移住、浜田市旭町は過疎、高齢者の町から若返りました。
大学誘致と同じように刑務所も誘致される対象だということを知りました。
倍率高いのですね。
さて映画についてです。
刑務所といえば懲罰の受ける施設という旧来のイメージがありますが、このセンターはそれを払拭し社会復帰をスムーズしたいという考えでできた施設です。
様々なプログラムがあるそうですが、この映画ではTC(回復共同体)プログラムを追います。
日本で唯一採用しているのがこのセンターです。
監督に対するインタビュー記事がありますから、こちらをご覧いただければ概要がわかります。
取材許可が下りるのも大変でしたでしょうが撮影はもしかしたらそれ以上だったでしょう。
上映の後、お話を聞く機会がありました。
その中で印象的な言葉を覚えている範囲で書いてみます。
・施設内で受刑者は全くと言っていいほど職員以外には会話できない。
・番号で呼ばれる。名前では呼ばれない。
(TC受講中は、会話や名前で呼ぶことができる)
・すべて軍隊調、点呼、歩き方、指先まで伸ばして歩く。
・撮影の時間、条件が厳しく制限される。1回30分、数カ月間隔。突然キャンセルされることもたびたび。
・撮影中にファインダーを覗かれ、意見しようものなら撮影禁止命令がでる。
・取材対象の方の顔は加工処理されて、それも厳しくチェックされる。軽い加工処理だとダメだしされる。
(おかげで私は誰が誰やらわからず混乱してしまいました。もともと顔認識が弱いのですが)
・取材対象の方を数人決めるのですが、継続的に取材することが難しい。映画になるかならないか最後までわからなった。
・最後に検閲的試写でチェックされる。
・日本の司法は昔から変わっていないのではないか。刑務所は特にそう感じた。
・司法を変える動きはあるし思いを持つ人もいる。ただしごく一部。
※私は出所した人を支援することもあり、また受刑者と文通する機会もありました。
しかしながら知識は限られていました。ほんとうに。
TCトレーニングの中で、自らが犯した罪を振り返るシーンが出てきます。
グループでの会話の中です。
厳しい生育環境下では、窃盗、万引、置き引きなどは特に罪の意識が生じません。
映画「万引き家族」もそうでした。
傷害事件を起こしても、被害者が悪いという感情を持っている人もいます。
また、罪悪感なしに衝動的に犯罪を起こしてしまうということもあります。
そのような思いと行動をどうすれば変えられるか試行錯誤していきます。
訓練生の自らの内面を深く掘り下げる姿勢は、日ごろ私たちが持ち合わせているものでありません。
私たちは、当たり前のこととして深く掘り下げていないことが多いのです。
このような思考を変容させるには刑務所は適してはいません。
教育をしていません(まったくではありませんが)。
このTCは特別です。
坂上監督は、米国で取材し映画にしていますが、そのTCは日本で行うことができるわけがないと思っていたそうです。
それを始めたところがあると聞き、島根まで出かけてびっくり仰天。
これは撮影しなくてはと思われたそうです。
出所後の再犯率の高さが問題になっています。
このTC訓練生では、約半分になったと聞きました。
これってすごいことだと思います。
効果が明らかです。
この辺りにします。
とっちらかってすみません。
機会があればぜひご覧ください。
超お奨めです。
お読みいただき有難うございました。
※画像と本文は関係ありません。悪しからず。