この小説はコロナワクチンができる前の20年12月から21年1月かけて長野県の地域医療を担う小さな病院の話です。
帯を見直してみると、「著者万感のドキュメント小説」とあります。ほぼ実話なんですね。
帯の文章は以下のように続きます。
コロナは、肺を壊すだけでない。心も壊す。
「対応が困難だから、患者を断りますか?病棟が満床だから拒絶すべきですか?
残念ながら、現時点では当院以外を受け入れる準備が整っている病院はありません。
筑摩野医療センターを除けば、この一帯にあるすべての病院が、コロナ患者と聞いただけで当院に送り込んでいるのが現実です。
ここは、いくらでも代わりの病院がある大都市とはちがうのです。
当院が拒否すれば、患者の行き場所はありません。
それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?
本文より」
「著者の夏川氏が医師として実際に COVID-19 患者の治療を現場で担ってきた経験に基づいて,第 3 波の様子を描いたドキュメンタリー小説です」との書評もありました。
『臨床の砦』とは大げさの思われるかもしれませんが、もしこの砦がコロナに落とされてしますと後に控える病院も次々に落とされ、
もっと負け戦がひどくなってしまうという意味だと思います。
病院内でも感染病棟とそれ以外の病棟ではまったく対応がちがいます。もちろん感染病床の医師の考えも様々です。
さらに行政や国が現場を知らないことへのいら立ちもあります。
医師や看護師に迫る感染の恐怖は本当にリアルです。
さらに家族から断絶された患者。
この辺りは、私の母親が入院していた病棟で感染者がでてしまい母親も感染してしまったことを思い出してしまいました。
いつか、きちんと書き残そうと思っています。
お読みいただきありがとうございました。
ウクライナと中東に平和を!